西部開拓の香りが色濃く残る、カナダ・カルガリーの人気スポットを巡る

  • 文:藤村はるな
  • 写真:秋田大輔
  • 協力:アルバータ州観光公社、カルガリー市観光局
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カナダ西部にあるアルバータ州・カルガリー。1988年のカルガリー五輪などでも知られた同地は、130万人規模の大都市ながら、カナディアンロッキーを近くに臨む、自然豊かな土地だ。また、この土地で生活してきた先住民はもとより世界各地からの移民たちが集まり​、多様な食やアート、ファッションなどが共存する文化の交差点としても知られている。その自然や文化の豊かさから、世界的にも注目を浴びるカルガリー。今回は、その旅路を紹介していこう。

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カナダ開拓時代の歴史を知ることのできる「ヘリテージ・パーク」

2024年にエコノミスト・インテリジェンス・ユニットが発表した「世界で住みやすい都市ランキング」では、世界5位に選ばれたカルガリー。選出理由のひとつは、さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まる多文化社会である点だ。そんなカルガリーやカナダの歴史を知れるのが、カルガリーのダウンタウンから15分ほどのところにある​「ヘリテージ・パーク(Heritage Park Historical Village)」。1860年から1950年代におけるカナダの西部開拓時代に使われていたホテルや教会、店などの建物が並んでおり、当時の世界観を体感することができる。

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ビンテージ車が複数展示されるガソリン・アリー博物館。REOオートバイ(1908年製)など、アンティーク自動車が並ぶ。
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西部開拓時代から残る建物が、多く移築されるパーク内。スタッフたちも、当時のファッションに身を包んでおり、想像力が刺激される。
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パーク内にある遊園地では、メリーゴーランドや観覧車も楽しめる。レトロな施設が新鮮。
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建物の多くは、中に入ることも可能。床屋や商店、鍛冶屋などは、現在も営業中。観光客も利用できる。
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カナダの先住民族の住居や歴史などを知れるエリアも充実している。
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毛皮屋では、リアルなビーバーの毛皮などを陳列。西部開拓時代の衣装に身を包んだスタッフが、当時の貨幣価値などを解説してくれる。

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王立カナダ騎馬警察御用達の、アルバータ・ブーツ

世界最大級のカウボーイの祭典として知られる「カルガリー・スタンピード」をはじめ、カウボーイ文化が根付くカルガリー。街中を見ても、日常的にウエスタンブーツを身に着ける人たちも少なくない。そんな土地柄だからこそ、訪れたいのが創業1978年の「アルバータ・ブーツ(Alberta Boot)」。素材から作業工程まですべてにこだわる質の高さは、王立カナダ騎馬警察(RCMP)の公式ブーツとしても採用されているほど。現地に行ったら、お気に入りの一足を手に入れよう。

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ダウンタウンには工房兼ショップがある。店内には、商品のみならず、その歴史が垣間見られるディスプレイも充実。
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100%ハンドメイドで作られるウエスタンブーツ。オーダーはもちろん既製品の販売もあり。
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カルガリー五輪のエンブレムが入ったブーツは、五輪開催時の限定品。非売品。
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店内では、ブーツ以外のアイテムも充実。ウエスタンファッションを揃えたいならお薦め。
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熟練職人が丹精込めてひとつずつの工程を手作り。その工程は、240近くにも及ぶとか。
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オーダーの場合は、革の素材や色、形はもちろん、刺繍の具合なども指定することができる。

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街のシンボル・カルガリータワーから、街を一望

カルガリーのシンボル的な観光名所である高さ約190メートルの「カルガリータワー(Calgary Tower)」。地上158メートルの高さにあるタワーの展望台からは、カルガリー市内全域を一望できる。晴れた日には、ロッキー山脈や1988年の五輪時に使われたアルバータスキージャンプエリアまで見通せることも。街の全貌を知るには最適なスポットだ。

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スリムな円柱形を保つタワー。360度の大パノラマが楽しめる回転式レストラン「Sky360」ではご当地グルメも味わえる。Photo: Travel Alberta / Cakewalk Media
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展望台にあるガラス床エリア。まるで空中に浮いているような、スリル満点の体験を体感できる。

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カナダの音楽シーンの今昔を、プレイバック

音楽好きなら外せないスポットが、イーストビレッジに位置する「スタジオ・ベル(Studio Bell)」。国立音楽センター本拠地に併設されたこの施設は、カナダの音楽史を中心にした展示を実施。カナダ出身アーティストのアイテムや巨大パイプオルガンなどの希少な楽器をはじめ、音楽に関する歴史的史料を鑑賞できる。1度足を運ぶだけで、カナダの音楽史への理解が深まるはずだ。

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波のような曲線を描く壁面をはじめ、建築デザインも非常にユニーク。Photo: Travel Alberta / Cakewalk Media
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展示のみならず、訪問者が実際に楽器を演奏したり、サウンドを体験したりできるインタラクティブな展示も多数用意されている。Photo: Studio Bell / Leblond Studio

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世界最大級のカウボーイの祭典! その熱気を味わう

1912年にスタートし、以来、毎年7月上旬に行われるカウボーイの祭典「カルガリー・スタンピード」。そんな世界的イベントを記念し、2024年5月に開館したのが、「カルガリー・スタンピード・サム・センター」だ。年代もののウエスタンハットやウエスタンシャツなどの展示や歴史を振り返る映像アーカイブ、投げ縄体験やインタラクティブ展示も充実している。カウボーイの歴史やその文化の奥深さを感じながら、祭典の熱気を追体験できるはず。

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オープンしたばかりの館内。展示を通じてロデオや農業を通じたカウボーイ文化を深堀りできる。Photo: Travel Alberta / Davey Gravy
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スタンピードの熱狂が伝わる270度のマルチメディアショーをはじめ、様々な没入型プログラムが充実。Photo: Travel Alberta / Davey Gravy

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カルガリーの多様な食文化を知る、フードツアーへ

多文化主義を尊重するカナダだからこそ、その食文化も多様性に富んでいる。新鮮な地元食材とフュージョンした、ヨーロッパやアジア、中南米など世界中の料理を楽しめることもカルガリー観光の魅力のひとつだ。短期滞在でもできるだけたくさんの味覚に挑戦したいと思う人におすすめなのが、現地ガイドが提供するフードツアーだ。カルガリーの多様な食をガイドたちの語る物語と共に味わうことで、一口ごとの深みが大きく増すこと間違いなしだ。

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今回利用したのは、食のジャーナリストであるカレン・アンダーソンが運営する「アルバータフードツアーズ」。現地のフードジャーナリストが、ケンジントンのフードツアーをアテンドしてくれた。
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ケンジントンにあるチーズ専門店「ペザントチーズショップ」。種類豊富なチーズはワインとのペアリングも楽しめる。
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フードツアーでは、一度にさまざまな種類のチーズを試食。ボリュームたっぷりなので、ぜひお腹を空かせて参加したい。
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ケンジントンの「ヘイデン・ブロック・スモーク・アンド・ウイスキー」。カナダの名物であるBBQを堪能。
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オリジナルソースで焼き上げたBBQは、カナディアンウイスキーや地元のクラフトビールとともに。
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ピザの名店「プルチネッラ」。伝統的ナポリピザの製法を守ったAPN認定も取得。
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「ホテルアーツ」1階にあるレストラン「イエロードア」。気鋭のシェフによる創作料理の数々は、異文化が交わるカルガリーならでは。