1890年に誕生したヱビスビールは、長年培った知見を生かし多様な味わいを追求する「クリエイティブブリュー」に取り組み、9月には第5弾「ヱビス クリエイティブブリュー 燻(いぶし)」を発売。その開発秘話を訊いた。
クラフトビールが日本に広まったのは、1994年の酒税法の改正が契機となり小規模なつくり手が増えたからと言われている。ラガー一択だった昭和の時代から一転し、ビールにはさまざまな味、香りがあることをクラフトビールは教えてくれた。
1890年に誕生して以来、日本人に愛されてつづけてきたヱビスビール。そんなヱビスも、クラフトビールではないが多様な味わいを追求しているのをご存じだろうか。昨年から始まった新ライン「クリエイティブブリュー」では、グレープフルーツ果汁を使ったビールなど、期間限定でさまざまな味わいを発表している。
その第5弾となる新作「ヱビス クリエイティブブリュー 燻(いぶし)」が、9月10日に発売される。
燻は、もともと YEBISU BREWERY TOKYO で発売された「煙々」が原点。このシリーズを手掛ける醸造家の有友亮太さんはこう語る。
「煙々は連日売り切れになるほど好評で、スモーキーな香りが特徴のビールでした。燻はその豊かな香りをそのままに、飲み始めの香りだけでなく後味の余韻も感じられるように改良しました」
スモーキーで香ばしい味わいの理由は、ブナ材で燻した麦芽を使用していること。そこに長年ヱビスで使用している特別な酵母、ヱビス酵母を組み合わせた。
「昔は麦芽を乾燥させる際に火を使っていたので自然と燻されていたのですが、時代を経て蒸気や電気に代わり、現在は燻製した麦芽を使用するブルワリーは数えるほどしかないんです」
ビールの本場ドイツに留学しブリューマスターの資格を取得した有友さん。さまざまな醸造所を訪れているが、燻製麦芽のビールを飲んだ時の驚きを忘れられず、いつか自分の手でつくってみたいと思っていたそうだ。
「試作した燻製麦芽のビールはクセが強く好き嫌いが分かれるものだったのですが、個性を残しながら飲みやすい配合はできないかと試行錯誤を重ね、完成しました」
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豊かな余韻と、スモーキーな香りが魅力
ビールで使用しているホップは250種以上、酵母も千株以上ある。途方もない組み合わせだが、有友さんはその配合を考えることが難しく、楽しいところでもあるという。どのように飲んでほしいかを想像し、そこに向けた配合を考えていくそうだ。今回はどんなシーンで飲まれることを想像したのだろうか。
「少し涼しくなってきた秋に、キャンプで焚き火をしながら楽しんでほしいですね。食事との相性もいいので、サンマや松茸など秋の味覚との組み合わせも、香りを引き立て合うでしょう」
ヱビスのアイデンティティである豊かな余韻と、スモーキーな香りが織りなす「燻」。新たな味を楽しんでほしい。
サッポロビール
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