腕時計ブランドとして知られるロレックスだが、実は約1世紀にわたり、人類の限界に挑戦する探検家たちをサポートし続けてきた企業でもある。そんな同社が今、地球規模の環境保護に向けた新たな取り組みを始めている。同社が展開する環境保護プロジェクト「パーペチュアル プラネット イニシアチヴ」とナショナル ジオグラフィック協会による共同調査「パーペチュアル プラネット アマゾン エクスペディション」が、2年間にわたる大規模な調査を完了したのだ。
この画期的なプロジェクトの特徴は、これまでの定説を覆す視点にある。従来のアマゾン研究では熱帯雨林そのものに注目が集まっていたが、今回の調査では森を育む「水」に焦点が当てられた。気候変動や森林破壊、環境汚染は、オーストラリアの国土に匹敵する広大な面積を持つアマゾンの水系にどのような影響を及ぼしているのか──この問いを解明すべく、7つの専門チームが調査に乗り出した。
その成果は、私たちの想像をはるかに超えるものだった。アマゾン川の河口では、これまで科学的に確認されていなかった淡水域のマングローブ林が発見された。一方、2,700km以上離れたアンデス山脈では、世界最高所級の気象観測所の設置に成功。まるでSF映画のような最新技術を駆使しながら、研究者たちは未知の生態系の解明に挑んでいった。
最新のLiDAR技術を用いた氾濫原の解析により、季節的な洪水と森林の関係性が明らかになりつつある。また、絶滅が危惧されるピンクカワイルカの追跡調査では、川の健全性を示すバロメーターとして、新たな知見が得られている。
環境保護というと、どこか私たちの生活とは遠い話のように感じられがちだ。しかし、このプロジェクトの真骨頂は、科学研究と地域コミュニティの協働にある。世界最大の鱗を持つ淡水魚・ピラルクーの保護活動では、地域住民との連携により15年間で個体数を600%以上増加させることに成功。環境保護と地域発展の両立という、困難な課題に対する一つの解を示している。
「ナショナル ジオグラフィックとロレックスのパートナーシップは、研究とコミュニケーションの両方においてユニークな機会です」と話すのは、マングローブ林の新種を発見した海洋生態学者のアンジェロ・ベルナルディーノだ。2年間の調査を通じて浮かび上がってきた事実は、アマゾンの水系に注目することが、この貴重な熱帯雨林を保護する鍵となるということだ。このプロジェクトの詳細は、ナショナル ジオグラフィック探検家で写真家のトマス・ペシャックによる圧巻の写真とともに、rolex.orgで公開されている。
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