アメリカ発の下着&ファッションブランド「ヴィクトリアズ・シークレット(Victoria’s Secret)」のファッションショーが6年ぶりに復活した。
このファッションショーは、1995年から2018年まで毎年行われていた。ピーク時には世界約200カ国でショーの模様が配信され、視聴率を稼ぐコンテンツとしてもてはやされていた。
しかし2010年代になると、ボディポジティブ、ジェンダー・年齢への差別やバイアス、多様性の欠如等の観点からショーへの批判が高まるようになった。
2016年以降は「ヴィクトリアズ・シークレット」の商品売り上げも下降し、親会社「Lブランズ」の創業者でありCEOであったレス・ウェクスナーがジェフリー・エプスタインと友人であったこと、重役エド・ラゼックの女性蔑視セクハラ発言も明るみになった。
こうした状況や批判に対し、2019年に「ヴィクトリアズ・シークレット」は無期限でファッションショーの開催中止を発表。ブランディングとマーケティングの見直しを行ってきた。そして今年10月15日に6年ぶりとなるショーが開催された。
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インクルーシブなショーとして復活
今回のショーは「インクルーシブなショー」の実現を目指した試みが多数含まれていた。トランスジェンダーのモデルを初めて起用し、これまででもっとも多数のブラウンおよび黒人のモデルが登場した。またプラスサイズモデル、比較的年齢の高いモデルも多くランウェイを彩った。
注目されたのは、レジェンドモデルたちの「エンジェル(同ブランドのモデル)復活」だ。
2018年まで「ヴィクトリアズ・シークレット」の「顔」として知られていたアドリアナ・リマに加え、アレッサンドラ・アンブロジオ、キャンディス・スワンポール等の「有名エンジェル」が今回のショーに出演を果たした。
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またケイト・モスやアシュレー・グラハム等のスーパーモデルが今回初めて「エンジェル・デビュー」したことも大きな話題となった。
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露出度が低い、心地よいデザインのランジェリー
今回のファッションショーは、「ヴィクトリアズ・シークレット」がこれまでの批判をどう捉え、「具体的に何を変えたのか」を世界にプレゼンする機会だっただけに、大きく注目された。
ショーに使用されたランジェリーは、これまでのような露出度の高いアイテムやセクシー度が高いものは少なくなった印象だ。
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Bella causes a slight nip slip after lifting her arms in one of the final numbers at the Victoria’s Secret Fashion Show, which was filmed in Shanghai in November 2017. The moment did not make the final cut when the show aired on CBS one week later. pic.twitter.com/GOHSNU4AFQ
— Dust (@luongducthien) July 2, 2024
そして透け感のある素材を使いつつも、体をふんわり包んだデザインが多かった。
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「ヴィクトリアズ・シークレット」の「これから」はいかに?
ライブパフォーマンスを行ったミュージシャン3人がすべて女性だったことも印象深い。
多様な出演陣を揃え、インクルーシブなショーを作り上げるようとした努力が見えるショーだったと言える。その点では高く評価される結果となった。
しかし今回のショーで「過去」がすべて払しょくできたわけではもちろんない。6年ぶりのショーだっただけに「久し振りに見て楽しかった」「懐かしかった」と思った視聴者は多いが、「どの程度生まれ変わったのか」「新たな方針にブレがないのか」等には疑問が残る。
かつてのような売り上げとブランド力を回復し、またファッションショーとしても以前のように世界中の人が「見たい」と思えるコンテンツとして返り咲けるのか?― ファッション業界だけでなく、多様性のある社会を支持する多くの人たちが注目している。
【次ページ:動画で確認】6年ぶりの「ヴィクトリアズ・シークレット」ファッションショー
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