オーストラリア生まれのシューズブランド、ブランドストーン(Blundstone)をご存知ですか?
防水性が自慢のワークシューズながら、スニーカー並のクッション力で足に優しい仕様。
「雨が降る日はブランドストーン」と、レインシューズとして履く愛用者がいるブランドです。
ワーク系の服装の愛好家にはよく知られていますが、一般にはまだ知る人ぞ知る存在かもしれません。
その大きな理由は、製品ラインナップがサイドにゴムがついたサイドゴアブーツばかりだからでしょう。
バリエーションがとても少ないのです。
(そのぶん専門性が信頼されている)
実用性重視のブーツは履く人が限られます。
ワーク用途と割り切るには価格も安くないですし。
そんな彼らが2024年2月になんとサンダル型のクロッグをリリースしました。
ブランドストーンの製品のなかでも最高性能と呼べる全天候型の「オールテレイン(ALL-TERRAIN)」シリーズに属する、「オールテレイン クロッグ(ALL-TERRAIN CLG)」です。
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本格ワークブーツのヒール部分をスポッとカットしたような構造。
ここに写真掲載しているのは入手した私物です。
(撮影時は新品状態)
カッコよさげに撮りましたが、実は無骨で作業靴感漂う1足。
ある意味でルックスが野暮ったいところが、男心をくすぐります。
なにしろ、
■アッパーは足馴染みのよさを期待できる高撥水加工の本革。
■縫い目まで高撥水加工で水の侵入を阻止。
■インソールとその下に、「XRD」素材を仕込んだクッション力。
■300℃の熱と氷点下15℃の低温に耐え、耐油・耐酸性も兼ね備えるアウトソール(ヴィブラム社共同開発品)。
この堂々たるプロ仕様スペックたるや。
ただこれは、足首部分のないクロッグ。
雨の日に履くと踵から水が入るか、靴下がぐしょ濡れになりそうです w
夏の短パン姿のときは避けようかと。
そんなシューズなのにアッパーの防水性能に一切手抜きなし。
素晴らしい。
つっかけサンダルにしては完全にオーバースペック。
最高です。
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フィット感は幅広のわたしの足でもちょうどよく。
軽くすっと収まる印象です。
街歩きした実感はまさにワークブーツとスニーカーの中間。
とくに階段の上り下りと、坂道を下るときに快適でした。
クロッグらしい踵のパカパカした浮きはありますね。
さらにやや気になったのが、シューズ内部の滑りがかなり良いこと。
(特にインソール)
軽快な反面、履くソックスによっては内部で足が動きやすいです。
(ブレによる足疲れや、脱げやすさにつながる可能性が)
ビルケンシュトックを例に挙げるとわかりやすいですが、サンダルは内側の滑りをあえて粗くすることが多いです。
足全体を包むホールドができないため、足滑りせずフィットするようにします。
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このクロッグが想定されているであろう野山の悪路のほうが、都会のアスファルト道路より歩きやすいのかもしれません。
または地面に油や酸がある作業現場において、歩きをそこまで必要としないシーンなど。
普段履くランニングシューズと同じペースで街を歩こうとするわたしのほうがたぶん間違ってる……。
アウトドア生活ともハードワーク環境とも縁遠い者が、ソックス選びを工夫して快適なアスファルト歩き(?)を実現させてみせます!
追記:
覚悟決めて素足用の薄いパイルインソールを上に重ねたら、滑りが減って格段に歩きやすくなりました!
アッパーに覆われた足先の蒸れも軽減されますし。
でもグラフィカルな図案のオリジナルインソールが隠れてめちゃダサくなった……。
(人前で脱げない)
秋になったら厚手ソックス履いて、パイルインソール外します。
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足入れ口がクッション材入りの切り返しです。
ちょっと野暮ったくて、ここがなければよりクールな印象に仕上がったでしょう。
でもこのパーツのおかげで、アッパーが足に当たる感触が和らぐ。
身より実をとるブランドストーンの姿勢の表れ。
ソールはアッパーと縫い目なく結合させるインジェクション製法で、隙間なく水の侵入をシャットアウト。
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内張りにはスニーカーのようなライニングが。
現代的なリサイクルナイロンで、摩耗に強く抗菌性にも優れるようです。
内側に革裏がむき出しのシューズにありがちな、靴下に色移りして汚れる心配もなし。
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ヒールのクッション補強が実に念入り。
インソールの素材と同じものをクロッグ本体にも取り付け、2重に高めています。
さらにミッドソールもポリウレタンで柔らかめ。
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ブランドストーンご自慢のアウトソール。
ハイエンドなオール テレインシリーズの共通ソールです。
縦横に溝を設け、歩くうちに自然と泥が落ちていくセルフクリーニング機能にもなっているそう。
落ち葉が積もる森林のなかでも歩いてみたくなります。
このさい耐熱300℃も試したいけど、どこに行けばいいんだ!?
プロスペック品ってやはりいいですね。
真剣に追求したアイディアと工夫があります。
ただ全身の服装を“本物”で固めてしまうと、コスプレになってしまう危険な側面も。
このクロッグはダッドシューズのような“外し”として、洒落た服装と組ませたいものです。
All photos&text©KAZUSHI
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ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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