脳科学の新しい常識「Pen and Paper」とは? 中野信子がモレスキンを愛用する理由

  • 文:久保寺潤子
  • 写真:河内 彩
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「書くことは人間にしかできない特別な行為。もっと書くことを楽しんでほしいですね」と語る、中野さん。

世界中の芸術家や思想家に愛されてきたノートブック、モレスキン。いまもクリエイティブな人たちの想像力や思考力を育み、記憶をとどめるツールとして彼らの日常をサポートしている。モレスキンの愛用者でもある脳科学者の中野信子さんに、書くことと脳の関係について話を聞いた。

ノートブックは記憶を定着させる、脳の拡張機能

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最近は、趣味でピアノを弾いているという中野さん。ポケットサイズのノートブックにメモしたのは、ピアノの曲目リスト。

私たちの身の回りに起こる事象を、脳科学の視点から分かりやすく解き明かしてくれる中野信子さん。大学教授、執筆家、テレビのコメンテーター、ギャラリーのキュレーター、アーティストとして幅広い活動を行なっている。そんな中野さんの傍にはいつもノートブックがある。

「たとえばテレビの収録中に、準備していた内容と違う情報が入ってくると、コメントを調整しなければならない。頭の中で整理していると他の情報が入ってこないから、とりあえずノートブックに書き留めます。新しい情報を文字にアウトプットし、瞬時に調整して言葉にする。いわばワーキングメモリーのようにノートブックを使うこともあります」

人間の脳のメモリーには限度があって、その時の体調によっても左右されるという。「書いてアウトプットしないと記憶は定着しない。記憶をつくる領域は聴覚野に近いところにあるんですが、私は視覚記憶が強いので、まずビジュアルに落として覚えます。いわば脳の拡張機能としてノートブックに書いているんです」

書くことと脳の働きについてこう続ける。「ヒトの進化の歴史をみると、文字の認知機能は聴覚による認知機能に比べ、ずっと後に発達しました。鳥や哺乳類は鳴き声でコミュニケーションをとりますが、文字を使うのは人間だけで、まだ1万年くらいの歴史しかない。音を認識してから意味の理解に繋げるまで、脳にはかなりの負荷がかかっているんです。だから文字を書くという行為は人にだけ許された知的な行為。現代の日本人は当たり前に教育を受けているから気づいていませんが、文字を書くこということはとても贅沢なことなんです」

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心地よく書くために、ノートブック選びにはこだわりたい

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「手のひらにしっくり馴染む背表紙の感触が気に入っている」という中野さん。

普段からモレスキンの「ハードカバー ノートブック ポケット」を持ち歩く、中野さん。思考の過程やアイデアを書き留めているそうだ。

「用途によって使い分けています。文章を記すときは、時系列な思考の流れに沿って罫線があったほうが使いやすい。アートの創作アイデアを書き留めるときは、視覚、聴覚、触覚などを立体的に表現するので無地のノートブックを使います。人間が思考するときは、同時にいくつもの事柄が立ち上っています。喋るという行為は、複数の事柄から一つを選択して言語化しなくてはいけないので制約が多い。でもノートブックなら二次元的、三次元的にいくつも思いついたことを並べておける。この点においてパソコンやタブレットよりも、ノートブックとペンのほうが自在性が高いと思います」

中野さんがモレスキンを愛用する理由の一つに、紙質の心地よさがある。「紙もペンも使い心地のよさって大事ですよね。触って心地よいと感じることで脳内には愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されるんです」

二つ目のお気に入りポイントはハードカバーの背表紙だ。「手に持った時の心地よさも無視できません。心理的ダメージを受けがちな現代人にとって、感覚的な心地よさはとても大事なのです」

ノートブックに文字を書くことの心地よさを、中野さんは脳科学的にこう分析する。「紙に文字を書くと、瞬時に自分にフィードバックされる。コミットメントに対する反応の素早さが満足度につながるんです。紙に書くことで自分を肯定されている感覚を覚えるのではないでしょうか」

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長年書き留めてきた、中野さんのモレスキンのノートブック。

 

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無地のノートブックにシールや資料を貼り付けたり図を書き込んだりすると、視覚的にも記憶に残りやすい。「10日前の記憶ってなかなか思い出せないけれど、ノートブックをめくれば10日前の自分に出会えます」とコメント。

中野さんにとってノートブックは記憶の集積であり、手放せない存在だ。

「古来、東洋では知的な階層の嗜みとして文具を自慢するという慣習がありました。平安時代には文字はまじないや薬としても使われた。文字を書くというのは脳内でも高次な機能を司る部分で行われます。とても人間らしい行為であり、教養の領域。お気に入りのノートブックを選んで、書くことをもっと楽しんでほしいですね」

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紙の可能性を促進し続ける、モレスキンのミッション

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東大のTEDイベント「TEDxUTokyo」の実行委員会とのPen and Paperワークショップ。

「Pen and Paper」。モレスキンでは、ペンと紙の力が人間の才能を引き出すと確信しており、これは専門家たちも長く支持している信念だ。ブランド誕生の地、ミラノで始まり世界中の学者たちにも協力を仰ぎ、手で書くことによる学習のスピードアップ、記憶の保持、直線的思考の発達の促進などについて情報を発信している。

そんな紙の可能性と魅力を伝え続けているモレスキンが、2024年10月1日(火)に公式オンラインショップをグランドオープン。この新たなプラットフォームでは、モレスキンならではのデザインと世界観をオンライン上で体験できるとともに、最新コレクションや限定商品を含むノートブックやアクセサリーを幅広く展開。グランドオープンを記念し、表紙にイニシャルやお好きなフレーズを追加できるデジタルプリントのカスタマイズサービスを開始。さらに、無料のギフトラッピングオプションが追加され、6,500円以上(税込)の購入で送料が無料となるので、ぜひ、チェックしてみてほしい。

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サイズやカラーなどバリエーション豊富なモレスキンのノートブック。右の3点:汎用性が高く、世界中で人気のハードカバー ノートブック ラージ130×210mm  240ページ(ブラック、ブルー、スカーレットレッド)各¥4,070 左の2点:思いついた時にさっと書ける手軽さが便利なハードカバー ノートブック ポケット90×140mm 192ページ(グリーン、スカーレットレッド)ともに¥2,970/モレスキン・ジャパン

モレスキン・ジャパン

www.moleskine.co.jp/ja-jp