良質の地下水に恵まれた京都は、古来から良質な酒が造られ、日本でも有数な酒どころ。そんな京都で、いまミ美酒と旬の味覚を組み合わせた最新グルメが、続々とオープンしている。日本中の美味が集まる古都で、酒と最旬のグルメを堪能しよう。
1.祇園 静水香
プレミアムな日本酒と旬を彩る和食に舌鼓
伝統的建造物群保存地区にも指定されている祇園白川・巽橋近くに、7月末にオープンした「祇園 静水香」。大正時代の2階建ての町家をリノベーションした趣のある空間でいただけるのが、和食と9種類の日本酒がペアリングになったおまかせコースだ。
京都の老舗料亭ミシュラン二つ星の「祇園丸山」で修行し、東麻布の「万歴龍呼堂」総料理長、海外のフォーシーズンズホテルで研鑽を積んだ澤田和巳さんが繰り出す珠玉の料理と中田英寿が代表を務める「JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」が全国の最高峰の酒蔵からセレクトしたプレミアムな日本酒を堪能できる。
1階では黄昏前の16時からの18時までの時間帯と、21時以降はバーとして営業しているので、食事の前の食前酒として、または夜を締めくくる〆の一杯としても使い勝手がいい。さらに2階では1日2組限定で芸舞妓とのお座敷遊びに興じたり、舞を愛でることができる。奥深い花街を垣間見る、京の夜を過ごしたいなら訪れるべき一軒だ。
祇園 静水香
京都市東山区清本町371−2
TEL:075-746-2442
営業時間:ディナータイム18:00〜21:00(18:00一斉スタート)/バータイム16:00〜18:00(LO17:30)/21:00〜24:00(LO22:30料理、LO23:30ドリンク)
定休日:日
Instagram:@gion_shizuka_
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2.Pizzeria SaluTori
瀬戸内の恵みを堪能する、絶品ピッツェリア
東福寺駅より徒歩15秒、昔ながらの商店街に新星ピッツェリアが今年3月にオープン。店主の田中佑介さんは大阪や京都のイタリア料理店で研鑽を積んだ後、瀬戸内海の豊島でピッツァイオーロとして活躍。薪窯で焼き上げるナポリピッツァや瀬戸内の豊かな恵みをふんだんに使った料理が人気だ。料理はもちろん、店主の田中さんがチョイスした、和歌山県のクラフトビールや、イタリアの自然派ワインを中心に、ドリンクも豊富なラインアップも魅力。お店に訪れたら、ぜひ料理とペアリングを楽しんでみてほしい。
メニューは季節に合わせて常にアップデートされるので、その時々にしか味わえない旬の食材を生かした四季折々の料理が味わえるのもうれしい。「オリーブ牛のラグーとかぼちゃのピューレ」には、黒麹で仕込んだ「ブラックヘッドIPA」のフルーティで程よい酸味がマッチ。ピッツァと同じ薪窯でさっと焼き上げた「三豊なすと瀬戸内野菜の盛り合わせ」も忘れずにオーダーしたい。皮が薄くまるでフルーツのような瑞々しい三豊なすや翡翠かぼちゃなど瀬戸内の農家から仕入れた新鮮な野菜に、生ハムとパルミジャーノ・レッジャーノチーズの塩味が絡んで、あと引く美味しさだ。
「生地の美味しさを知ってほしい」とナポリピッツァの発祥のカプート社の粉に、シチリアの塩がほどよく効いた風味豊かな手捏ね生地を480度の高温で1分から1分半。パリッともっちりとした生地の美味しさを堪能するなら「マルゲリータD.O.C」をチョイス。岡山の超高糖度ミニトマト「ベニザクラ」の甘みと水牛モッツアレラのシンプルだが滋味深い旨さだ。
合わせたいのは、麦芽を一切使用せずに麹を使った世界初の技術でビールを醸す、和歌山のオリゼーブルーイング「オリゼーモルト ペールエール」。香ばしく軽快な飲み心地に麹ならではのコクが感じられ癖になる味わいだ。
思い立ったら京都の中心エリアからすぐ行けるピッツェリア サルートリ。旬の食材を使った本格イタリアンを堪能しに、ぜひ覚えておきたいアドレスだ。
Pizzeria SaluTori
京都市東山区本町13-237-2 1F
TEL:075-275-9707
営業時間:11:30〜15:30、18:00〜22:00
定休日水曜日(不定休有り)、火曜日はランチタイムのみ営業
Instagram:@pizzeria_salutori
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3.måne
料理と酒でまどろむ、とっておきの一軒
京田辺市・松井山手で長く愛されたmåneが、2024年4月に京都市役所前エリアへ移転オープン。オーナーシェフの河村昭多さんは京都のフレンチの名店「レストランよねむら」で10年、「イル ギオットーネ」で5年間、トスカーナのミシュラン2つ星リストランテで腕を磨いた実力派料理人。扉を開けるとまるで友人宅に招かれたような親密な空間が広がり、大きなカウンターテーブルで季節に合わせたおまかせコース料理が堪能できる。ナチュラルワインや日本酒など料理に合わせたペアリングもおすすめだ。
コースの始まりに供される「ガスパッチョ」は、蓴菜、オクラ、糸モズク、レンコン、瓜とブラータチーズの冷製スープに大葉と赤紫蘇の新芽とオクラの花びらをたっぷりあしらい、まるで飲むサラダだ。続く前菜に、焼き霜にしたイサキ、水茄子、球にくり抜いたメロンを合わせたカルパッチョにキュウリのソース、小さなナスタチウムの葉の上には雨露に見立てたホワイトバルサミコを一雫。ロワール地方のヴァンナチュールの造り手、エルヴェ・ヴィルマードのきりりと冷えた白ワインとよく合う。
鮎と焼きなすの冷製パスタは、三輪そうめんの手法で作られた細麺のパスタに焼きなすのピューレや金時草と生き鮎のフリットを添えて。京都・伏見に新たに生まれた「日々(にちにち)醸造」で日本を代表する杜氏の松本 日出彦氏による最上級の秋津山田錦「日日」の馥よかな酒は、芳ばしい鮎と焼きなすの甘味と絶妙に調和する。ひとりで訪れるも良し、大切な人と訪れるのも良し、記憶に残る味に出合えるだろう。
måne
京都市中京区二条通御幸町下ル山本町440-1
TEL:075-741‐6563
営業時間:12:00~15:00、
18:00~22:00
定休日:月曜日
Instagram:@mane_kyoto
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4.Harmonika
旬のフルーツの一期一会なデセールを美酒とともに
祇園で間借りしていたデセール専門店が、2024年2月に清水五条駅近くの閑静なエリアに移転独立。店主・松本泰さんは元フランス料理のシェフ。果物の糖度や熟成度を見て即興で仕上げる一期一会のアシェットデセールが味わえる。
本日のデセールは、山梨産シャインマスカットをメインに、クレームダンジュに青肉メロンのソルベ、ライムのジュレとぷちぷちとした食感が小気味いいシトロンキャビアを添えて。最後に青々しいアロマのオリーブオイルをひとたらし。緑の果実のグラデーションが爽やかな一皿だ。ワインと合わせるのも相性が良い。イタリア・ヴェネト最高峰の白ワイン「アンセルミ」はグラスに注がれた瞬間はセージの香りを放ち、時間が経つにつれてパイナップルやマスカットの華やかなアロマが広がる。
移転前からシグネチャーとして愛されていたのが旬のフルーツをあしらったタルト。しっかり焼き込まれた12センチのタルト生地にカスタードを薄めに敷き、京都・城陽産の瑞々しいいちじくを薄くカットし束ねた様子はまるで大輪の花のようだ。こちらは神戸のスペシャルティコーヒー「The Sowers」の深煎りブレンドと好相性。男性のひとり客も多いというのも頷ける、極上時間が過ごせる店だ。
Harmonika
京都府東山区弓矢町38 東側 Hale Luana 1階TEL:050-3551-8625
営業時間:12:00~20:30L.O.
定休日:火
Instagram:@harmonika_kyoto
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5.麺料理かなえ
有名肉割烹店が始めた、和え麺専門店が熱い!
予約がとれないと評判の「肉料理かなえ」のスピンオフ店が2024年04月22日にオープン。 注目は、「自家製ラー油の牛タン和えそば」。「肉料理 かなえ」のコース料理で提供していたのが評判となり、専門店としてスタート。まず目を惹くのは、大ぶりにカット牛タンの角切り。低温調理した牛タンは、柔らかく歯応えがあり旨味が強いのが身上。存在感のある青梗菜とシャキッとした歯触りのもやし、もちもちとした麺に自家製辣油と胡麻ダレとともに豪快に混ぜよう。口に入れた瞬間は甘さを感じ、後からスパイスの辛さが追いかけてくるコク旨和え麺だ。
味変には、香り高い花椒、和歌山の蔵元「九重雑賀」のまろやかな赤酢、コク深い中国黒酢の3種を用意。オプションで購入できる生卵もぜひ。大分杵築市でミネラル豊富な天然飼料で育った味が濃い「蘭王」の生卵を溶いて、つけ麺のタレとして食べるのもおすすめだ。昼から呑めるのも嬉しい。火照った身体にはアサヒスーパードライで喉を潤したい。凍った豆乳で割った〆のスープがまた旨い。残ったタレも余すことなく楽しめる。京都市役所前駅から高瀬川沿いに徒歩3分という好アクセス。今後も新しいメニューが出る予定なので、そちらも注目したい。京都に来たらぜひ訪れたい店だ。