東京各地を現代アートでつなぐ「アートウィーク東京」が11月10日まで開催中

  • 文:中島良平
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AWT FOCUS「⼤地と⾵と⽕と:アジアから想像する未来」会場外観(⼤倉集古館、東京) Photo by Kei Okano. Courtesy Art Week Tokyo.

東京における現代アートの創造性と多様性を国内外に発信する、年に一度のイベント「アートウィーク東京(以下、AWT)」が11月7日から10日の4日間開催される。メイン会場を設けるのではなく、東京を代表する計53の美術館/インスティテューション/ギャラリーで開催される多様な展覧会がラインナップされ、「買える展覧会」として始まった「AWT FOCUS」や映像作品プログラム「AWT VIDEO」などAWT独自の企画も複数実施。各施設をつなぐ無料のシャトルバス「AWT BUS」が走り、さまざまな体験を通して東京のアートの「いま」を感じさせるイベントだ。

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会期中にアートスペースをつなぐ無料のシャトルバス「AWT BUS」(東京都庭園美術館)

美術館での作品鑑賞とギャラリーでの作品購入の体験を掛け合わせた「AWT FOCUS」は、森美術館館長の片岡真実が監修を務め、「大地と風と火と:アジアから想像する未来」と題する展示を大倉集古館で実施する。「宇宙の構造」「手、身体、祈り」「見えない力」「自然界の循環とエネルギー」という4部で構成されるこの企画には、50組(名)を超える作家が参加し、89点に及ぶ作品を展示。日本最古の私立美術館と呼ばれる大倉集古館で、「買える展覧会」として楽しむことができるのは貴重な機会だ。 

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AWT FOCUS「⼤地と⾵と⽕と:アジアから想像する未来」展示風景(⼤倉集古館、東京) Photo by Kei Okano. Courtesy Art Week Tokyo. 韓国伝統の紙細工にゆるやかに触発されたヤン・ヘギュによる作品(画面右側)や、パフォーマンスを通じて生み出された廣直高の作品(画面左側)など、多彩な表現が集結する。
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AWT FOCUS「大地と風と火と:アジアから想像する未来」(監修:片岡真実)出展作品 左より、トーマス・ルフ《d.o.pe.07 III》2022年 © Thomas Ruff, courtesy Gallery Koyanagi.、イケムラレイコ《Stehende I, II》1991年 Photo by Shigeo Muto. ©︎ Leiko Ikemura, courtesy ShugoArts.

映像作品を上映する「AWT VIDEO」は、ニューヨークのスカルプチャーセンターでディレクターを務めるソフラブ・モヘビが監修を担い、加藤翼、蜷川実花 with EiM、吉増剛造、エドガー・カレルなど国内外のアーティスト13組(名)による14作品をセレクト。千代田区丸の内の三井住友銀行1Fアース・ガーデンを会場に、誰でも無料で作品鑑賞できる形で上映される。

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AWT VIDEO「飛行機雲か山脈か」(監修:ソフラブ・モヘビ)出展作品 蜷川実花 with EiM《胡蝶》2024年 © Mika Ninagawa, courtesy Tomio Koyama Gallery.
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AWT VIDEO「飛行機雲か山脈か」(監修:ソフラブ・モヘビ)出展作品 三宅砂織《Seascape (Suzu) 2》2024年 © Saori Miyake, courtesy the artist and Waitingroom.

そのほかにも、建築×食×アートのコラボレーションとして、ランドスケープアーキテクトの戸村英子が設計した「AWT BAR」が港区南青山の複合ビル「emergence aoyama complex」に登場。「ゴ・エ・ミヨ2023」でベスト・パティシエ賞を受賞した「EMMÉ」の延命寺美也がフードを手がけ、ギャラリーなどで展覧会を開催するアーティストとのコラボレーションカクテルも味わうことができる。

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⼾村英⼦による「ランドスケープがつくるBAR」 © eiko tomura landscape architects
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「AWT BAR」にて提供されるEMMÉ・延命寺美也によるフード2種 左より「タタンモンブラン」と「新ゴボウとベーコンのケークサレ」
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アーティストとのコラボレーションカクテル。左より、国立新美術館で展覧会を開催中の荒川ナッシュ医「旅⽴つ秋」、無人島プロダクションで展覧会を開催中の⼩泉明郎「Ritualistic People:祭⺠」

「AWT FOCUS」や各ギャラリーで購入を念頭にアートを楽しむもよし。映像作品やアーティストトークなどを通して深くアートに入り込むもよし。アートにリンクするフードやドリンクを味わい、創造の広がりを感じるもよし。「AWT」の濃密な4日間、アートを存分に楽しんではいかがだろうか。

アートウィーク東京 ART WEEK TOKYO

会期:2024年11月7日(木)〜11日(日)
会場:都内各所の美術館やギャラリー
詳細は公式サイトより
https://www.artweektokyo.com