PLAY! MUSEUMにて開催中の『ONE PIECE ONLY』展。「ONE PIECE」のキャラクターやストーリーを詳らかに紹介するというよりも、尾田栄一郎が描いた渾身の原画がどのように本となって、読者へと届くのかを辿るユニークな展覧会だ。会場の様子、見どころをお届けする。
圧倒的没入感!全⻑140mにおよぶ「ONE PIECE」大絵巻が出現
1997年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載中の「ONE PIECE」。海賊王を目指す主人公モンキー・D・ルフィと仲間たちが「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求めて冒険する物語は、日本はもちろん海外でも人気を集め、全世界のコミックス発行部数が5億1000万部(2024年4月現在)を超えるなど世界的大ヒットマンガとして愛されている。本展では『ONE PIECE』の1〜109巻に掲載された全1100話をコミックスから切り離し、貼り合わせて展示。高さ3.6m、全⻑140mにおよぶ「ONE PIECE」大絵巻が見られる。貼り付けには8人がかりで1カ月ほどかかったというが、展示室の外まで続く大絵巻にて「ONE PIECE」の世界に没入できる。
集英社マンガアートヘリテージによって生み出されたアートプリント
「マンガを、受け継がれていくべきアートに」をビジョンに掲げ、2021年にスタートした集英社マンガアートヘリテージ。その活動が生み出した100点以上にも及ぶアートプリントも見どころだ。ここではコットン100%の紙にアーカイヴァル・インクジェットプリントを施したカラー作品をはじめ、現在では希少となった活版平台印刷機によるモノクローム作品、さらには手漉きの越前和紙にコロタイプ印刷を行った作品など、さまざまなメディアに写し出された「ONE PIECE」を楽しめる。また制作に使用した金属刷板や、制作風景を記録した映像も見逃せない。
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19個の「宝箱」でたどる「ONE PIECE」の制作プロセスとは?
「ONE PIECE」が生まれるプロセスとは…? 会場に点在する19個の白い「宝箱」に目を向けたい。そこに収められたのは、1000話のネームや原画、コミックス100巻のカバー原画や印刷に関わる資料だ。中には「ONE PIECE」100巻のオフセット印刷の刷版とブランケットをはじめ、一冊のコミックスとして裁断される前の二丁製本見本、さらに今や作られていない「週刊少年ジャンプ」印刷のための黄色い活版印刷樹脂版といった珍しい資料も少なくない。また「ONE PIECE」のコミックスのカバーは実は7色で印刷されていたことなど、コミックスの知られざる秘密も明らかにされる。
「週刊少年ジャンプ」とコミックスが作られる様子を迫力ある映像で紹介!
「週刊少年ジャンプ」とコミックスが作られる瞬間をとらえた、映像インスタレーションが迫力に満ちあふれている。共同印刷と中央精版印刷の協力の元、それぞれの印刷工場の現場をハイスピードカメラで撮影し、3台の8Kプロジェクターで投影。クラシック音楽の立体的なBGMとともに、凄まじいスピードで印刷される様子や、製本されて出荷されるプロセスなどをスローモーションを交えて映し出している。「ONE PIECE」をきっかけにものづくりの現場に肉薄した、製作に携わる印刷会社のスタッフですら見たことのないような貴重な映像だ。
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2025年には北米で開催予定。かつてない「ONE PIECE」の展覧会がここに!
この他、写真家の本城直季がネームや原画のクローズアップ、刷版などの印刷に関わる資料、それに空から見た集英社や印刷所などを撮り下ろし。会場にて見られるとともに、「宝箱」の内容を中心としたジャンプコミックスサイズの図録に収録され、来場者全員にプレゼントされる。またジャンプコミックスサイズの特製用紙にカラーマーカーなどを使ってイラストを描き、できあがった絵を⻩金の部屋に飾る参加型のコーナーにもチャレンジしたい。2025年には海を渡り、北米でも開催が予定される『ONE PIECE ONLY』。27年の「ONE PIECE」の歴史の中でもエポックメイキングとなるような展覧会へぜひ足を運びたい。
『ONE PIECE ONLY』展
開催場所:PLAY! MUSEUM(東京都⽴川市緑町3-1 GREEN SPRINGS W3 棟 2F)
開催期間:開催中〜2025年1月13日(月)
https://one-piece-only.play2020.jp/