大正13年の創業以来、ひたむきに和牛と向き合い、美味しさにこだわってきた『銀座吉澤』が2024年7月29日の「肉の日」に、新店舗をオープンした。素材の味を活かした調理方法で、目利きされたブランド牛を味わうことのできる銀座吉澤は、ここ銀座の地で長きに渡り、すき焼きとしゃぶしゃぶを中心に肉料理を提供してきた名店だ。
新店舗は、3階に季節の素材と和牛をゆったりと堪能できる「肉割烹」を。2階には、すき焼きとしゃぶしゃぶに加え、新たに焼肉、せいろ蒸しを味わえる「肉処」。1階には目利きによって選び抜かれた牛肉を販売する「精肉店」を構える3階建てだ。創業100周年を迎える今年、「最高品質の和牛を銀座から世界に」をテーマに新たな一歩を踏み出す同店の見どころとは。
メニューはおまかせコースのみ、完全予約制の「肉割烹」
3階の肉割烹は完全予約制。栃木県で採掘される大谷石を用いた床と、天竜檜を用いたカウンターテーブルが特徴的な、大人のための落ち着く空間だ。調理風景を臨めるカウンターは、厳選和牛で繰り広げられる肉割烹のコースをゆったりと味わうことができる特等席だ。
一頭買いの厳選和牛を多様なスタイルで味わい尽くす「肉処」
昼はすき焼き鍋や松阪牛シルクトロフレーク重、和風ローストビーフ重などを御膳で。夜はすき焼きをはじめ、しゃぶしゃぶやステーキ、焼肉、せいろ蒸しをコースで堪能できる2階の「肉処」では、目利きにより厳選され一頭買いされた和牛を多様なスタイルで提供する。
そして今回、筆者が味わったのは肉処で提供される昼の焼肉コース。肉割烹にも登場する、江戸前ハーブ肉巻きからはじまり、2種類の部位を混ぜ合わせた特製ユッケ、そして雌牛の一頭買いにこだわる銀座吉澤ならではの、リブロースに肩三角、ミスジにカイノミなど5種類の和牛の食べ比べを楽しめる和牛尽くしのコースメニューだ。
肉質の柔らかさを追求した結果、銀座吉澤がたどり着いたのが、月齢数にもこだわった雌牛の一頭買い。脂の質、そしてその融点にまで着目し、仕入れを行っている。
また、新店舗オープンに伴い、焼肉での提供をはじめるにあたり、合わせてこだわったのが3種のタレだ。透き通った漬けダレは柑橘系の酸味のあるタレ。焼き上がったお肉を漬けると、その甘酸っぱさで少し濃厚な肉の脂をさっとさわやかに仕上げてくれる。上質な肉の脂と絡み合い、食べるごとにまろやかさが増し、タレが「育っていく」のを実感する。
おろしポン酢はそのまま肉で巻いて食べるもよし、漬けダレに混ぜればまた、タレをまろやかに「育てる」のに一役買う。卵ダレは、フワフワとした黄身ダレが、肉の甘味を一度閉じ込め解き放つクッションに。個人的には赤身の肩三角との相性が良いと感じたが、どの組み合わせが自分好みかを追求するのも、また楽しい。
肉の種類、そして特製タレの種類の豊富さ、さらにタレが育つことで変わる味の変化に、いつまでも飽きることなく食べ続けられてしまう。特にミスジにおろしポン酢と漬けダレの組み合わせがとろける美味しさであったことを記しておこう。
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1階の精肉店ではハンバーグ、瓶詰、ソースも販売
初代創業者の吉澤一一(かずいち)は、松阪牛の名をブランドとして広げるために尽力した人物だ。銀座吉澤の出発点ともいえる、精肉店。初代より、肉の仕入れ・加工・販売までを一貫して行ってきている銀座吉澤の真骨頂は、磨き上げられ代々受け継がれてきた「目利き力」そのものだろう。
牛の体型、脂質・肉質、血統の濃さ、飼育方法など独自の基準に達した雌牛のみを仕入れ、適切な温度と湿度の管理を可能とした水冷式冷蔵庫を導入した新店舗では「ベストな状態」を追求したショーケースで、自慢の和牛を販売する。銀座の地で古き良きものを大事にしつつ、新しい挑戦を続ける『銀座吉澤』のこれからに目が離せない。
銀座吉澤
住所:東京都中央区銀座1丁目20-8 吉澤銀座1丁目ビル
TEL:03-3542-2982(精肉店)、03-3542-2981(飲食店)
営業時間:10:00-18:00、肉処11:00-14:00、17:00-22:00(精肉店)、17:00-22:00(肉割烹)
定休日:日、祝、年末年始
www.ginza-yoshizawa.com/index.html