大型ハリケーンの最中、氾濫する川に飛び込むライバーの動画にネット衝撃「命を危険にさらしてお金を稼ぐなんて」

  • 文:Takahashi Rikako
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2024年10月9日のハリケーンミルトンの天気レーダー。Photo:Fred Duval/Shutterstock※写真はイメージです

大型ハリケーン「ミルトン」が、10月9日から10日にかけ米フロリダ州を横断した。CBSニュースによると、少なくとも24人が死亡した。

ライブ配信で収入を得るいわゆる“ライバー”のマイク・スモールズ・ジュニアが、ミルトンの上陸中に避難指示を無視し、危険な場所で配信を行ったとして批判されている。

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ハリケーンを生き延びたら賞金

豪雨の中、マイク・スモールズ・ジュニアは、ライブ配信プラットフォームKickで屋外から動画配信を始めた。

別のライバー、アディン・ロスが「サバイバルチャレンジ」と称し、ハリケーンの中で動画を配信し生き延びたら7万ドル(約1000万円)を贈呈するとライバーたちに呼びかけており、マイクもそのチャレンジに参加したのだ。

マイクは動画で「視聴者数が1万人に達したら、氾濫する川にマットレスごと飛び込んで浮いて見せる」と宣言した。開始から約50分後、視聴者数が1万人を超え、マイクは「俺は有言実行の男だ」と言いながら自分が乗ったマットレスを川に滑らせた。

増水し、流れも早くなった川に危険を感じ、マイクはすぐ近くにあった木にしがみついた。「オーマイガー」「大変だ」「泳げないんだ」と息を荒くして取り乱しているが、「Kickでフォローしてくれよ」とも忘れずに繰り返す。視聴者数が増えているのを意識してのことだ。

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200人以上が死亡したハリケーン「ヘレン」でも配信

開始から約1時間、視聴者から「川から出るなら1万ドル(約150万円)出す」というコメントを確認し、マイクは配信は終了した。「終了! 家に帰る」と彼が言っている間「残ったら2万ドル(約300万円)」とコメントする人もいた。

マイクやアディンに対し「命を危険にさらしてお金を稼ぐなんて」「救助が必要になった場合、助けに来る人に危害が出るかもしれない」など批判の声があがった。

9月に甚大な被害をもたらしたハリケーン「ヘレン」の際も、マイクは屋外から動画を配信している。暴風が吹き荒れる中、ビーチにテントを張り、水が押し寄せる様子をうろたえながら実況した。

ヘレンはフロリダ州、ジョージア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州など広範囲を襲い、前例のない鉄砲水が多数発生した。227人が死亡している。

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警察が声明「救助活動の負担になる」

マイクは「クリックとお金のためにハリケーンで命を危険にさらすインフルエンサーたち」と題されたBBCの記事で、インタビューに答えている。自身の行動が「物議を醸す」こと、批判の理由も十分理解しているとしたうえで、こう付け足した。

「コンテンツクリエイターの立場からすると、人々はある種エッジの効いたものを好むんです」

「使えるクリップを撮って、もし騒ぎになったら、5分か10分歩いて家に帰れば問題ありません」

「適切な報酬を得られるなら」また危険な配信をすると記者に語った。

フロリダ州タンパ警察は、「避難指示を無視することは、自分の安全を脅かすだけでなく、不眠不休で人命救助にあたっている救急隊員に更なる困難をもたらします」と声明を出した。

「意図的に危険な場所に身を置くと、重要な資源が流用され、他の人々の喫緊の救助活動に遅れが生じる可能性があります」

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ライバーのマイク・スモールズ・ジュニア。本人のインスタグラムより

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該当の動画。

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ハリケーン「ヘレン」時の配信。