各界で活躍する方々に、それぞれのオンとオフ、よい時間の過ごし方などについて聞く連載「My Relax Time」。第61回は、アフリカの伝統的なファブリックを使ったアパレルブランド「CLOUDY(クラウディ)」を展開し、同時に現地の教育や雇用の創出、食料支援などを行う銅冶勇人さんです。
写真:殿村誠士 構成:舩越由実
アパレルブランドを運営しながら、現地の子どもたちが学校に行けるような場所づくりに取り組んでいます。現地に学校をつくった当初、子どもたちに将来の夢を聞いたのですが、300人ほどいたにもかかわらず夢の種類は4つ、5つしか出てこなかった。それだけ情報がなく、どんな仕事があるか知らないのです。それが初めて今年、大学受験する子たちが出てきました。こうしたロールモデルの誕生が、子どもたちにとって憧れにつながるので、なによりうれしい。いまでは将来の夢がいっぱい出てきます。子どもたちが自分の将来を思い描けることが、学校づくりの成果のひとつですね。
12月からは新しい学校づくりが始まります。僕たちはどうしても読み書きを覚えるような学校を発想してしまいがちですが、現地のお母さんたちの本音は、0歳から3歳くらいまでの乳幼児を預けられる場所がほしいということでした。つまり、働ける環境を求めているんです。学校を建てても途中で潰れてしまうことがほとんどのなかで、彼らの生活や本音を理解しながら、どうアクションをするのかが大事ですね。
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現地では多くの学びがあります。これまでガーナは何度も訪れていますが、彼らと同じ目線になったと思えることはないですね。特に“幸せの見つけ方”に対しては、頭が上がりません。
アフリカに初めて行った時に、プレゼントとしてサッカーボールを持って行きました。絶対に喜んでもらえると思っていたのですが、でも「日本から持ってきちゃったんだね」「こっちで買ってよ」と言われ、現地でお金を使うことの重要性に気づきました。しかもお返しとして、布とネットで結わえたような手づくりのボールをくれたんですよ。僕が持参したサッカーボールと、彼らが工夫を凝らした手づくりのボール……そのふたつを天秤にかけて、どちらが魅力的だったか、誰のためのものなのかを考えた時、彼らのボールのほうが素敵に見えたんですよ。この感覚は絶対に忘れてはいけない。そう思って、そのボールはいまでもデスクに飾っています。
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人を見るのが好きなんですよ。僕はたばこを吸わないのですが、喫煙所に行くことがあります。喫煙所ではリラックスをしているからこそ、本音が漏れたり、アドバイスをしてくれたり、デスクでは言わないような話が聞けたりと、いつもと違う話や表情が出てくる瞬間があるのです。
僕が喫煙者ではないからこそ、相手に集中することができて、視野が広がったのかもしれませんが、たばこを吸う空間に一緒にいることがコミュニケーションにつながる。それが僕にとってのたばこのよさですね。たばこの香りが嫌いじゃないというのもありますけど(笑)。
CLOUDY
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