昨年他界した世界的音楽家である坂本龍一が、この世を去る前に遺した最後のピアノソロコンサート作品『Ryuichi Sakamoto | Opus』は、長編映画としてヴェネチア国際映画祭にも選出され、現在も全国の劇場で一般公開されている。
そんな本作品が、8月9日に音源『Opus』として、全世界に配信リリースされることが決定した。
闘病生活を続けていたなかで、最後の力を振り絞り演奏した本作品は、坂本龍一が「日本でいちばん音のいいスタジオ」と断言した東京のNHK509スタジオで1日に2・3曲ずつ収録され、8日間に渡り行われた。名曲『Merry Christmas Mr. Lawrence』、生前最後のアルバム『12』からの曲、映画『トニー滝谷』のサウンドトラックとして2005年にリリースされた『Solitude』など、坂本龍一自身が選曲した20曲から構成されている。
本作品に参加したのは、監督の空音央、撮影のビル・キルスタイン、録音のZAK、編集の川上拓也、照明の吉本有輝子。坂本龍一が全面的に信頼を寄せた監督と撮影クルーたちであり、全編モノクロームの親密かつ厳密な世界でひとつしかない宝物のような空間を生み出した。
また、『Opus』収録曲より『Tong Poo』の先行配信がスタートしている。『Tong Poo』は、1978年、イエロー・マジック・オーケストラのデビューアルバムに収録された初期の代表作であり、これまで2台のピアノのためにアレンジされたバージョンはあったが、ソロピアノ版は初披露となる。
映画公開時には、役所広司、黒沢清、李禹煥、小山田圭吾、角野隼斗らが賞賛のコメントを寄せている。
深く刻み込まれる坂本龍一の演奏は、今もなおたくさんの人の心を動かし続ける。