都心の一角にみどり溢れる空間が誕生、「グラングリーン大阪」が先行まちびらきのイベントを開催。

  • 文:久保寺潤子
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©Akira Ito.aifoto

JR大阪駅(うめきた地下口)に直結する、みどりとイノベーションの融合拠点「グラングリーン大阪」。9月6日(金)にいよいよ先行まちびらきを迎える。2027年度の全体まちびらきに先駆けて、施設の一部が開業を迎える。

本プロジェクトでは、西日本最大のターミナル駅であるJR大阪駅前に、約45,000㎡の面積を誇るうめきた公園をはじめ、オフィス、ホテル、商業施設、中核機能施設、分譲住宅などを備えるまちが誕生する。この巨大プロジェクトを5つのキーワードで見ていこう。

1.ランドスケープファースト―公園のなかにまちをつくる

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SANNAが設計したドーム形の大屋根付きのイベントスペースの前には、大きな芝生広場が広がる。(写真:©Akira Ito.aifoto)

グラングリーン大阪の目玉のひとつは“圧倒的なみどりに包まれた空間”だ。設計にあたっては公園のなかにまちをつくるという発想のもと、景観と建物が一体となった都市空間をデザイン。イベントなど多目的に活用できる広場、光や水が溢れる自然豊かな森、建物の間の緑地空間や立体的な屋上庭園といった多様な場づくりを目指した。

設計には、関西の新たなランドマークとなるべく世界の名だたる建築家やランドスケープアーティストが参画。公園とランドスケープ全体のデザインリードには、シカゴ・ミレニアムパーク内のルーリー・ガーデン(Lurie Garden)などを手がけるGGN、公園施設には世界的に活躍するSANAA(大屋根)を起用。またVS.(文化施設)の設計監修は安藤忠雄が務めた。設計の全体統括は日建設計、三菱地所設計が担い、広大な公園と一体化した魅力的な都市空間を実現している。

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安藤忠雄設計監修の展示施設「VS.(ヴイエス)」。地上部の外観は、ガラスキューブとコンクリートキューブが隣り合う構成となっている。
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「VS. (ヴイエス)」は施設の大半が地下に埋まる構造。ガラスキューブ内の階段を下ると地上部の外観からは想像できないほどの大空間が広がる。(写真:©Akira Ito.aifoto)

2.パブリックフォーカス―みんなで育てていく、パブリック性の高いまち

構想段階から公民連携で都市公園の整備を進めてきたグラングリーン大阪。周辺住民やワーカー、観光客などが共存し、ともに楽しめるよう、都心ならではの公園の過ごし方を提案するコンテンツが続々予定されている。具体的にはイベントやアートを通じて文化を感じられる機会を日常的に提供するとともに、市民や企業、アカデミアが主体となる活動やチャレンジを支援・育成する仕組みを長期間にわたって整備する。

3.ダイバーシティ&オポチュニティ―多様な活動がにじみ出す、みんなが一歩踏み出すことができるまち

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中核機能施設「JAM BASE」の4層吹き抜けの交流サロン「Syn-SALON(4階)」

公園の周辺には多種多様な施設が隣接しており、各々の活動が周囲のプレイヤーと混ざり合うことで新たな挑戦を促す場づくりを提案していく。一例として、企業や大学、スタートアップ、研究機関などが集い、ともに活動するごちゃごちゃ空間「JAM BASE」、そのイノベーション創出の活動を支援する官民一体のイノベーション支援組織「一般社団法人うめきた未来イノベーション機構(U-FINO)」、まちでの活動をともに推進する企業連携制度「MIDORIパートナー」など、多様性に富んだ人々の交流を活性化させる仕掛けが満載だ。

4.ネット・ポジティブ―サステナブル&ウェルビーングなまち

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園内には様々な植物が植えられ、春には桜、秋には紅葉など、季節折々の自然を楽しむことができる。(写真:©Akira Ito.aifoto)

長年にわたり物流の拠点であった梅田貨物駅跡地を、人々が憩い交わり、みどり溢れる公園へと再生させる本プロジェクト。植栽にあたっては街区全体の約9割を在来種の植物で構成し、化学肥料や農薬を限定的に散布することで環境負荷を抑制。56種類の鳥類・昆虫類を誘致目標にモニタリングを行い情報発信することで、次世代の担い手に生物多様性への関心のきっかけづくりも行う。またインフラ面では、地中熱利用設備やバイオガス発電設備、下水熱利用設備、バイオディーゼル発電設備といった新しい再生可能技術を最大限活用。これらのエネルギーを利用した都市型スパや健康計測ステーションなどを通じて、人々のウエルネスな活動も後押しする。

5.グローバル・アピール―世界から人々を受け入れ、世界に魅力を発信

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「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」11階レセプション。同ホテルの客室数は全308室。うち53室がスイートルーム、19室のコネクティングルームを有する。

グラングリーン大阪は、関西国際空港や新大阪駅にもつながる西日本最大のターミナル駅・JR大阪駅に直結し、国内外からスムーズなアクセスが可能。また、国外から人々を受け入れる国際性の高いホテルも要している。日本初開業となるヒルトングループの最上級ブランド「ウォルドーフ・アストリア大阪」(2025年開業予定)や、同グループの地域密着型ホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」(2024年9月6日開業)、自然と安らぎをテーマにした「ホテル阪急グランレスパイア大阪」(2024年度下期開業予定)など、観光やビジネスで訪れる人にとって魅力的なラインナップが揃っている。

先行まちびらきでは敷地全体の約4割が完成となる。全長約120メートルの大屋根や芝生広場、公園の南北をつなぐデッキ(ひらめきの道)の一部、北館(地上26階、地下3階)に入る米ヒルトンのホテル「キャノピーbyヒルトン」のほか、産官学連携のイノベーション支援施設「JAM BASE(ジャムベース)」や商業施設などが開業。9月6日(金)から8日(日)には、先行まちびらきを記念したオープニングイベントも開催される。未来へと進化し続ける、新しいまちを体験しに出かけてみたい。

グラングリーン大阪

www.umekita.com