静岡・浜名湖のほとりで観光の一翼を担うべく100年ほど前に建てられた宿「清風荘」は、林間学校などの受け口として代々受け継がれてきた。
静岡といえば、観光地は伊豆や御殿場エリアに集中し、浜名湖に代表される西部エリアは近年耳にする機会も減ってきたように感じる。一方、訪れてみれば、ノスタルジックな街並みに人気のサーフスポット、海水浴場などが存在し、旅気分を味わうには申し分ないロケーションだ。
そんな浜名湖最南端に位置する「清風荘」は、湖に隣接する約5,000㎡の土地に1号館から6号館、そして体育館の全7つの建屋が一つの街のように点在する。今回、その「清風荘」の再生化プロジェクト第一弾として、湖を目の前に眺められる2号館に新たな息が吹き込まれた。
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元々あった民宿の名前を受け継ぐ形で誕生した新生「清風荘」は、外観や鉄骨など、当時の“原風景”をできる限り残しつつ、現代的風景へと新たな一歩を踏み出した。
ワンフロアを広々使った1階の共有スペースには、土間をイメージしたダイニングと大きなソファが佇むリビング。窓の外には、風に揺られる南国調の植物の先に、プライベートビーチを思わせる、美しい湖が広がる。
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階段を上がった2階には、29〜58m² の3つのベッドルームが配置されている。寝具は、「清風荘」の理念にも重なる“価値の再構築”を掲げる寝装具ブランド「SINSO」を採用。最大15名まで宿泊できるベッドルームは、宿泊人数に合わせて寝具の数を調整してくれるので、少人数で広々使うこともできる。
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「清風荘」のこだわりの一つでもある大浴場。グループで泊まることを想定した宿であることから、銭湯をイメージしたサウナ付きのお風呂を併設。民宿時代の面影を残した空間は、どこか懐かしさを感じさせる。
食事は囲炉裏を囲んで。「汽水湖」と呼ばれる海につながる珍しい湖としても知られる浜名湖は、うなぎ、牡蠣、海苔、しらすをはじめとする水産資源の宝庫。その新鮮な食材を素材のまま堪能できるようにと原始焼きのスタイルが用いられた。
囲炉裏といえば、古民家に代表される、日本の古き良き建築を代表するアイコン。そんな風景にインスパイアされた「清風荘」は、土や藁など自然素材で作られた古民家を連想させるエッセンスをインテリアのデザインに調和させた。
宿を起点に街が育つ。
「清風荘」は、そんなポテンシャルを感じられる場所。「清風荘」の再生をきっかけにこの地に人が集い、浜名湖が観光地として再び賑わっていく姿が目に浮かぶ。