『西川勝人 静寂の響き』展から『アレック・ソス 部屋についての部屋』展まで【今月の展覧会2選】

  • 文:住吉智恵(アートプロデューサー)
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陰影の探究が結実した作品を、庭園に囲まれた美術館で観想したい

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『シントラ』2009年 作家蔵 © Katsuhito Nishikawa 202

長年ドイツを拠点に、彫刻、平面、家具などの造形分野を横断しながら作品を制作してきた西川勝人。光と闇、その間に広がる陰影に心を配り、示唆に富んだ世界を生み出してきた。国内初の回顧展では自然光・外光・照明・間接光と、多様な光のもとで作品を紹介する。抽象的なフォルムの彫刻、ほおづきをかたどったガラスのオブジェ、色の重なりが絶妙なアクリルガラスの作品など、いずれも周囲の光や音を吸い込み静かに佇む。心ゆくまで観想に耽りたい。

『西川勝人 静寂の響き』

開催期間:~2025/1/26
会場:DIC川村記念美術館
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:9時30~17時 ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、11/5、12/24~1/1、1/14
料金:一般¥1,800
https://kawamura-museum.dic.co.jp

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静謐な空間で親密さを醸し出す、さまざまな「部屋」の物語

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『Anna, Kentfield, California』(「I Know How Furiously Your Heart is Beating」より) 2017年 東京都写真美術館蔵 © Alec Soth

国際的写真家集団マグナム・フォトのメンバーで、生まれ育ったアメリカ中西部などを題材に、物語を紡ぎ出す写真で世界的に高く評価されるアレック・ソス。本展は「部屋」をテーマにその作品を編み直す独自の試みとなる。舞踏家で振付家のアンナ・ハルプリンや小説家ハニヤ・ヤナギハラなど、さまざまな人々が日常を過ごす部屋でポートレートや個人的な持ち物を撮影した連作は、静謐な空間で被写体から醸し出される親密さが大きな魅力だ。

『アレック・ソス 部屋についての部屋』

開催期間:~2025/1/19
会場:東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099
開館時間:開10時~18時(木曜、金曜は20時まで) ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、12/29~1/1
料金:一般¥800
https://topmuseum.jp

※この記事はPen 2024年12月より再編集した記事です。