【Penが選んだ、今月の音楽】
『ショスタコーヴィチ:交響曲第4番・第5番・第6番』
指揮者としては異例の若さでスターダムを駆け上った天才クラウス・マケラ。そんな彼の新譜は、ショスタコーヴィチの第4~6番だ。ソ連共産党からの粛清を恐れて初演を撤回した第4番は狂気的な演奏が多いなか、緊張感を保ちつつケレン味は排除。結果、人気作第5番と多くの共通性を持った意外と聴きやすい名作であると気付かせてくれる。第5番の演奏は悲劇も歓喜も強調しないのでイデオロギー色は薄く、肩肘張らずに楽しめる。第6番も諧謔性が抑えめなので、聴き終えた時の充実感が素晴らしい。
※この記事はPen 2024年12月号より再編集した記事です。