”絹”をテーマにめぐる、群馬で訪れたい5つのスポット

  • 写真・文:鈴木修司
Share:

ビームスジャパンの鈴木修司です。今回の旅の舞台は、群馬県。私の拠点である東京から近いので、ついつい後回しにしがちと反省ですが、栃木県と茨城県と合わせて北関東は、とても興味深い地域なのではと勝手に考えています。

1. 群馬が誇る世界遺産、「富岡製糸場」

富岡製糸場.jpg

以前にも何度か訪れている群馬ですが、今回は“絹”をテーマに県内を廻ってみました。

まずは、近代の日本を下支えした“絹(シルク)”産業の象徴として世界遺産にも選ばれた“富岡製糸場”です。一部改修中の場所もあり、すべての施設を見学できてないのですが、それでも十分に往時の繁栄を感じられ、かつ想像していた以上に手による作業が中心の施設と理解できました。当時の最先端の素材や技術を駆使したものの、海外の情報が非常に少ない中で出来る限りの工夫と努力で作り上げた建物や機械類に感動を覚えました。もちろんそこで働く職員の方々(日本全国から集まった)のご苦労あってこそ、今の日本があるのだなと、先人への感謝の気持ちを思い出すことができました。ちょっと堅い話になってしまいましたが、ぜひ一度は訪れて頂きたい場所です。

富岡製糸場2.jpg

---fadeinPager---

2. 群馬の繊維産業を支えた「おっきりこみうどん」

おっきりこみ.jpg

ちなみに、富岡製糸場の目の前にある“はや味”という食堂で頂いた群馬名物の“おっきりこみ”と呼ばれる具沢山の幅広い麺の煮込みうどん、とても美味しいものでした。日本各地ですが、繊維産業で栄えた地域には必ずと言っていいほど、特徴的な麺文化が見られます。山梨県は富士吉田の“吉田のうどん”、兵庫県は西脇の“播州ラーメン”しかりです。その理由とは、工場などで働く方々が手早くお腹いっぱいに食事を済ませるために、“麺”が都合良かったと聞いています。

---fadeinPager---

3.絹のボディタオルが秀逸、「ミヤマ全織」

お風呂タオル.jpg

また話が逸れてしまいましたが、富岡を後にして、日本の屈指の絹産業の地である“桐生”を目指します。桐生にはいくつかお世話になっているメーカー様があるのですが、今回訪れたのはビームスジャパンが群馬の銘品としてして紹介する(私の著書である「銘品のススメ」の群馬県の頁をご参照ください)、“絹のボディタオル”を製造される“ミヤマ全織”さんです。

 「銘品のススメ」で詳しく語っているので簡単に説明しますが、使い古した着物の再利用から始まった“アカスリ”を起源として始まった日本のボディタオル(身体を洗うための)は、その流れで絹やレーヨンで作るようになったそうです。

 そんな中、ミヤマ全織さんの仕事が素晴らしいのは、そのボディタオルを幾つかの素材で専門に作り続けていること、あくまでも原材料の一部ですが“蚕”の飼育もしていること(なんと飼料である桑の栽培までされています)、先細りしがちな絹産業を支えるべく様々な努力をされています。

絹のサウナハット.jpg

そこで私が目を付けたのは、絹糸で編まれたサウナハットです。私が説明するまでもなくですが、絹には“セリシン”と呼ばれる成分が多く含まれ、使うことによってソレが染み出し、人肌や髪に吸着し、浸透することで保湿力を高め、必要とする“潤い”を与えてくれます。高温で髪の毛を傷めがちなサウナに、もってこいの銘品ではないでしょうか。

---fadeinPager---

4.お蚕さまがせっせと働く「桑畑」

桑の栽培.jpg

お蚕.jpg

私が訪れたのが、ちょうど“蚕”が絹糸の元になる“繭”を作る季節の直前だったので、繭の糸をたくさん吐き出すために、蚕が必死に“桑の葉”を食べているところでした。最近ではなかなか見ることの出来ない貴重な場面ですが、そんな“お蚕様”に感謝の気持ちでいっぱいになったのでした。

---fadeinPager---

5.幅広の麺が記憶に残る「うどんの八州」

ひもかわうどん.jpg

そんな食べ盛りなお蚕様を眺めていると、私もお腹が空いてきたので、先に紹介した“おっきりこみうどん”に続き、桐生名物の“ひもかわうどん”(うどんの八州)を頂きます。豚肉とネギと油揚げが沢山入った甘辛いつけ汁に、おっきりこみ以上に幅広の麺が相性抜群で、想い出に残る美味さでした。

 今回は“絹”にまつわる地域の紹介でしたが、群馬県には東日本屈指の温泉街を有する“伊香保温泉”、知る人ぞ知る名湯の“四万温泉”、他にも沢山の温泉地もありますし、美容と健康を求めた群馬の旅をオススメいたします。

 

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター鈴木修司が日本の魅力を紹介! 

連載記事一覧

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。

鈴木修司

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター

1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。