待望の25年が発売!長塚健斗と紐解く、グレングラントの華麗なるブランドヒストリー

  • 文:西田嘉孝
  • 写真:湯浅 亨
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日本で11月にリリースした「グレングラント25年」。熟成にはアメリカンオークのバーボン樽とオロロソシェリー樽を使用。定番品としては最長熟成となる超プレミアム品だ。

フルーティで華やかなアロマ、そして洗練された雑味のないフレーバーで人気のシングルモルト・スコッチウイスキー「グレングラント」。その最高級ラインとなる「GLASSHOUSE COLLECTION(グラスハウスコレクション)」シリーズから、待望の新作となる「グレングラント25年」が登場した。 

蒸留所の創業者の息子であり、グレングラントを世界的なブランドへと成長させた“ザ・メジャー”が、世界中を飛び回って珍しい花々や植物を収集し、蒸留所の敷地内にあるガラス張りの温室(GLASSHOUSE)で大切に育て、グレングラントのウイスキーづくりの重要なインスピレーションとなった。そうしたヒストリーから着想を得た同コレクションは、グレングラントでの60年以上のキャリアを誇り“伝説のマスターディスティラー”と呼ばれたデニス・マルコムが、就任中最後に手掛けたもの。

現在の通常ラインアップ中では最長熟成となる「グレングラント25年」では、最高級のオロロソシェリー樽とバーボン樽で、四半世紀以上の熟成を重ねた貴重な原酒を使用。グレングラントらしい華やかでフルーティな香味に、ダークチョコレートのようなコクやオーク、ナツメグなどのスパイスが完璧な形で調和する、グレングラントの最高傑作ともいえる一本だ。

特別なウイスキーに秘められた歴史

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豊かな自然に囲まれる19世紀後半に建てられたというグレングラント蒸溜所の熟成庫。黒く変色した石壁が蒸溜所の歴史を物語る。

 

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スペイサイドでの鉄道の開通時の写真。グラント兄弟は、地元ローゼス町の発展にも貢献し、それを称えられ1つの車両には「GLENGRANT」と名付けられた。

数多くの高品質なモルトウイスキーが生産される、スコットランドのスペイサイドエリア。グレングラント蒸溜所は、同エリアに位置する自然豊かなローゼス町で1840年に設立された。創業者は兄ジェームスと弟ジョンのグラント兄弟。法律家だったジェームスは政治家としても人々の尊敬を集め、ジョンは穀物商として成功を収めた起業家でもあった。

ジェームスはスペイサイドでの鉄道の開通にも貢献し、ウイスキーの大量輸送を可能に。彼らが理想とするウイスキーを追求したグレングラントは、「スコットランド以外で最初に発売されたスコッチウイスキー」とも言われる。

そんな兄弟が追い求めた理想の味わいを完成させたのが、ジェームスの息子であるグラント・ジュニア(通称メジャー)だ。新進の気風を受け継いだメジャーが目指したのは、当時、スペイサイドやハイランドの多くの蒸溜所で造られていた、ピーティでヘビーなタイプとは一線を画す、フルーティで華やかな味わいのシングルモルトウイスキー。

そうした香味を実現するため、メジャーはユニークな形状の背の高いポットスチルを自らデザイン。さらには、すべてのスチルに精溜器を取り付けるという画期的なアイデアで、現在のグレングラントに通じるエレガントな酒質を実現した。

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グレングラントのウイスキーは庭園内にも流れる良質な天然水でつくられている。

唯一無二のポットスチルでの蒸溜や、グラント川の水源近くから引いている良質な天然水、隣接する広大な庭園であるビクトリアンガーデンの美しい景観からのインスピレーションまで、グレングラントでは150年以上にわたり、メジャーの時代と変わらないウイスキーづくりを続けてきた。

数あるスコッチのシングルモルトの中でもグレングラントが特別であり続けるのは、創業者であるグラント兄弟とメジャーの想いや革新性が、いまも変わらずブランドに息づいているからだ。

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ジェームスグラントとジョングラント兄弟によって1840年に設立したグレングラント蒸留所。彼らは地元コミュニティへの想いも強く、スコットランド史上最後の氏族による反乱の指揮を取ったと言われている。

グレングラント25年の詳細を見る

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グレングラントならでは、唯一無二のシングルモルト

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ウイスキーファンから初心者にまでお薦めの一本。2020年に誕生し日本でも大ヒットアイテムとなった「グレングラント アルボラリス」40% 700mL

フルーティで華やかなアロマ、そして洗練された雑味のないフレーバーで人気のシングルモルト。イタリアをはじめとする世界各国の酒好きたちを魅了する「グレングラント」の歴史と味わいを、音楽家や料理人として多彩な才能を発揮する長塚健斗とともに紐解く。 

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長塚健斗(ながつか・けんと)●1990年、東京都生まれ。WONKのボーカリスト。個人では、冨田ラボやKing Gnu、millennium parade、Ryohu、elephant gym(台湾)らの作品に参加。料理人としての一面も持ち、大学在学中よりイタリアンやフレンチの有名店出身のシェフの下で本格的に修業を開始、都内ビストロの立ち上げに料理長として携わる。現在も商品開発やイベントを開催し、CHEF-1グランプリ2023にも出場。所属レーベルEPISTROPHでは飲食店2店舗をプロデュース。

 

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カウンターに立つのは「bar phase」でチーフバーテンダーを務める川下匠。長塚とともにグレングラントの定番ラインアップを味わってもらった。

自らがプロデュースする「bar phase」のカウンター。そんなグレングラントを味わうのは、ソウルバンド「WONK」のボーカリストであり、料理人や俳優としても活躍する長塚健斗。

「洗練された綺麗な味わいと優れたバランスを持ち、嫌味がまったくないウイスキー。パッケージのデザインも秀逸で、人に語りたくなる歴史やストーリーがあるのもいいですね」

グレングラントに対して持つイメージをそう語る長塚が、この日、初めてトライしたのが「グレングラント アルボラリス」のハイボール。蒸溜所設立180周年を記念してリリースされた「アルボラリス」は、バーボン樽とシェリー樽で熟成させた原酒を使用し、飽きのこない甘さと爽やかな味わいが特徴。ラテン語で木漏れ日を意味する「アルボラリス」の名の通り、優しいくちあたりの中に、フローラルさや微かな柑橘、バターやスパイスを思わせる温かみも感じられる。

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 伝統的なダンネージ式の熟成庫。『アルボラリス』には、シェリー樽とバーボン樽で熟成させた原酒が使われる。

 

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完成度の高いハイボールから、ペアリングのイメージを膨らませる。長塚の料理人としての顔が垣間見えた瞬間だ。

「軽やかでありながら味わいにしっかりと骨格があるから、ハイボールにしてもちゃんとおいしい。完成度の高いお酒を飲むとペアリングのイメージがどんどん湧いてくるのですが、グレングラントはまさにそんなお酒。『アルボラリス』はハイボールにしてもしっかり甘みが感じられるから、ソースを使った料理とも相性がよさそうですし、繊細な味わいの和食にも合いそう。いろいろな料理に合わせられるので、『アルボラリス』を持ってキャンプに出掛けるのもいいですね」

そう話す長塚の言葉に大きく頷くのは、「bar phase」のチーフバーテンダー川下匠。

「普段からウイスキーを飲んでいる方にはもちろんですが、これからウイスキーを飲まれる若いお客さんにも飲んでほしい。アルボラリスのハイボールは、ウイスキー初心者の方にも安心してお薦めできる一杯です」と、信頼の視線をグラスに向ける。

グレングラントアルボラリスの詳細を見る

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グラスから立ち上る、熟した赤リンゴのフレーバー

 

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熟した赤いリンゴやハチミツを思わせるスイートなアロマや、甘く華やかでクリーミーな味わいが特徴的な「グレングラント12年」43% 700mL

 

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氷が溶けることで変化する温度帯やアルコール度数によって、刻一刻と変わる香りや味わい。「グレングラント12年」の複雑で奥深いアロマやフレーバーを存分に楽しみたいなら、ロックがお薦めだ。

「もちろんストレートやハイボールで飲むのもいいですが、僕自身はウイスキーをロックで飲むのが好きなんです」。そう話す長塚が次に試したのが、「グレングラント12年」のロックスタイル。

フルーティな味わいを信条とするグレングラントのラインアップの中でも、「グレングラント12年」に感じられるのは熟した赤いリンゴや洋梨のニュアンス。さらにはハチミツやバニラを思わせる華やかな甘さが織りなす、複雑で奥深い味わいが特徴だ。

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他に類を見ないユニークな形状のポットスチル。奥に見える円筒形の銅管が精溜器で、蒸溜時の温度変化や蒸溜液の銅との接触を増やすことで、エレガントな酒質やフルーティさが際立つ風味を生み出すという。

「『グレングラント12年』が持つキャラメルやクリームのような甘さや熟したリンゴのようなフルーティさ、シナモンやオールスパイスを思わせるスパイシーさなど、さまざまなアロマやフレーバーが、液体の温度変化やアルコール度数の変化とともに楽しめます。飲み初めから最後の余韻にいたるまでのストーリーを味わうような。この『グレングラント12年』のロックは素晴らしいですね」

時間とともに刻々と変化する「グレングラント12年」の香りや味わいを、ブランドの歴史やストーリーとともに噛み締めるように堪能し、長塚はそう話す。

多彩な才能を発揮する長塚と、グレングラントの哲学の共鳴。華やかな香りに包まれた両者の間をゆっくりと、そして濃密な時が流れていく。

グレングラント12YOの詳細を見る

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果実や花々のニュアンスを持ち、万能に楽しめる一本

 

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フルーティでフローラルな果樹園や植物園のエッセンスが、ボトルの中に再現される「グレングラント10年」40% 700mL

そして最後は、「グレングラント10年」をカクテルで。種々の花々や植物が生い茂る壮大なビクトリアガーデンから着想を得たという「グレングラント10年」の特徴は、フローラルでフルーティな果樹園や植物園のエッセンス。芳醇な果実の香り、バニラやバタースコッチを思わせる濃密な味わいなど、複雑でありながらバランスに優れ、飲み方を選ばない万能さも持つ。

そんな「グレングラント10年」をベースに川下が創作したのが、グレングラントとカンパリを使ったカクテル。

「ベースにしたのは、東京の有名なバーのバーテンダーさんが創作されたディーン・マーティンというカクテル。ウイスキーとカンパリのつなぎの部分に樽熟成させた梅酒と金柑のリキュールを少量ずつ使うことで、『グレングラント10年』にどことなく感じられる和のニュアンスや、濃厚な果実感などを引き出した一杯です」

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冒険家でもあったメジャーが世界中から珍しい植物を集め整備したという広大なビクトリアガーデン。スコッチウイスキー蒸溜所は数あるが、これだけ見事な庭園を持つ蒸溜所は他にない。 

ディーン・マーティンは1950年代のアメリカで活躍した歌手であり俳優。最近では俳優としても活躍の場を広げる長塚にも重なるカクテルだ。

「多彩な要素が、『グレングラント10年』のフルーティーな味わいととてもうまく馴染んでいます。バランスがよくて飲みやすいけれど、しっかりとした飲み応えがあってカンパリの苦味も効いているから、食後にゆったりと飲みたくなる。このカクテルもいいですね」と、グラスを傾ける長塚の表情が思わず緩んだ。

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川下が「グレングラント10年」と合わせたのがイタリアを代表するリキュールであるカンパリ。特にイタリアではシングルモルトとして圧倒的なシェアを誇る「グレングラント」らしいチョイスだ。

グレングラント10YOの詳細を見る

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シーンごとに楽しみたい「グレングラント」の魅力

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本物の炎がゆらめく“焚き火”を囲むように、椅子が配された「bar phase」のテーブル席。「グレングラント10年」をベースに創作された、大人の色気が漂う味わいのカクテルが似合うシチュエーションだ。

「『アルボラリス』の持つオレンジのピール感や、『10年』の洋梨やフレッシュなグリーンっぽさ、『12年』の熟したリンゴやアップルパイを思わせるフレーバーなど、香りや味わいがパッケージの色みと接続しているのも面白い」

そう長塚が話すように、それぞれのラベルやパッケージの色合いから、アロマやフレーバーが想像できるのもグレングラントのユニークで楽しい個性だ。

今回、長塚が味わった「グレングラント アルボラリス」「グレングラント10年」「グレングラント12年」の他にも、凝縮感のある芳醇な味わいが楽しめる「グレングラント15年」や、円熟味と最高のバランスが味わえる「グレングラント18年」、複雑な香味が際立つ「グレングラント21年」など、グレングラントには豊富なラインアップが揃う。

体験の人も改めて飲む人も、ぜひバーや自宅で、グレングラントのストーリーと奥深く綺麗な味わいに触れてほしい。

グレングラント25年の詳細を見る

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右から「グレングラント アルボラリス」「グレングラント10年」「グレングラント12年」。香りや味わいと紐づくラベルのカラーバリエーションが飲み手のインスピレーションをかき立てる。

 

グレングラント

www.theglengrant.com