世界をもっとよく見て感じて、不条理な日常を哲学するエッセイ 【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】『世界の適切な保存』

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『世界の適切な保存』

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永井玲衣 著 講談社 ¥1,870

「生まれて死ぬならいまこの時間って意味なくない?」「宇宙はどこ?」、そんな答えのない問いを立て、空恐ろしくなり震えていたことがあった。いつの間にか忘れていた世界の深淵をのぞき込むやり方を、著者のエッセイで思い出す。哲学の物差しで見れば、日常は違和感の連続だ。しなくていい余計な心配について考えてみる。毎日をやりくりするために感じないようにしていたことを感じてみる。それがなにになるのかと怒り出す人もいるかもしれないが、心の閉塞感に風穴を開けるメソッドに思えてくる。

※この記事はPen 2024年11月号より再編集した記事です。