真のミューズはマドリードの街だった?アルモドバル映画に描かれた“街”を追う展覧会

  • 文:小林由季
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MADRID マドリード/スペイン

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マドリードの象徴的な場所、メトロポリスのビル前での若い頃の写真を背にポーズをとる監督。現在は初めての英語での作品を撮影中。 © Iglesias Más

強くたくましい女性を描き続ける映画監督、ペドロ・アルモドバル。彼の映画にはペネロペ・クルスをはじめとして必ずミューズが登場するが、6月から首都マドリードで行われているアルモドバルの展覧会は、街自体をアルモドバルのミューズのひとりとして捉え、数々の作品のなかで描かれてきたマドリードの姿を追う趣向だ。アルモドバルは、表現の自由を求めて起きた80 年代の文化運動「モビーダ・マドリレーニャ」筆頭のアーティストだが、彼が描いた独裁政権後の時代がマドリードの思春期とすれば、いまや首都は成熟した女性のよう。監督独特の鋭い観察眼を通じて、マドリードの魅力が存分に楽しめる展覧会となっている。

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映画『オールアバウト・マイ・マザー』に登場する女優マリサ・パレデスやセシリア・ロスも監督のミューズだった。

※この記事はPen 2024年11月号より再編集した記事です。