廃品回収の男性が居間に掛けていた肖像画が“ピカソ作”だと判明し話題に「価格は約9億7000万円!」

  • 文:山川真智子
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Varga Jozsef Zoltan-Shutterstock ※画像はイメージです

ガラクタを集めては売っていた男性が60年以上前に自宅に持ち帰った肖像画が、実はピカソの作品だったと判明した。男性の息子が鑑定に出したことから本物だと確認されたが、生前父親はこの絵にほとんど興味はなく、母親も酷評していたという。一家は絵を処分しようと考えたこともあったというが、息子のファインプレーにより、日の目を浴びることとなった。

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父は無関心、母は酷評…息子が作者探し

ガーディアン紙によれば、この絵は1962年に、南イタリアのカプリ島で民家の地下室のガラクタ整理していたルイジ・ロ・ロッソさんによって偶然発見された。ロ・ロッソさんは、絵を自宅に持ち帰り、その後数十年間、安物の額縁に入れて居間の壁に飾っていた。

ロ・ロッソさんはすでに亡くなっているが、息子のアンドレアさん(60歳)は、長年この絵の作者を突き止めようと探求を続けていた。子供のころ、叔母から贈られた美術史の百科事典を読んだアンドレアさんは、もしかしてこの絵はピカソの作品ではないかと思ったという。

アンドレアさんによれば、父親はガラクタを集めてはタダ同然で売りさばいており、あまり教養のあるタイプではなかったという。ピカソが誰なのか全く知らず、アンドレアさんがピカソの作品に似ていると言い続けても、理解してくれなかったそうだ。

母親も、この絵は「ひどい」と言い続けており、家に置いておきたくないと言っていた。一家はこの絵を処分しようと考えたこともあったという。

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署名は本物!専門家が鑑定 

長年の疑問を晴らそうと、アンドレアさんは一家を代表してスペインにあるピカソ財団に何度も問い合わせをした。しかし、財団には「オリジナルを所有している」という人々から毎日何百ものメッセージが届いていており、アンドレアさんの主張もその一つと考えられ、調査に動いてはもらえなかったという。

その後一家は、著名な専門家を含む鑑定チームに助言を求めた。何年にもわたる調査の結果、この絵に書かれたサインが、ピカソのものであることは間違いないと結論付けられた。現在、この絵には600万ユーロ(約9億7000万円)の価値があると評価されている。

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息子の執念の賜物?真実が知りたかった!

絵を所有するアンドレアさんと家族は、肖像画のモデルはピカソの愛人であり写真家兼画家のフランス人、ドラ・マールだったと信じているそうだ。ピカソはカプリ島を頻繁に訪れており、今回の絵は1930年から1936年の間に制作されたと考えられている。

現在、絵はミラノの金庫に保管されている。専門家の鑑定の結果は、ピカソ財団に提出される予定で、ピカソ財団が最終的な真贋の判断を下すという。財団の判定を待つアンドレアさんは、真実を明らかにすることが家族の目的だったとし、絵で金儲けをすることに興味はないと話している。

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 ピカソ作と鑑定されたロ・ロッソ家所有の絵。

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安物と思われ、自宅の居間に飾られていた。

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イタリアのニュースでも紹介された。