アマゾンとコラボで進化、ネットも放送も超解像TV【麻倉怜士が選ぶ今月の家電】

  • イラスト:信濃八太郎
  • 編集:一ノ瀬 伸
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〈テレビ〉
Panasonic TV-65Z95A(パナソニック 4K有機ELテレビ TV-65Z95A)

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有機ELテレビの2024年フラグシップモデル「Z95A」シリーズ。65型と55型をラインアップ。「マイクロレンズ有機EL」を搭載。¥520,000前後(65型、市場想定価格)

パナソニックは2024年モデルの有機ELと液晶の両テレビで、新OSとしてアマゾンの「Fire TV」の採用に踏み切った。テレビへの内蔵はフナイに続き、国内2例目。採用の決め手は、優れた検索性だ。インターネット上にはコンテンツがあふれ、どこに見るべきものがあるのか、大海から一匹の魚を探すようだ。

そこで頼るはFire TVの推薦機能。アマゾンはECサイトでもわかるように、履歴参照によるレコメンデーションが得意。同じやり方で、多くのネットコンテンツから履歴によってユーザーの好みに沿って推薦してくれる。

パナソニックならではの工夫が、放送コンテンツの扱い。Fire TVをそのまま導入するのではなく、ネットはアマゾン、放送はパナソニックと開発を分業し、長年の放送への知見を組み合わせた。今後、放送予定やHDDに撮り溜めた番組の情報から、ユーザーに推薦するパーソナライズ機能にも期待したい。ネットと放送の融合がコンテンツ側で叫ばれるなか、端末側でも追求するのだ。

画質設計もネットを意識。細かな部分までていねいに描写されるが、それを成すのが2本建ての超解像だ。4Kと4K未満の画像の違いを、深層学習させたAI超解像と、従来からのバランス型の数理モデル3次元超解像を、入力信号の質によって適宜にブレンドする。つまり、低位な画像はAI超解像を強めに、もとから高精細なものは数理型超解像を主体に処理し、あらゆるコンテンツでのクオリティ追求を可能にした。

有機ELはパネルがリニューアルされ、輝度が向上。私の専門である画質評価の観点でも、階調表現は抜群の優秀さだ。ネットと放送の融合が生んだ新テレビに注目したい。

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多数のスピーカーを前向きに並べた「ラインアレイスピーカー」で厚みのある音を実現。また上向き、横向きにもスピーカーを配して、部屋全体に届く立体音響が楽しめる。

麻倉怜士

デジタルメディア評論家。デジタルシーン全般の動向を常に見据える。著書に『高音質保証! 麻倉式PCオーディオ』(アスキー新書)、『パナソニックの3D大戦略』(日経BP社)などがある。

問い合わせ先/パナソニック ビエラご相談窓口 
TEL:0120-878-981

※この記事はPen 2024年8月号より再編集した記事です。