極上の一杯を求め、 三茶から下北へぶらりビール巡り

  • 写真:渡辺一城
  • 文:西田嘉孝
  • イラスト:西田真魚
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三軒茶屋と下北沢をつなぐ「茶沢通り」。世田谷の住宅街を南北に縫う道の周辺には、気の利いたボトルショップやタップが並ぶ飲食店が点在する。歩いて酔いを冷ましつつ次なる一杯を目指そう!

Pen最新号は『驚きと、よろこびのクラフトビール』。この数年で、クラフトビールをめぐる景色が大きく変化しつつある。ていねいにつくられたもの、多様性を包み込むもの、消費されない価値を持つもの。こうした価値観、考え方が世の中に浸透し、新しい時代の姿となっているが、クラフトビールは、まさにその流れの真ん中にあるものだ。世界を動かす驚きと、よろこびあふれるクラフトビールを体感しに行こう。

『驚きと、よろこびのクラフトビール』
Pen 2024年10月号 ¥880(税込)
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クラフトビールの新たな聖地、地元愛あふれる三茶を行く 

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スパイシーで優しい料理と、クラフトビールの好相性 

キクヤ

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キクヤの看板メニューは、万人受けする居酒屋風にアレンジされた本日のビリヤニ¥1,500。相棒は「乾杯IPA」¥1,200

お好み焼き店やカジュアルイタリアンなどを手掛けてきた店主が茶沢通り沿いに開いた「キクヤ」。

名物のスパイスおでんから〆の定番となっているビリヤニまで、絶品の創作スパイス料理と10個のタップで提供されるクラフトビールが楽しめる。なかでも人気の「乾杯IPAは、浅草橋のベクターブルーイングで、店主が自ら仕込んだスパイス料理に合うすっきり系のIPA。「三茶をクラフトビールの街にしたい!」と話す“ビール愛”の強い店主が営む、ありそうでなかったスパイス居酒屋だ。

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店主の三木基弘。アパレル業界から未経験で飲食の世界に飛び込んだ。

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居酒屋らしい活気に満ちた路面の店。タップビールは持ち帰りもOKだ。

キクヤ

住所:東京都世田谷区太子堂5-1-12 1F
TEL:03-6453-4381
営業時間:18時~23時(火、水、木) 18時~25時(金) 15時~25時(土) 15時~22時(日)
定休日:月
Instagram@kikuya_3cha

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この街を包むビール熱の立役者、アメリカの厳選缶ビールをエンジョイ

ザ・デイ

「三茶クラフトビール協会」会長の「リッキー」こと松本立樹が運営するビアバー。 協会では、地域の店舗が協力し、ビアラリーを開催したり、特製ビールをつくりクラフトビール熱を盛り上げている。このコーナーで紹介するキクヤ、サニティー、チコフォー、万珍酒店もメンバー店だ。ザ・デイでは「バラストポイント」や「ピッツァポート」など、リッキーが惚れ込んだアメリカ西海岸を中心とした缶ビールをセレクト。 扱うビールは実際に現地訪問したブルワリーが多く、店主の熱量を感じさせる。

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あえて缶ビールを扱うのは、「味と一緒にラベルの見た目で覚えたほうが印象に残りますよね。デザインにはそれぞれのブルワリーのカルチャーが表れているので、それも楽しんでほしいです」とリッキー。

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カウンターに立つリッキー。後ろで紹介するチコフォーのスタッフを経て独立した。

ザ・デイ

住所:東京都世田谷区太子堂2-22-11
営業時間:公式Instagramを参照
定休日:不定休
Instagram@ricky_matsumoto

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三茶のビアファンたちが集う、クラフトビールのトレンド発信地

サニティー

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「敷居の低い店にしたかった」と店主のオガワヤスユキが話す通り、誰もがふらりと立ち寄れる気軽さが魅力。

2021年のオープンながら、仕事帰りや散歩途中に立ち寄れる気軽な雰囲気で、既に多くのご近所さんをクラフトビールに開眼させてきた「サニティー」。

駅近の店には、国内外の注目のブルワリーがリリースする400種類以上のクラフトビールやハードサイダーがずらり。常時10種がつながるタップビールはもちろん、すべてのビールをスタンディング形式で楽しめる。

ビール選びのアドバイスをしてくれるスタッフを強い味方に、好みや気分にぴったりの一本を見つけよう!

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取材時に提供されていた米国のブリュワリーであるリビジョンのヘイジーIPA¥1,500 

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オープンマインドな常連客たちとの会話も楽しい。

サニティー

住所:東京都世田谷区三軒茶屋1-37-2 三茶栄通りビル 1F
TEL:080-3356-0671
営業時間:16時~23時(月~金) 14時~23時(土) 14時~22時(日、祝) 
定休日:不定休
Instagram@sanitybeer

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ナッツをお供に気軽に一杯! 北米系ビールの秘密基地

チコフォー

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秘密基地のような雰囲気に、ビールとの出会いへ期待が膨らむ。

果実の漬け酒が人気のチコグループの4店舗目として登場したチコフォー。

店主の工藤良成が厳選したビールとナチュラルワインに特化したスタンディングバーだ。うれしいのはチャージなしでオーストラリア産マカダミアナッツと落花生が食べ放題というところ。むいた殻を足元に捨てるワイルドなスタイルも楽しい。

タップは4つあり、頻繁に銘柄が変わるので通うたびに発見がある。「モダンタイムズ」や「ニーディープ」「ジョージタウン」など北米のビールが充実。

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マカダミアナッツとビールの相性抜群。専用の殻割り器を使うのも気分が高まる。 

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レギュラー355mLで¥1,300、パイント477mLで¥1,600程度。

チコフォー

住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-9-16
営業時間:18時~26時
無休
Instagram@tico4_standupplease

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老舗酒屋や新鋭醸造所、下北のビール熱が沸騰中

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老舗酒屋が進化した専門店、260種のビールを“角打ち”で

北沢小西

関西から江戸に日本酒を運ぶ下り酒屋「小西」の屋号。

江戸時代からの流れを汲むその名が、クラフトビールに特化した専門酒店に受け継がれている。北沢小西は1931年創業。2013年頃からアメリカのクラフトビールを扱い始め、いまはクラフトビールとハードサイダーの専門店に。店頭の冷蔵ケースには海外や国内の厳選されたビール約260種がところ狭しと並ぶ。好きなビールを選んで、カウンターで飲める“角打ち”スタイルが酒屋の真骨頂。

休日の昼下がりにぶらりと立ち寄りたい趣だ。

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カウンターに立つ3代目店主の倉嶋太一・恵美夫妻と交わすビール談義も楽しいひと時。抜栓料は全日16時から¥110かかる。

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香りが強いものでなければつまみの持ち込みも可能。この日は山梨県の醸造所ファーイーストブルーイングの「サワーIPA」とアメリカンチェリーを合わせる常連がいた。

北沢小西

住所:東京都世田谷区代沢5-28-16
TEL:03-3421-0932
営業時間:14時~22時(月~金) 11時~22時(土) 11時~21時(日、祝)
定休日:火
Instagram@kitazawakonishi

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人気ビストロが手掛ける、“下北唯一のブルワリー”

カノンブルーイング

下北沢の人気ビストロが2023年から手掛ける「カノンブルーイング」。

タップルームの奥には、極小の仕込みタンクを備えた醸造所を併設。フレンチの技法で仕上げたフィッシュ&チップスなど、ビストロ流に解釈されたパブフードとともに出来たてのビールが味わえる。

提供される自家製ビールは、定番のピルスナーやホワイト、セゾンなど、苦味と酸味を抑えたワインに近い味わい。シーズナルのアールグレイや梅など、センスあふれる一期一会のビールとの出会いも楽しい。 

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店舗に併設された醸造所。下北沢では唯一となる。山梨県北杜市でホップ栽培も行う。

 

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フィッシュ&チップス¥1,500をはじめとする料理が充実。定番のピルスナーやアンバーエール(ともにラージサイズ¥1,200)など、自家製ビールとの相性も抜群だ。

カノンブルーイング

住所:東京都世田谷区代沢4-27-10 1F
TEL:03-3412-7350
営業時間:17時~23時(水、木、金) 14時~23時(土) 14時~21時(日)
定休日:月、火
Instagram@canon.brewing

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店主の“好き”が詰め込まれた、レコードとクラフトビールの店

スモールワールド

ロンドン滞在中にクラフトビールに魅了された店主が営む、新譜レコードのセレクトショップ兼クラフトビアバー。

昨今では珍しい新譜のレコードが並ぶ店内では、「珍しいものよりもおいしいものを」と店主が厳選したクラフトビールを5つのタップで提供。毎夜ビアギーグたちで賑わい、シーズナルなビールが中心なので、通うたび新しいビールに出会うことができる。

7席のコンパクトな店に、店主の“好き”がぎっしり詰まった魅惑の“スモールワールド”だ。

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プロのクリエイターとして音楽活動も行う店主の田中智紀がセレクトした、インディやオルタナティブ、エクスペリメンタル等の新譜レコードが販売される。

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2016年のオープン以来、音楽ファンとビアファンに愛される店。

スモールワールド

住所:東京都世田谷区太子堂5-30-6 伊藤ビル 1F
TEL:03-5787-8806
営業時間:18時~24時(火~金) 14時~24時(土、日) 
定休日:月
Instagram@smallworldrec

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クラフトビールとグルメバーガー、王道を楽しめるチルアウト空間

コースター・クラフトビール&キッチン

フランスなど海外にルーツを持つオーナーたちが運営するハンバーガーとクラフトビールの専門店。

店内はカウンターやソファがゆったりと配置され、海外のカフェに来たように寛げる。ハンバーガーは国産和牛を使い、バンズや野菜、ソースにもこだわったいわゆるグルメバーガーだ。ビールはオーナーが2021年に立ち上げた千葉県の海岸醸造のものをメインに扱う。

ピルスナー、ヘイジーIPA、ポーター、スタウト、多彩なスタイルのビールと料理のペアリングを楽しめる。

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茶沢通りを歩いていくと開放感のある店がフレンドリーに迎える。
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チーズバーガー¥1,500+ポテト¥200と、肉汁にマッチする香ばしくて力強い「ウミボウズスタウト」(海岸醸造)パイント¥1,500

コースター・クラフトビール&キッチン

住所:東京都世田谷区代沢5-19-13 コーセイハイム 1F
TEL:03-5787-6397
営業時間:12時~24時 
無休
www.coastertokyo.com

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世界と山梨と下北を結ぶ、新たなビアカルチャーの発信地

万珍酒店

音楽、食、酒、旅にまつわるカルチャーを盛り上げる集団「MANGOSTEEN」による「万珍酒店」。

メスカルをはじめビール、ワインやスピリッツなど、世界各国からセレクトした酒類や自慢のデリフードなどが販売される店内には、購入した酒やフードをその場で楽しめる角打ちやラウンジ席も。2022年には、山梨県北杜市の工場跡地をリノベーションしたブルワリーも開設。

ほぼ毎週リリースされる、地元産の果実やハーブなどを使った独創的な新作ビールをタップで味わえる。

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茶沢通りから梅丘通りに少し入ったところにある店舗。購入した酒類を店内で飲む場合は抜栓料が別途必要。
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バーカウンターに立つ店長の宮川義浩。世界各国を巡る酒選びが楽しい。

万珍酒店

住所:東京都世田谷区代沢4-29-14
TEL:03-6413-8819
営業時間:14時~22時 
無休
Instagram@mangosteen_liquors

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