日本の伝統文化を現代に合わせて再解釈しながら守り受け継ぐ――緒方慎一郎は食、茶、菓子、工芸、建築などさまざまな分野において、日本人が培ってきた暮らしのあらゆる側面を網羅しながら刷新を試みてきた。和菓子店HIGASHIYAや日本茶事業を担う茶方薈のほか、店舗や宿泊施設のインテリアデザインを手掛けるなど、その活動は多岐にわたる。2020年には、20年以上かけて提案してきた新たな暮らしの作法を、日本のみならず世界に発信すべく、集大成としてOGATAを創業。まず初めに拠点としたのは歴史と文化の街・パリだ。
17世紀の貴族の邸宅に、伝統的な日本の美学に基づいた独自の設計理念を取り入れたOGATA Paris。東西の歴史や伝統が融合した空間は、茶房、酒房、レストランのほか、茶と和菓子を扱うブティック、器を販売するアトリエなどで構成されている。ここで緒方が日本に先駆け、新たな挑戦を試みたのが「香り」だ。もともと香水のきつい匂いが苦手だという緒方。「香水の本場であるフランスで、日本の香りの文化を発信します」と言う。日本の香りといえば、香道や線香が思い浮かぶが、緒方が提唱するのはもう少し普遍的なものだ。「古来、精神の浄化と癒しのための薬として扱われてきた香りは、各国の文化や芸術によって培われてきました。OGATAが展開するKAORIでは、東洋の香りの文化を現代的に再解釈し、新たな愉しみ方を提案します」
OGATA Parisでは調合した香りを販売するほか、調香師と対話をしながらオーダーメイドの香りをつくることもできる。日常的に身につけられるよう付属のリネン香袋に入れて持ち歩くか、器に乗せ、部屋に置いて香りを漂わせることもできる。
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今回日本で発売される5つの香り「YOKA」は、「余香」を意味し、ほのかな天然の香りを身にまとってほしいとの思いから名付けられた。伝統的なお香に使われてきた白檀や檜、ハーブやスパイスなどを調合。それぞれのパッケージには10袋の香りと、携帯用のリネン香袋が入っており、パッケージの蓋は香合として利用することができる。
商品ラインナップは、森林や大地を想起させるOGATA、スパイシーで爽やかなKOTO、畳を思わせる清々しいTATAMI、日本最古の柑橘である橘を表現したTACHIBANA、囲炉裏から着想した燻香を表現したIRORIの5種類。「YOKA」は日本茶専門店SABOE TOKYO、和菓子店HIGASHIYA GINZA、和食料理店・八雲茶寮ほか、公式オンラインショップにて販売。自然との共生により受け継がれてきた古の日本の記憶を思い起こさせるKAORI。心身をととのえてくれる、新しい香りの習慣を取り入れてみたい。
KAORI by OGATA