腕時計の情報を専門的に扱うYouTubeチャンネルが、数多く存在するのをご存知だろうか? 登録者数10万人を超える人気チャンネルから時計修理士まで、個性豊かな4人の配信者に推しの1本を推薦してもらった。
Pen 2024年12月号の第1特集は『100人が語る、100の腕時計』。腕時計は人生を映す鏡である。そして腕時計ほど持ち主の想いが、魂が宿るものはない。そんな“特別な一本”について、ビジネスの成功者や第一線で活躍するクリエイターに語ってもらうとともに、目利きに“推しの一本”を挙げてもらった。腕時計の多様性を愉しみ、自分だけの一本を見つけてほしい。
手間を惜しまず、理想を追い求めた傑作
A. LANGE & SÖHNE/A.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」
専門用語を極力使わず、表やグラフなどを駆使し、腕時計の魅力をわかりやすく発信している「腕時計のある人生Channel」。配信者のRYがお薦めする一本は、チャンネル登録者数10万人突破を記念して自身も購入したA.ランゲ&ゾーネ「ランゲ1」だ。
「1994年にブランド復活のコレクションとして登場した4モデルのひとつで、理想を追い求めて誕生したアイコニックな時計です。一度組み立てて精度を確認した後で分解し、部品を磨いてから再び組み立てる2度組みへのこだわりや、ムーブメントの美しさなど、時計づくりへの真摯な姿勢に惹かれます」
決して立ち止まらない、“ネバー・スタンド・スティル”というブランドポリシーにも共感する。
「ランゲ1とともに、自分もそのように人生を歩みたいですね」
腕時計のある人生 Channel
本業である航海士になって3年目の記念にロレックス「サブマリーナー」を購入したことで、機械式時計の面白さに目覚める。2020年3月に開設し、今年登録者数10万人を突破。初心者にわかりやすい解説がモットー。
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異素材のコンビネーションと、抜群の精度
TUDOR/チューダー「ペラゴスFXD “アリンギ・レッドブル・レーシング”」
30日間にわたり腕時計を実際に装着し続け、リアルな精度を計測する企画など、手の込んだレビューで人気を集めているチャンネル「Samurai Japan」。配信者のSJが提案する一本は、チューダー「ペラゴスFXD “アリンギ・レッドブル・レーシング”」だ。
「競技用ヨットのデザインをモチーフにつくられたモデルです。チューダーは異素材の組み合わせが得意。この時計のケースはカーボンコンポジット、チタニウム、ステンレス・スチールを組み合わせてできていて、強くて軽い。ストラップもファブリック製なので、気軽に着けてほしいですね」
搭載する自社製ムーブメントの「MT5602」も高く評価する。
「YouTubeの企画で実測したところ、なんと日差+0.2秒でした。価格を凌駕する精度も魅力です」
Samurai Japan
2019年4月に開設。これまでに300本弱の時計をレビュー。30日間の平均日差を測定する「スーパー精度マラソン」をはじめ、具体的かつ客観的でわかりやすい企画や解説が人気。腕時計の最新情報も発信する。
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故障しにくい、秀逸な手巻きムーブメント
PANERAI/パネライ「ルミノール ロゴ」
「時計修理」という文化の継承を目的に、本格的なオンライン授業を実施する「オンラインウォッチアカデミー」。YouTubeでも修理の様子を収めた動画などを配信し、注目を集めている。代表講師である一級時計修理技能士の藤本信和がお薦めする一本は、パネライ「ルミノール ロゴ」だ。
「搭載する『P.6000』は振動数が1時間に21600回、つまり1秒間に6回。歯車に与える負担を減らしつつ、精度も保たれた素晴らしいムーブメントです。手巻きなので部品点数が少なく、故障しにくいという点でもお薦めです」
実際に修理することもあったという、パネライの価格以上の品質に太鼓判を押す。
「視認性を優先し、ムダを削ぎ落としたデザインにも惹かれます。長く愛用してほしい一本です」
藤本信和/オンラインウォッチアカデミー
腕時計の修理技術を動画レッスンで伝えるオンラインウォッチアカデミーが、その活動の一部を発信するチャンネル。時計修理歴25年以上の藤本だからこそできる、腕時計に関するノウハウを紹介する動画が人気。
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初めての機械式時計にも最適なダイバーズ
SEIKO PROSPEX/セイコー プロスペックス「SBDC197」
家電量販店の時計売場で長年働いてきた経歴を活かし、30万円以下の手の届きやすい価格帯の腕時計を中心に紹介しているチャンネルが「watch mix」。配信者のウォッチミックスが薦めるのは、1965年の「ファーストダイバー」を現代的に解釈したセイコー プロスペックス「SBDC197」だ。
「クラシカルなデザインは大人の時計として最適です。最近は日付表示のないシンプルな文字盤が人気ですが、これはなくすのではなく、4時と5時位置の間にさりげなく配置。利便性を保持しながら、シンメトリーでスマートなフェイスを実現しています」
ケース径40mmとダイバーズウォッチにしては小ぶりな点も日常使いに向いているという。
「価格とのバランスもよく、最初の機械式としてもイチ押しです」
watch mix
元時計販売員が売り場で接客するかのように腕時計を紹介するチャンネル。30万円以下のエントリークラスの腕時計を深掘りして紹介する。マイクロブランドや日本未上陸ブランドも積極的に取り上げている。
『100人が語る、100の腕時計』
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