米ミシガン州の小さな町で、馬の町長が誕生した。実はこの町では2009年以来、ずっと動物が町長を務めている。これまでの町長選ではすべて犬か猫が当選しており、初の馬の町長誕生は、2種独占体制にあった古い政治からの脱却を示す、歴史的快挙とされている。
現職は犬! 歴代候補は全て動物
町長に動物を選んでいるのは、ミシガン州にある人口355人の町、オメナだ。実はアメリカには「非法人化区域」といういずれの自治体にも属さない地域がある。オメナもそういったコミュニティの一つで、町を統括する行政機関がないため、人間の町長はいない。
ローカル放送局、WKRCによれば、2009年に、オメナ歴史協会がこの小さな町の史上初の町長を選出する試みを始めた。もっとも、出馬したのは政治家や実業家ではなく、馬、犬、猫、そしてカタツムリといった動物たちだった。
以来、オメナでは3年に1度、動物の町長選が行われている。歴代の町長は1匹の猫を除きすべて犬で、現職はゴールデン・ラブラドールのロージーだ。
歴史協会のホームページによれば、この選挙では、1枚1ドルの投票用紙を購入すれば、誰でも投票できる。収益は地元の博物館の維持に使われるという。
変化が求められた? 新市長は文字通りダークホース!
今年の選挙で当選したのは馬のラッキーで、馬として初めて町長に選ばれた。ニュース・メディア、ザ・フリー・プレスによれば、ラッキーは、アメリカン・クオーターとアメリカン・ペイントという品種の交配種で16歳。オメナから2000マイル離れたアリゾナ州ケーブ・クリーク在住だ。選挙運動期間中はほとんど姿を見せなかったが、彼の親族(馬主)が3世代に渡ってオメナに土地を所有しており、秋には引っ越してくる予定のため、出馬を許されたという。
犬猫の話題が多い中、ラッキーはまさにダークホースだったという。「あの馬は地元出身じゃないから」といった批判もあったが「(犬猫だけの)2種制度にみんなうんざりしていたのかも」という有権者の分析もあったそうだ。ちなみにラッキー以外の候補者は、犬12匹、猫5匹、ヤギ1匹だったという。
大統領選を彷彿させる? 新たなリーダーシップに期待
ザ・フリー・プレスによれば、動物の選挙戦はリアルな選挙の縮図でもあったという。選挙運動期間中には、2021年の選挙でガチョウの侵入を防ぐために「壁を作る」と公約した犬の候補が、移民排斥論者ではないかという議論が噴出。また、このところ公の場で寝てばかりの現職のロージー町長(8歳)が、2期目出馬には歳を取り過ぎではないかという健康不安説も出ていた。
動物の町長は単なる見世物だと言う人もいるが、歴史協会の指針では、町長は「重要なすべての行事に参加する」ことになっており、地域集会、祭典、公共行事などが含まれるという。
ザ・フリー・プレスによれば、馬が集会に参加できるのか、そもそも建物の中に入れるのか、という声もあり、馬の市長がどのように機能するのかは誰も分からない。しかし、ラッキーの馬主でありキャンペーンマネージャーでもある、キャサリン・エリザベス・ボスコ氏は、馬はとても癒し効果があるとし、ラッキーのリーダーシップがコミュニティに変化をもたらすかもしれないと主張。少なくとも新町長は誰かを引っかいたり、シャーと威嚇したりすることはないと断言している。
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You might be surprised to learn who was voted mayor of this small Michigan town: a horse named Lucky.
— The Free Press (@TheFP) August 10, 2024
“Boy, I guess people really are fed up with the old two-species system.”@EricSpitznagel reports: https://t.co/lChwSlbRIA pic.twitter.com/wCbP4sEkV2
オメナの選挙戦の様子。
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史上初、馬として町長就任予定のラッキー。
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立候補者はすべて動物。