ペルーで発見された謎のエイリアンのミイラ、「指紋は人間のものではない」と判明

  • 文:宮田華子
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@JoseB45355682 – Xのキャプチャ画像

ペルーで発見された「エイリアンのミイラ」とされる物体(標本)が話題を呼んでいる。

2017年にペルーで「エイリアンのミイラ」6体が発見された。その中の1体が専門家によって法医学的調査が行われ、その内容がこのほど明らかになった。

「マリア」と名付けられたこのミイラは、ナスカの洞窟の中で発見された。

 


3本指のミイラ「マリア」。うずくまったような姿勢が特徴だ。

Daily Mailをはじめとする報道によると、この調査はアメリカ・コロラド州の元検察官であり、現在は弁護士を務めるジョシュア・マクドウェル氏によって編成されたチームが担当した。マクドウェル氏とUFO研究家でありジャーナリストのハメイ・モーサン氏は、3人の専門家と共にペルーに向かった。専門家とは、デンバー市の検死官、メリーランド州検視局の法医学人類学者、そしてもう一人、マクドウェル氏の実父であり、法歯科医であり元コロラド大学教授であるジョン・マクドウェル氏だ。

 

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ハメイ・モーサン氏(左)とジョシュア・マクドウェル氏(右)。2人の対談の模様はモーサン氏のYoutubeチャンネルで視聴できる。@MaussanTV – Youtubeのキャプチャ画像

 


ジョン・マクドウェル元コロラド大学教授は、歯科記録から9/11(テロ事件)の犠牲者を特定する作業にたずさわった。

人間に見られない「直線型」の指紋

この調査によると、「マリア」の指紋は人間の指紋パターンと一致しなかった。

アメリカの法執行機関は1902年から犯罪捜査に指紋パターンの解析を導入している。指紋(皮膚紋理)分析は大まかに弓状紋(アーチ型)、蹄状紋(ループ型)、渦状紋(ホール型)の3タイプに分けることからはじまり、その後個々の特徴を解析する。

 


左から弓状紋(アーチ型)、蹄状紋(ループ型)、渦状紋(ホール型)の指紋。

 「マリア」の指先に刻まれた指紋は、3つの指紋パターンのいずれにも当てはまらなかったという。

マクドウェル氏は調査について、下記のように語っている。

「(マリアの)手や足の指の指紋にループや渦巻きは見られませんでした」
「私は元検察官で、刑事弁護士です。たくさんの指紋を見てきました」
「マリアの指紋は人間の指紋と一致しませんでした」

マリアの体は珪藻土で覆われた状態で発見された。珪藻土とは、珪藻と呼ばれるプランクトンの一種が化石化した粉末状の物質である。しかし手と足の指には皮膚の隆起と思われるものが露出しており、そこに直線の模様が見られる。「直線型」は人間の指紋には見られないパターンだ。

エイリアン愛好家にとっては「エイリアンのミイラと断定!?」と言いたくなる発見だが、マクドウェル氏と研究チームは慎重だ。

「現時点では標本の性質が何であるかは決定されていない」とし、結論を急ぐのは「時期尚早」と述べている。また「高度な研究機関でDNA研究が行われることを希望している」と記者会見で発言している。

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なかなか断定できない「エイリアンのミイラ」

ペルーで発見された「エイリアンのミイラ」標本は数多いが、偽物も多いようだ。今年1月、ペルーの税関で2体のミイラが押収されたものの、国立法医学研究所は「動物の体の一部を使い、紙や接着剤で組み立てられた作られた人形」と断定した。

 

「エイリアンではなく人形」と断定した会見。

しかしすべてが「フェイク」「人形」と切り捨てられるわけではない。今年3月、モーサン氏は声明を出した。これによると、国立サン・ルイス・ゴンザガ大学(UNICA)の科学者10人が、「(マリアを含む)ナスカで発見されたミイラには、地球の進化の連鎖に属さないものが29%含まれている」と結論づけている。

 


確かに本物のように見えるが…。

エイリアンの存在をめぐる論争は世界中で白熱した議論がされている。にも関わらず、なかなか終わりが見えない。モーサン氏のように50年のキャリアをかけてエイリアンの存在を証明しようとする研究者もいるが、なかなか決定打となる科学的証拠が出てこないのも事実だ。

そろそろ何らかの「確たる手掛かり」がほしいところ。さらなる研究が進み、最先端科学の裏打ちされた「真実」が待たれる。

【次ページ:動画で確認】2017年に発見された「3本指のエイリアンのミイラ」

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2017年春、マリアを含め、6体のエイリアンのミイラがペルーのナスカ地方で発見された。化石の状態から、1700年前のものとされ、大きな話題を呼んだ。