久石譲が切り開いた新境地は、ウィーン響と奏でるクラシック

  • 文:小室敬幸(音楽ライター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】
『ジョー ヒサイシ イン ウィーン』

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久石 譲 ユニバーサル ミュージック UMCK-1762 ¥3,300

ジブリ映画の名曲をロイヤル・フィルと録音したアルバムから1年。待望だった久石譲のクラシック音楽作品集が遂に世界へ羽ばたいた。彼が若い頃から魅せられ、独自の作風にまで昇華させたミニマリズム(短い音型の反復に基づく音楽)がウィーン交響楽団の密度高くも、しなやかな音色で情感豊かに迫ってくる。伊福部昭など、日本の先達に近づく瞬間もある「交響曲第2番」もよいが、実質的な協奏曲である「ヴィオラ・サーガ」が必聴。映画音楽以外での久石の代表作として、広く聴かれるべき大傑作だ。

※この記事はPen 2024年10月号より再編集した記事です。