羽田空港の新ターミナルは、未来の東京の空が表現されている

  • 写真:斎藤誠一
  • 編集&文:渡邊卓郎
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機材やサービスが進化しているように、空の玄関口も旅行者に優しく、多様な進化を遂げている。評判の世界4空港を取材した。第四回は、羽田空港のコロナ禍を経て、昨年に営業再開された第二ターミナル国際線について。

Pen最新号は『エアライン 最新案内』。2020年のパンデミックによって、エアラインを取り巻く環境が大きく変わった。リモートが普及し、CO2削減が人々に浸透した現在、円安を考慮しても航空券価格は世界的に高騰している。最新ビジネスクラスは、以前のファーストクラスのようなサービスや価格へと変化し、安いが不便だったLCCは、「ちょうどいい」ハイブリッドエアラインへと進化する。エアラインの最新を知れば、新しい時代の旅が見えてくる。

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視界を遮るものを省き、「空」をコンセプトにした開放的なラウンジ

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羽田空港第2ターミナル国内線出発ロビーに隣接する国際線エリア。上部階の天井に施された流れる雲や風を模したシルエットで、東京の未来の空を表現したライティングが存在感を放つ。

大空を漂う雲。羽田空港第2ターミナル国際線の出発ロビーに立った瞬間に思い起こされるイメージだ。「空」をコンセプトにして構成されたロビー空間は、膜が採用され有機的なラインを描く白く大きな屋根から降り注ぐ自然光のやわらかな明かり、青空を感じさせる配色、絶え間なく変化する雲をモチーフにした造作などが組み合わさることで、まるで大空の中にいるような感覚があり、空の玄関口である空港を意識する。

青を基調にしたこの国際線エリアを利用するのは日本の〝青い翼〟ANA。2020年に完成したもののパンデミックに突入してしまった経緯があり、わずか13日間だけの営業だった。長い沈黙の時間を経て23年7月に再開。

視界を遮るものを省いた開放的な空間の要因は、最大約18mという天井高にもあるのだが、チェックインと手荷物預かりが一体となったカウンターによって生まれるスペースなど、あらゆる場所でゆとりを感じる。

その開放感はラウンジにも共通している。「ANA LOUNGE」、「ANA SUITE LOUNGE」を監修したのは隈研吾。「一期、一会」をテーマにした空間は、移動や旅の最中の忙しい時間を、ラウンジを利用することで落ち着いた特別な時間に変えてくれる空間になっている。「ANA LOUNGE」を訪れたなら、まずはその広さに圧倒されるだろう。894席用意された座席は水平の広がりを重視したレイアウトで構築され、スケールがありながらも配色と光の演出によって、静かに落ち着いた雰囲気を生み出している。

将来、ANA国際線はこの第2ターミナルの利用が主になってくるという。第一印象の開放感を保ったまま、搭乗までのすべての流れをストレスなく進めるシームレスな感覚は、特別な快適さを旅にもたらしてくれる。

 

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ファースト・ビジネスクラスの利用客とANAマイレージ上級会員など向け(※)の「ANA LOUNGE」のラウンジスペース。多彩な用途に対応するスペースを設置。ステイエリアの印象的なオブジェは、水面に反射する光と雲を表現している。
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ファーストクラス利用者とANA「ダイヤモンド」会員などが利用できる「ANA SUITE LOUNGE」のライブキッチン。シェフが目の前で調理し、出来立ての食事を提供。
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近未来的なフォルムが存在感を放つ自動手荷物預け機。チェックイン機とセットになっているため、セルフでスムーズな搭乗手続きが可能。

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羽田空港第2ターミナル国際線

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利用客数:平均4,500人(1日)/便数:26便(1日)※2024年サマーダイヤの出発便数/広さ:66,000㎡
/市内中心地までのアクセス:約30分
2020年3月の完成後にコロナ禍となり、3年の時を経て再開された。「新しい空」をイメージして、屋根と外装が一体となったフレーム構成がロビー空間を軽く包みこむ。外観で特徴的なX状の部分は面的支持構造。これまで国内線間とのターミナル移動で生じていた時間のロスが解消され、スムーズな乗り継ぎが実現されている。現在は1日26便の出発便数だが、今後は順次増便され、拡大が続いていくという。

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