美術館職員がゴミと間違えて捨ててしまった“空き缶アート”とは? 館長は粋な対応見せる

  • 文:大村朱里
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Shutterstock-New Africa ※写真はイメージです

オランダの美術館で、思わずクスッと笑ってしまうハプニングが起きた。職員が“ビールの空き缶”のようなアート作品をゴミと勘違いし、誤って捨ててしまったのだ。この出来事は現在SNSで話題になっている。

オランダ・リッセにあるリッセ美術館のエレベーターに飾られていたのは、「All The Good Times We Spent Together」と題された本物のようにペイントされた“空き缶”の現代アート。美術館によれば、エレベーターの整備士はこの作品を「放置されたゴミ」と勘違いし、ゴミ箱に捨ててしまったという。フランス人アーティストのアレクサンドル・ラヴェが1980年代に制作したこの作品は、一緒に酒を飲み、心を通わせた夜の後の「友人たちとの貴重な時間」を象徴しているという。

館長のシーツケ・ファン・ザンテン氏は、アートを壁や台座のような「平凡な場所」に展示することを信条としておらず、驚きを与えるためにこの作品をエレベーターに置いたそうだが、作品は細かくペイントが施され、本物のように凹みも見られるため、エレベーターにただ置かれていたらゴミだと思う人もいるかもしれない....。

「私たちのアートコレクションは食べ物と消費がテーマです。アートを通じて、日常的なものを特別な視点で見てもらうことが重要です。作品を異なる形で見せることで、その効果はさらに高まります」とザンテン氏は語っている。

ただ、その斬新なアイデアは整備士には伝わらなかったようで、美術館のスタッフが休憩から戻った際に作品が無くなっていることに気づき、捜索が始まったという。

「彼は自分の仕事を精一杯やったのです」と言及せず

美術館によると幸運にも、作品が入ったゴミ袋はまだ持ち去られておらず、回収できたといい、「奇跡的に、缶は無傷でした」と語っている。館長は、エレベーターの整備士の責任は問わず、「彼は自分の仕事を精一杯やったのです」と述べ、むしろ彼の行為は「芸術家アレクサンドル・ラヴェへの賛辞」と考えているようだ。現在、この作品は美術館の入り口に一時的に展示され、台座の上に置かれているので、もう捨てられることはないだろう...。

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【画像】捨てられてしまったアート作品。

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【画像】エレベーターに飾られていたアート作品。