一軒家の隠れ家レストラン「JULIA」で、夫婦が織りなす日本ワインと国産食材の“魅惑的な”ペアリングコースを

  • 文:Pen編集部
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東京・外苑前にある古い倉庫を改装した、隠れ家的な一軒家レストラン「JULIA」。ソムリエとシェフの夫婦が手掛ける、心温まる空間でいただく、“国産”にこだわったコースメニューとは?

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シェフのnao(左)とオーナーソムリエの本橋健一郎(右)の夫婦で営む「JULIA」。naoは29歳で料理の道を歩み始め、一方で本橋は建築士の資格も持つなど、ふたりの経歴もユニークだ。

国産食材にこだわったコース料理と、日本ワインのペアリングを堪能できる「JULIA」は、オーナーソムリエの本橋健一郎とシェフのnaoの夫婦が営むイノベーティブレストランだ。もともとは、2012年に前身となる「本橋ワイン食堂」を茨城県つくば市内にオープン。「東京で勝負したい」という思いから、恵比寿への移転とともに現在の店名である「JULIA」へと改名したという。

その後、ニューヨークのミシュラン一つ星「GRAMERCY TAVERN(グラマシータバーン)」での修行やイーストヴィレッジでのポップアップショップなどを経て、17年に外苑前に移転オープンする。以来、フルーツや野菜を中心にした遊び心のある独創的なメニューで多くの人を魅了してきた。

先日発表された「ミシュランガイド東京 2025」でセレクテッドレストランに選出されたほか、世界のベジタブルレストランBEST100を発表している『We’re Smart Green Guide』にも掲載されるなど、国内外からいま注目を集めるレストランのひとつと言えるだろう。

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レストランは2層構造で、1階はゲストを迎えるラウンジエリア。食事前のアペリティフがこちらで提供される。

昨年の11月には現在の店舗へとさらに移転する。カウンター10席のみで営業していた旧店舗の向かいにあった古い倉庫を改装し、2階建ての一軒家レストランへと生まれ変わらせた。

店内はnaoがつくる色彩豊かな料理と訪れたゲストを主役に引き立てるため、ホワイトとブラックを基調としたモノトーンの配色でまとめられている。建築士の資格も持つオーナーソムリエの本橋ならではのセンスがあふれる空間だ。

恐る恐るドアを開け店内に足を踏み入れると、アートやヴィンテージ家具が並ぶ洗練されたラウンジエリアが広がり、スタッフが心優しく出迎えてくれる。ディナータイムには、ゲストをもてなすアペリティフとフィンガーフードが振る舞われ、気分が盛り上がったところで2階のダイニングへと移動する。

料理はおまかせ1種のみで、かつて店を構えていた茨城県の食材を中心に、ふたりが出会った全国各地の旬の食材を使った料理と、世界に誇れる日本ワインのペアリングコースが供される。

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2階のダイニングは、キッチンを望めるライブ感のあるカウンター席と、落ち着いたテーブル席からなる。

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ワインに合わせることから考える、独創的で美しい料理

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コース料理の一例。野菜が生む自然な色彩を活かした、カラフルで美しい料理が特徴。

「JULIA」の魅力は料理や空間もさることながら、本橋のホスピタリティや夫婦ふたりの和やかなキャラクターにあるだろう。シェフのnaoは、独学で料理を学んだという異色のキャリアを持つ。もともとはレストランのPRを仕事にしていたが、29歳で一念発起して料理の道へと転向。そのきっかけをつくったのが、パートナーである本橋だ。

沖縄のリゾートホテルの立ち上げプロジェクトで本橋と出会ったnaoは、本橋の巧みで繊細、かつ人情味とホスピタリティあふれるサービスを目の当たりにして惚れ込み、ふたりでレストランをオープンすることを決意。シェフの道を志すようになったという。そんな心温まるエピソードは、ふたりが織りなす繊細で美しい料理とドリンクのマリアージュにも現れている。

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ともにコース料理の一例。立体的で、色とりどりの美しい盛り付けもnaoシェフならでは。

 「JULIA」のコースは、ワインを飲んでから料理を考えるという一風変わったスタイルだ。まず、ソムリエの本橋が季節や旬の食材に合わせたワインを選ぶ。その後にシェフのnaoが、味わいや余韻、口の中に広がる印象などワインからのインスピレーションをもとに料理を考案するという。そこからふたりでアイデアをキャッチボールしながら、月々のメニューを構成していくという流れだそうだ。 

本橋がセレクトするワインは、「こんなワインが日本にもあったんだ!」と驚きに満ちたものばかりで、新しい発見をきっと味わえるはずだ。また、ノンアルコールのペアリングも非常に充実していて、アルコールを選んだ人も横目で見ていて「飲んでみたいな」とつい思ってしまうほど、独創的なモクテルが次々に振る舞われる。アルコールとノンアルコールのダブルペアリングコース(+3300円)もあるので、ぜひワイン好きも試してみてほしい。

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10皿の料理と10種のペアリングのドリンクがつくディナーフルコースは¥31,900。ランチは7皿の料理と7種のドリンクがつくライトコース(¥25,000)も用意する。どちらもドリンクはアルコールとノンアルコールから選べる。
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ペアリングコースは、国産ワインだけでなく、料理に合わせた選りすぐりの日本酒も提供される。

店名である「JULIA」は、ソムリエ本橋の“母のあだ名”だという。記憶に残る、愛のある食事で人を幸せにしていた母の姿。そして、『歳をとったらふたりで小料理屋をやるのが夢なんだ』と語っていたという父。そんなふたりへのオマージュとして、創業されたのがこのレストランだ。

日本の食材とワインにこだわったペアリングのコースは、日本の魅力を再発見するとともに、人と人とのつながりや温かさを感じ、次第に心が満たされていく。この店ならではのスタイルに身を任せ、至福のひと時を愉しんではいかがだろうか。

JULIA

住所:東京都渋谷区神宮前3-1-25
TEL:03-5843-1982
https://www.juliahospitalitygroup.com