スイスの高級時計メゾン、オーデマ ピゲから、ケース素材に新開発の「18Kサンドゴールド」を採用した、従来の腕時計のかたちとは異なる斬新なモデルが発表された。
オーデマ ピゲから「リマスター」コレクションの第2弾が登場した。「リマスター02 オートマティック」は、1960年にオーデマ ピゲが7本だけ製作・発売したモデルを現代に再解釈した、64年ぶりの夢の続きである。
オーデマ ピゲが過去の傑作を、現在の技術と人間工学を駆使して「リマスター」(改良・修正して再製作)化する試みは、2020年に開始。第1作では1943年製作のクロノグラフをリマスタリングした。一方で今回は趣を一変し、水平線と斜線がダイナミックな造形を描く、非対称形のモデルをトリビュートする。60年代といえば、ル・コルビュジエに代表されるようなブルータリズム建築の最盛期だ。甘さを排した様式の再評価が著しいこのタイミングで、同じ時代を共有した腕時計のブルータル(荒々しい)な魅力も、また立ち上がってくる。
第一印象から決して忘れられない心象を遺すのが、3時方向に不均衡な張り出しを有する左右非対称の長方形フォルムだ。その延長部分を追いかけるようにサファイアクリスタルの風防が15・8度の角度でスロープを急降下させ、ラグと一体になったケースに接合する。傾斜と水平が織りなす大胆な面の構成は、一世を風靡した名建築群と同様に、時代を超えたデザインの傑作だ。
ケースマテリアルは「サンドゴールド」。金と銅、パラジウムで構成され、ホワイトゴールドとピンクゴールドのニュアンスを併せ持つ、新しい18金の素材である。
異なる三角形の組み合わせからなるダイヤルは、PVD仕上げを施したカラー「ナイトブルー、クラウド50」を纏い、サンドゴールドカラーの対角線で12分割される。この文字盤は、個別に加工した真鍮製の三角形にサテン仕上げを施し、その微小のパーツをプレートに取り付ける、熟練した職人の手作業によるものだ。
原型となったモデルの1本は、本社併設のミュージアム「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」で保存・展示されている。60年代にオーデマ ピゲはブルータリスト運動にインスパイアされた、一切の装飾を持たない幾何学的で角張ったフォルムの腕時計を30種類以上もデザインした。それらの多くは10本以下という小ロットで製作。創業以来現在に至るまで家族経営を貫く独立不羈のマニュファクチュールは、クリエイションの独創性を永続してきたのだ。
その時代性だけでなくブランドの歴史と気風を象徴するマスターピースが、最先端の技術と創造性で再解釈される。リマスタリングされたのは時計そのものだけでなく、古典的な時計の伝統を破って非対称ウォッチの黄金時代を築いた、マニュファクチュールの記憶でもある。
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「リマスター02 オートマティック」のこだわり抜かれたディテール
01.非対称形フォルム
02.サンドゴールド
03.ムーブメント
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この夏に1周年を迎える、世界初の体験型施設「AP LAB Tokyo」
オーデマ ピゲが東京・原宿にオープンさせた世界初となる体験型施設「AP LAB Tokyo(エーピー ラボ トウキョウ)」が、来月7月に1周年を迎える。知的好奇心を楽しみながら満たす、“エデュテインメント”(教育+娯楽)施設で、ブロンズ色のメッシュで建物全面を覆うスタイリッシュな外観が特徴だ。このデザインはオーデマ ピゲのスイス本社、ル・ブラッシュの「ミュゼアトリエ オーデマ ピゲ」に共通するもの。
1階メインフロアに足を踏み入れると、そこには「時間」「素材」「機構」「音」「天体」をテーマにした5つのコーナー=アトリエが配置されている。そのすべてで実施されるのが、テーマに沿ったゲームを知恵と五感で解いていくゲーム体験である。
1階ですべてのゲームをクリアすると、2階のマスタークラスへ進める。ここでは、時計師が仕事に使うのと同等のワーキングベンチで、サテン仕上げやポリッシング、ペルラージュ装飾など、オートオルロジュリー(高級時計)の高等技術に挑戦できる。最高の時計師体験を楽しめる機会だ。 まだ訪れていない人は、この夏、ぜひ体験してみてほしい。
AP LAB Tokyo
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-9
TEL:03-6633-7000
営業時間:11時~19時
定休日:火曜
入場無料(予約優先、予約無し入場も可能)
オーデマ ピゲ ジャパン
TEL:03-6830-0000
www.audemarspiguet.com