夏の黒Tシャツは難しい……若さとルックスに自信がないなら別の選択肢を!<参考コーデ6体>

  • 写真・文:一史
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黒Tシャツが似合う人がいます。
20代までの若者、または30、40、50代でもスリムで顔が整った人です。
つまり、ファッション誌に登場するようなイケメン。
もしくは1日の大半を服飾品やお洒落について考えていられるアパレル関係者。
つまり、黒Tシャツを我がモノにする技を持つ人たち。

↓ (黒Tシャツが似合うオトコ)

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↑ (こんなとこで写真使ってゴメン、カイト)

反対に、黒Tシャツが似合わない人がいます。
わたしです。
つまり、小太りのおっさんで背が低く顔もシワだらけで……(以下、悲しくなってきたので省略)。

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誰でも若い頃は黒Tシャツが似合ってたと思うんです。
「黒着てるおれってかっけー」と自信に溢れていたでしょうし。
音楽カルチャーが好きな人は、憧れのミュージシャンと自身の姿を重ね合わせることもあったでしょう。
ところが!
そんな若者もいつのまにか中年になります。
腹が出て背中が膨らみ、髪が薄く顔に貫禄がつき。
黒のトップスは上半身を沈み込ませ、顔の造形と肌色をくっきりと浮き上がらせます。
顔が優れる人はそのメリットを享受できますが、そうでない人は欠点を強調する結果に。

ファッション誌がいくらプッシュしていても、鵜呑みにしてはいけない筆頭アイテムでしょう。
蒸し暑い夏場は黒というだけで重く見えがちなのに、ムサいオトコになる危険性が高いのです。

もったいないと思いませんか?
ほかにたくさん色の選択肢があるのに、夏くらいは黒を選ばなくてもいい気がします。
黒が好きな人は、パンツやサンダルなど上半身以外で黒を使えば問題なし。
黒ファッションに強いこだわりがある人を除き「黒がいちばんお洒落らしい」と思っているなら、その考えは捨てちゃっていいと思うのです。

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全身黒の夏服コーデ

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手持ちの私物で全身黒コーデを組んでみました。
自分では絶対やらない格好です。
「ん、ふつーに洒落てない?」と思った人、頭のなかでスリムなイケメンの姿を思い描いてませんかっ!
そこなんですよ、ファッション誌の提案の危ういところは。
わたしのような小太りおっさんだと、ムサ暑苦しいんです。
「それでも上下を黒にしたい」という方は、次のような対策アレンジはいかがでしょうか。

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バッグだけをカラフルにチェンジ。
バッグを別の色に変えるだけで、印象がだいぶ軽くなります。
ここではミニバッグを首から下げましたが、この代わりにシルバーやゴールドの金属ネックレスにするのは避けるほうが無難でしょう。
黒服にネックレスだと“オラオラ度”が増しますから。

上下黒服のままもっと変えるなら以下のように、 

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帽子とバッグを白に。
半透明フレームの薄色サングラスも加えました。
だいぶ軽快になりましたよね。
これなら小太りのおっさん(しつこいわ)でもイケそうに思いませんか?
全身モノトーンが狙いすぎなら、靴は例えばアシックスのシルバーメタリックな2000年代復刻モノにするとか、足元をトレンドにするとよりモダンになりそうです。

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真夏の私服コーデ

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夏の自分定番になってる服装です。
最高に便利なのがブルーストライプシャツ。
「パキッとクリーン」がキーワードの夏の必須アイテム。
汗も目立ちにくいですし、大人の誰でも似合いますし。
数着持ってるブルーストライプシャツは白シャツに続いてよく着る服です。

隣接する色を目立たせる黒の対比効果を使った、黒パンツでシャツの爽やかなブルーを強調したコーデです。
この服装を見た人はまずブルーに目が行くでしょう。
黒Tシャツが着る人の顔に目線を誘導するのと真逆の、顔の印象を散らす着方です。
パンツにも側章と裾に白ラインが入り重い印象がありません。
黒短パン選びのひとつのご参考に。

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黒を使わない茶系のコーデ例です。
ここでの主役は、敬愛するアトリエベトンがバイタミックスとコラボしてデザインした半袖Tシャツ。
ベトンの展示会でオーダーしたお気に入り。
これ着て街を歩くと、前からやってくるオトコたちにガン見されるんですよね。
「カッコいい服」と思われたなら願ったりですが、「このおっさん、家電の販促品着てるよ」となるとマズい w
ぎりぎりなTシャツだけに、組ませるアイテムはお洒落度高めにしました。
ミュールバウアーの麻キャップ、スタジオニコルソンのバギー短パン、キーンのサンダル。

ちなみに中年オトコの短パンの形は、太めが定石です。
細いパンツは下半身が細くなるぶん、顔の大きさが強調されます。
冬服ならジャケットやコートで肩を広くできるから顔を小さく見せられますが、薄着の夏服は体型がもろバレになります。
ロングパンツでもルーズやワイドを選びましょう。

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撮影仕事で出かけるときの服装です。
アウトドア系ワークウェアの組み合わせ。
シャツとパンツはともに水を弾く丈夫な生地(雨降り対応)。
ポケットも多く、レンズキャップを入れたり、カメラにコードでつないだiPadさえ押し込むことも可能。
道路に平気で寝転び、派手に動き回るわたしの撮影時は実用性を最優先させます。

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最後にお見せするのは、ややきちんとした服装。
シャリ感のあるサマーウールパンツは、足首上の着丈で袴のような形。
色はダークネイビーです。
白シャツジャケットも袖が太く和服に近く。
上下を組み合わせると古風なニッポン的になり、いい年のオトコに合う夏服だと思ってます。

さて今回の、「黒Tシャツの代わりを探しましょう」記事はいかがだったでしょうか。
「服は好きなの着ればいい。自己表現なのだから」という意見もあろうかと思います。
ただ着ている姿を自身で眺められるのは、鏡の前に立ったときだけ。
その服装と常に向き合うのは、周囲にいる人たちなんですよね。
うだるような暑さのなかで、会う人に涼しさを届けるためにも、一歩引いて自身の服装を見直すのも大切だと思うのです。
若さでゴリ押しできない年齢になったなら。

All photos&text©KAZUSHI

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高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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