東京・虎ノ門のアートギャラリー、art cruise gallery by Baycrew’sにてニューヨークの写真家・ソール・ライターの写真展『Saul Leiter』が開催中だ。“カラー写真のパイオニア”と称され、日本でもファンの多い彼は、没後のいまもなお国際的に評価され続けている。

ソール・ライター生誕100年にあたって渋谷ヒカリエで開催された写真展『ソール・ライターの原点 ニューヨークの色』もまだ記憶に新しいが、今回の展示では新たにプリントされた日本未公開作品44点が私たちを待ち受けている。ファッション・フォトグラファーとして活躍していた頃の作品から未整理だった膨大なカラーポジのアーカイブまで、ライターが生み出した唯一無二の色彩の世界を楽しめる貴重な機会だ。

肥大化していくアートの潮流に背を向けるように、彼はニューヨークの街中に潜む色彩と詩情に満ちた小さな断片を写し取る。「写真はしばしば重要な瞬間をとらえるものとして扱われるが、本当に写真がとらえているのは、終わることのない世界の小さな断片と思い出なのだ」と語っていた彼の世界観と美意識を存分に味わえる本展で、その本質と美しさに触れてみたい。

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