プラスサイズの乗客は飛行機で2席買うべき? 身体が大きな人の搭乗について議論勃発

  • 文:宮田華子
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@ ChristopherJamesElliott - Facebookアカウントのキャプチャ画像

非営利消費者団体「Elliott Advocacy」のFacebookページの投稿が、世界中で議論を巻き起こしている。

この投稿は9月3日、同団体の創設者であるクリストファー・エリオットさんが書き込んだものであり、下記のような内容だ。

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@ ChristopherJamesElliott - Facebookアカウントのキャプチャ画像

「昨日、ヘルシンキからコペンハーゲンへのフライトで、この男性が私の後ろに座っていました。彼とその隣の真ん中の席に座っていた男性に同情しました」

「短いフライトでしたが、2人共とても不快だったはずです。航空会社はこのような状況に対し、思慮深く、配慮を持って対処すべき時なのかもしれません」

この投稿は瞬く間に多くの人びとの注目を集めた。現在に至るまで何と約2万4000ものコメントが寄せられ、「Daily Mail」をはじめとするメディアも報道している。

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さまざまな立場からのコメント

投稿へのコメントは、さまざまな角度・意見・立ち位置からのものだった。

「(プラスサイズの人は)2席買えば済むこと」

「(プラスサイズの人が普通の人より多く支払うことは)差別ではなく、安全のためです」

「私は大柄だけれど、極端に太っているわけではありません。でも体が大きいので(機内の)座席(の狭さ)に苦労することがあります」

「私はいつも追加の席を購入しています。最近ではビジネスクラスにしています」

 「プラスサイズの人が隣に座り、アームチェアをあげられそうになったことがあります」

「横に大きな体の人が座り(その人に触れないようにするため)4時間も体を横向きにしなくてはならなかったのです」「その後数日間、足と腰に痛みを感じました」

「航空会社は座席をより大きく、快適なものにすべきだと思う」

上記のようにプラスサイズ旅行者本人の意見、また航空会社のふるまい・姿勢に対する意見が多かったが、「このプラスサイズの人物を無許可で写真を撮影し、Facebookにシェアした」エリオット氏を批判する内容のコメントもあった。

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5000以上の「いいね!」がついたコメントも。@ ChristopherJamesElliott - Facebookアカウントのキャプチャ画像

誰しもが1度は考えたことがある…?

フライト座席の窮屈さについては、誰もが経験があることだ。特にエコノミークラスの座席は細身の体型の人であっても「快適」とは言い難い。ましてはプラスサイズの人にとっては苦痛に違いない。

左右だけでなく前後の幅も狭いことから、体を座席に収めるのが大変なだけでなく、機内食用のテーブルを出すことが出来ない場合もある。

プラスサイズの人本人がフライトに不安を覚えたり、また近くでプラスサイズの人の搭乗を見て「席はどうするのだろう?」と考えたり― そうした経験を多くの人がしているはずだ。

プラスサイズのトラベルインフルエンサーであるジェイリンさんも、不快な思いをした一人だ。彼女はいつも2席分予約をして搭乗しているが、「プラスサイズの人が全員、複数席を購入できるわけではない」とコメント。

 


プラスサイズ・トラベラーとしての意見を発信しているジェイリン・チェイニーさん。

また「自分はプラスサイズの車椅子ユーザー」という身体的特徴を予め申請していたにもかかわらず、搭乗口までの車椅子サポートが受けられなかったため、酸素レベルが低下した経験も告白している。

@jaebaeofficial Trapped and Ignored: My Dehumanizing Experience as a Plus Size Disabled Traveler at Chicago O'Hare Airport Highlights the Urgent Need for Better Accessibility and Support 💔⁣ •⁣ •⁣ •⁣ #PlusSizeTravel #BodyEqualityInTravel #PlusSizeTravelBlogger #FatDisabledWorthy #FatAndDisabled #PlusSizeTravelStruggles #PlusSize #FlyingWhileFat #TravelingWhileFst #Fyp ♬ Emotional Piano for the Soul (Inspirational Background Music) - Fearless Motivation Instrumentals

 


ジェイリンさんの場合、酸素レベルが下がると気を失う可能性もあるので適切なサポートが必要だ。

議論の行方は?

今回、エリオットさんの投稿は彼の予想以上に大きな議論を呼び起こした。Bored Pandaの取材に対し、「反響の大きさに驚いている」と答えている。

エリオットさんに対してもコメントも多かったが、「コメントのほとんどは思慮深く思いやりのあるものでした。否定的なものもありましたが、投稿が人気になるとそうなるのでしょう」と冷静に語っている。

ほとんどの航空会社がプラスサイズの乗客に対し、明確な規定は設けてはいない。しかし安全を確保するための長いシートベルトや、非常口近くにプラスサイズの乗客が座らないようにする等の準備や配慮は行っている。

すべての乗客が快適にフライトを楽しめるという「理想」を実現するのは難しいかもしれない。しかし安全を最優先に考えつつ、差別のない発言・行動を考慮した上で、議論が展開されることを期待したい。

 

【次ページ:動画で確認】プラスサイズのトラベルインフルエンサー、ジェイリンさんのTikTok

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@jaebaeofficial These are some of the struggles that plus size travelers face. Travel is possible for everyBODY, but it definitely comes with challenges and should be more accessible!! What travel challenges have you faced? #plussizetravel #plussizetravelblogger #flyingwhilefat #travellingwhilefat #travelingwhilefat #traveltok #plussize #plussizeedition #fyp ♬ Monkeys Spinning Monkeys - Kevin MacLeod & Kevin The Monkey

 


ジェイリンさんの投稿を見ると、プラスサイズ・トラベラーの視点がよく分かる。彼女は機内の小さいトイレ、短いシートベルトについても警笛を鳴らしている。