極寒にも耐えられる防寒アウターは、男ゴコロをくすぐる最高のファッションギア。近年の暖冬傾向を逆手に取り、インナーを軽やかなTシャツ1枚にすることさえできてしまう。電車の車内のように暖かな屋内と、寒い屋外との気温差を埋めるのにも便利な服だ。一着あると日常生活に深い安心感をもたらしてくれる。
そこで今回は高機能ウェアの開発に熱心なデサント(デサント オルテライン)、ゴールドウイン、ミズノの最新アイテムをリサーチ。日常的に着やすいファッション性にも優れた厳選ラインナップをお届けしよう。
超ハイスペックな「水沢ダウン」の現在/デサント オルテライン
ギア好きが信頼を寄せるダウンジャケット「水沢ダウン」。デサントのハイテクな水沢工場で製造される、ハイスペックなダウンウェアシリーズだ。誕生のきっかけはスキー選手のオリンピック用ユニフォーム。水濡れに弱かったダウンウェアに防水性を持たせ、デザインもスタイリッシュにしてファッションシーンでもオンリーワンの人気シリーズになった。
進化し続ける水沢ダウンから今季リリースされた最新モデルがこの「ゴアテックス ローダー」。熱圧着の製造技術による防水性の高さに加え、軽量なゴアテックスのメンブレンを採用した最強の一着。中に詰まった羽毛はヨーロッパの規格である「DOWNPASS」認証を得たもので、トレーサビリティが可能。現在あるべき衣料品の基準に基づくダウンジャケットに仕上がっている。
これまでの水沢ダウンと比べて内ポケットが多く、フードやスノーカフ(雪や冷気を防ぐ裾のパーツ)が取り外しでき利便性もさらにアップ。アウトドアからタウンまで、これ一着あれば全方向に対応してくれる。
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続く水沢ダウンのジャケットは、2023年の最上位モデルであり1,000フィルパワーのダウンを搭載した「バーテックス」の改良版「バーテックス2」。従来モデルより10%軽量化された。さらにユニークなのが光を熱へと変換する裏地の「ヒートナビ」。背中部分がプリーツ加工されたことで生地の面積が増え、さらなる保温性のアップへとつながった。シンプルなルックスからは想像もつかないほど究極の防寒アウターである。
デサント オルテライン MD担当 大田晃輝
「ここに掲載された2着ともに、ゴアテックスと1,000フィルパワーのダウンを用いたハイエンドパフォーマンスモデルです。水沢ダウンの全体傾向では23年秋冬から少しゆとりがあるシルエットに見直し、24年秋冬モデルでは内ポケットを追加。より現代に即した服へと移り変わっています」
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街の空気とリンクするダウンウェア/ゴールドウイン
腰を覆うゴールドウインのダウンコートは、ビジネスシーンからライフスタイルまで幅広く着られる高スペックなウェア。ゴアテックスを搭載しファスナーも止水タイプの防水性が高い一着だ。フードも内蔵しているので急な雨降りでも問題なし。普段は上の写真のようにフードを収納して立ち襟にして着るとクールな印象に。フロントがダブルファスナーだから開け閉めのバランスも思いのままだ。
シルエットは全体的に直線的なIラインを描き、男女の差なく着られる。男っぽさが控えめで穏やかなのがジェンダーレスな現代らしいバランスだ。ゴールドウインはザ・ノース・フェイスやニュートラルワークス.といった時代感とリンクするブランドを多数抱えるメーカー。このセンスが自社の名を冠したこのブランドにも息づいている。スキーウェアで培った冬山のノウハウが真価を発揮した防寒アウターである。
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上半身に特化した防寒性能なら、こちらのジャケットのほうが上かもしれない。内部のダウンパックの障壁の一つひとつが立方体になった「3D BOX BAFFLE」を搭載。自社開発によりかさ高を増やして隙間を減らし、同じダウン量でも保温性をアップさせた。暖かさのさらなる実現のために首周りとフロントにも立体的なダウンチューブを配した念の入れようだ。
着るとそれなりのボリュームが出る。街着ならこのゆったり感を活かし、裾幅の広いルーズなパンツを組ませるとバランスがよさそうだ。細いスキニーパンツを穿くとスポーツマンに見えがちなので、それを避けたい人は全身をオーバーサイズ気味にするシルエットを意識して着こなそう。
ゴールドウイン PR担当 佐藤浩貴
「今回ご紹介いただいたコートはタウン向け、赤のジャケットは登山向けに企画されたアイテムです。いま再び流行してきたデニムとの相性もよく、機能的なファッションアイテムとしても日常でご愛用いただけるでしょう」
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ダウン超えの暖かさを実現!?/ミズノ
ミズノが1993年に開発したハイテク防寒素材「ブレスサーモ」をさらに発展させ、2024年に「テックフィルブレスサーモ」をローンチ。インナーやアウターなど幾つかの商品に搭載しはじめている。素材特性は650フィルパワーのダウン90%より暖かいとされている(ミズノ調べ)。水に濡れると保温性が低くなる天然のダウンと比べ、この素材は汗の蒸気は吸湿するが水を吸いにくい特性がある。服に高度な防水性を与えなくても暖かさを保ち、家庭での洗濯もイージー。さまざまなシーンでの着用に広がるポテンシャルを持つ素材だ。
ここにチョイスしたジャケットは、野球カテゴリーの「ミズノ プロ」に属するヴァーシティジャケット。フィールドスポーツ時はもちろん、街ではスクールテイストのトラッドな服装にもハマるだろう。一般的に身頃がウールで袖がレザーの重いヴァーシティジャケットを軽量な化繊に置き換え、さらに保温性も格段にアップ。ベーシックなファッションの現代的なアップデートにも一役買ってくれる。入手しやすい価格も嬉しい期待値の高いハイテクウェアだ。
ミズノ テックフィルブレスサーモ開発担当 櫻井大樹
「スポーツウェアは汗をかいたり、雨に濡れたりすると素材の機能性が低下しやすいものです。こうした問題を解消し、お手入れしやすい製品を開発しました。スポーツ時はもちろん、通勤通学、ジムの行き帰りなどの移動時にもお薦めです。さらなる快適な着心地をご提供できるように、今後も新たな製品開発を進めていきます」
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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