King & Princeのメンバーとしてステージに立ち、俳優としても着実にキャリアを積み重ねている永瀬廉。その立場に甘んじることなく、長編アニメーション映画『ふれる。』では、オーディションに臨んで役を得た。声優というフィールドに初めて足を踏み入れた作品は、昨年公開された『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』。「楽しさと難しさの両方を感じた」という声の芝居を、さらに深めたかったと語る。
「また声優をやってみたいと思っていた時に、僕も好きな『心が叫びたがってるんだ。』チームの最新作のオーディションのお話をいただいて、迷わず挑戦しました。当日、予定していた時間よりも早く終わったので、あまりハマらんかったかなと思ったんです。なので受かったと聞いた時は、ちょっと疑っちゃいました(笑)。オーディションで役をいただけることは自信にもつながるので、機会があればどんどん挑戦したいです」
不思議な生き物“ふれる”の、テレパシーのような謎の力によって心がつながっていた幼馴染3人の友情を描く本作で演じたのは、コミュニケーションが苦手な小野田秋。Netflix 映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』で永瀬と組んだ三木孝浩監督が「憂いを帯びている」と評した彼の声が、不器用なキャラクターに命を吹き込んでいる。
「昔は苦手だった自分の声を褒めてもらえることが少しずつ増えてきて、いまはやっと好きでも嫌いでもないくらいになりました。特徴的な声ではあると思うので、武器のひとつになっていたらうれしいですね。アフレコでは細かいニュアンスについてアドバイスをいただきながら、秋の不器用さだけでなく、放っておけないかわいらしさや変化していく部分などを表現したいと思っていました。『ドラえもん』が声優ならではの息遣いについて学ぶ機会だったとしたら、今回は声のお芝居を追求することを意識できたと思います」
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出演作が途切れることなく、俳優としての存在感が増しているいま。自分が立っている場所については、どのように俯瞰しているのだろうか。
「ここ数年、突っ走っている感覚があります。グループも個人仕事も充実している状態が続けられているって、ものすごくありがたいことですよね。年齢的に走りたくても走り続けられない時がきっとくるだろうとは思っています。でも、俳優として求めてくれる人がいるのであれば、それに応えて走っていたい。いまは過去を振り返るのではなくとにかく前を見て突っ走る時期だと思っているし、一つひとつの仕事が将来につながっていくと思っています」
今年放送されたドラマ『東京タワー』では、経験が生むつながりの大切さを改めて感じたという。
「監督の久万真路さんは、僕の初めての主演映画『うちの執事が言うことには』の監督なんです。当時はワンシーンが終わるごとに大丈夫でしたか? って監督に駆け寄っていたのですが、『東京タワー』の撮影の後にごはんを食べた時、『自分がやりたいことを提案してきてくれて成長を感じたよ』と言ってくださって。この5年間の経験がちゃんと自分のものになっているんだと思いました」
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よりいいものを届けるため、会社設立という挑戦も
今年、メンバーの髙橋海人とともにKing & Prince株式会社を設立し、新たな一歩を踏み出した。プレイヤーとして、より納得できるものを届けていきたい。その強い意志と未来へのビジョンを共有するメンバーの存在が、25歳の彼の背中を押している。
「そういう意味でも、自分にとって大きな挑戦の年です。海人と本当に細かいところまで打ち合わせをしていますし、スタッフの方たちの人生を預かる立場になった責任感を持ちながら、みんなが働きやすくてやりがいを感じてもらえる環境をつくっていきたいですね。これからより一層チーム感を高めて、今年開催した『King & Prince とうちあげ花火』のように、ファンの方に会う機会を増やしていきたいと考えています。この選択がKing & Prince と僕らに関わってくれる人にとって最善の道になる。そう信じて、進んでいきたいです」
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WORKS
映画『ふれる。』
同じ島で育った幼馴染3人が、不思議な生き物“ふれる”とともに東京・高田馬場で共同生活を始める。『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』チームの最新作。10月4日より全国公開。
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映画『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』
のび太とドラえもんがたどり着いた空に浮かぶ理想郷、パラダピア。そこには大きな秘密が隠されていた。『映画ドラえもん』のシリーズ42作目。永瀬はネコ型ロボットのソーニャの声を担当している。
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Netflix映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』
美術の才能を持つ早坂秋人は、心臓に腫瘍が見つかり余命一年を宣告される。そんななかで出会ったのは、余命半年という桜井春奈だった。森田碧の同名ベストセラー小説を映画化。Netflixで独占配信中。
※この記事はPen 2024年11月号より再編集した記事です。