オリンピックの夏がやってきた。世界を熱狂させるスポーツの祭典を支えるのがオメガだ。正確無比の計測はもちろん、視聴者を盛り上げるあの映像も実はオメガの技術だった!?
90年以上にわたって計測を担ってきた、唯一無二のタイムキーパー
オリンピックの歴史を語る上で、オメガの存在は欠かせない。1932年に五輪史上初めて単一ブランドで全種目の計測記録を担い、今回のパリ五輪で31回目の公式タイムキーパーを務める。
人類の記録への挑戦が無限であるように、計測の世界も限界を超え、より高速化、精細化してきた。48年には電子技術の発達により計測技術はさらなる進化を遂げた。その口火を切ったのが、オメガ初のフォトフィニッシュカメラとフォトセル技術だ。
ゴールラインに備えたカメラで選手のパフォーマンスを撮影する一方、ライン上に照射した光線をトップの選手が越えた瞬間に計時を止め、タイムを測定。陸上競技ではタイムと並んで順位も重要であり、画像でも記録測定する。いずれも人間の目では捉えきれない高速の瞬間だ。
以後、数多の計時機器を開発し、スポーツ計測におけるオメガの名を知らしめた。革新的技術は電子スターティングピストルやブロック、クァンタムタイマー、タッチパッドなど枚挙にいとまがない。
こうした技術革新を担うのがスイスタイミング社だ。国際的なスポーツ大会のための計測技術の開発に取り組む独立企業であり、オメガも長年にわたって連携し、共同開発を続けてきた。その強い絆は、オリンピック開催期間中は「オメガタイミング」と改称されることからも窺える。
同社のCEOで、以前は15年間オメガに在籍しグローバルスポーツマーケティング部長も務めたアラン・ソブリストは両社の社会的意義をこう語る。
「現代のスポーツ競技においてオフィシャルタイムキーパーの役割は、非常に重要かつ、多くの責任が伴います。我々は年間500以上のスポーツ大会でサービスを提供していますが、特にオリンピックでは、IOCや組織委員会、そして選手たちのパートナーとして非常に特殊で特別な役割を担っています。そのために専門スタッフを訓練し、計測技術を革新していくことはきわめて重要なのです」
いまやオメガなしではオリンピックは実現しません、とも自負する。それだけタイムキーパーには完璧が求められ、それに応えてきた自信があるからに他ならない。
パリではよりエンターテインメント性を高めた最新のグラフィックテクノロジー“ヴィオナード”も導入する。ライブ計測、得点、最終結果判定や選手情報まで、あらゆるデータをリアルタイムで継続的に表示することで、世界中で観戦する視聴者がさらに競技を楽しめるようにする次世代技術だ。
収集されたさまざまなデータは競技後も分析され、トレーニングなど今後のスポーツ発展に活かされることは言うまでもない。タイムキーパーの可能性は広がり、その一翼を担うオメガの挑戦はさらに続くのである。
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オメガが開発してきた、五輪競技を支える革新的技術
01.電子スターティングピストル
02.スターティングブロック
03.フォトセル
04.フォトフィニッシュカメラ
05.クァンタムタイマー
06.タッチパッド
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オメガCEOが語る、五輪の意義と“精度”
スポーツの計測を通してオメガが目指すこととは? オリンピック開催を前に、本社のトップに訊いた。
頂点を目指してきた世界のアスリートたちの最後の勝敗を分かつのは、人間が認識できないような超高速の瞬間かもしれない。オフィシャルタイムキーパーはそんな重責を担う。ではなぜオメガはそれを目指すのだろうか。スイス・オメガのCEO、レイナルド・アッシェリマンはこう断言する。タイムキーピングはオメガのDNAの一部だから、と。
「オメガはオリンピック開催期間の2週間で、130万におよぶデータを計時します。なぜなら私たち自身が必要とするからです。それは世界記録をリアルタイムで表示するという情熱であり、ひとつの記録にまつわる詳細な情報をすべて網羅したいのです。そしてすべてのアスリートのパフォーマンスに脚光を当てたいのです」
そのためには正確かつ完璧な計時は不可欠であり、これまで多くの革新的な技術を発明してきた。スターティングピストル然り、スターティングブロックや水泳のタッチパッド然り。そしてこうした技術はいずれもアスリートとの対話を重ね、「順位を明確にしたい」という希望から生まれたという。そこには、記録もさることながら一人ひとりの記憶として残したいという思いもある。
「すべての少年はスポーツに興味を持ち、自身もヒーローのようになりたいという憧れを抱きます。そんな可能性という最高のインスピレーションを与えることこそスポーツの醍醐味です。そしてオリンピックでは金メダリストの多くが開催以前は自国でも無名だったり、競技も国によってはあまり知られていないものもあります。そこにスポットを当て、注目を集めるのもオリンピックなのです」
こうしたオリンピックの意義にこそオメガが取り組むにふさわしい大きな価値があるという。
「私たちはひとつの有名な競技に偏った力を注ぐのではなく、すべての競技に関わっています。どんな競技であれ、アスリートが自国のヒーローになる瞬間にオメガが立ち会えることに最高の喜びを感じているのです」
華やかなスポーツの祭典に人々が熱狂する陰で、ただひたすら精密な時を計測し続ける。中継に唯一映し出されるオメガのロゴはその静かなる矜持なのだ。
オリンピックのタイムキーピングが象徴する“精度”は、スポーツ計測だけでなく、哲学としてオメガのコレクションに通底するとアッシェリマンCEOは言う。
「私たちの大きなアドバンテージのひとつは、昔からパイオニアであり、イノベーターであり、クリエイティブなブランドだということです。精度はその象徴であり、たとえばスピレートシステムやマスター クロノメーター認定といった先進性も、精度を求めたオメガの代名詞です。ラグジュアリーの〝定義〟にブランド名や高価格が挙がるかもしれませんが、私はそうは思いません。製品に注がれた独創的な設計やデザイン、素材や革新的な技術、そして創造性といったこだわりが大きな要素になっているのです。特に時計の場合、注ぎ込まれる多くの技術や独創性は精度に反映されるのです」
オメガが精度を追い続ける理由のひとつもそこにあるのだろう。自身もCEOに就任して最初に取り組んだのが、スピードマスターの新世代の立ち上げであり、そのDNAを継承しつつ、より高精度を極め、新しい感覚を生み出したことで、オメガが真のラグジュアリーであることを証明した。
「本物のラグジュアリーブランドとは、時とともに進化し続けるものです。スピードマスターもただ名前だけではなく、確固たる進化を遂げたことで大きなマイルストーンとして語り継がれるモデルになりました。コレクションの特性を理解した上でモダンに進化させる。オメガの代表的な4つのラインのうち、初代が1957年に遡るものもあります。60年以上支持されているのもルーツを保ちながら常に進化し続けるからであり、ヴィンテージの焼き増しをしているわけではないのです。そして誰もそれを望んでいないでしょう」
精度という普遍性とともに、腕にはオリンピックという感動のドラマが宿っている。
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ムーンシャインゴールドを纏った、パリ 2024の記念モデルも登場
シーマスター ダイバー300M パリ 2024(右)
1993年に発表された「シーマスターダイバー300M」に、ベゼルリングや針にムーンシャインゴールドを採用し、金メダルを想起させる。ベゼルはレーザー加工によりレリーフでポリッシュ仕上げのダイビングスケールを施し、12時位置にはスーパールミノバのドットを備える。秒針はパリ2024のエンブレムをあしらい、日付も大会公式のフォントを使う。クイックチェンジシステムで、別売りのパリ2024 NATOストラップと容易に付け替え可能。
スピードマスター クロノスコープ パリ 2024(左)
「スピードマスター クロノスコープ」をベースに、外装素材には独自開発のムーンシャインゴールドを採用し、繊細な色合いで魅せる。ダイヤルは1940年代のスネイルデザインを用い、タキ、パルス、テレの3種類のメーターを記す。多彩な計測機能はオリンピックの公式計時を務めてきた歴史を象徴する。ケースバックには、パリ2024のロゴや文字のほか、オリンピックリングをあしらった記念のメダリオンを備える。
左: スピードマスター クロノスコープ パリ 2024 /手巻き、18Kムーンシャインゴールドケース&ブレスレット、ケース径43㎜、パワーリザーブ約60時間、50m防水。¥7,942,000
オメガ
TEL:0570-000087
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