ビームスジャパンの鈴木修司です。今回の旅の舞台は熊本県の“天草諸島”。「潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産の史跡があるなど特徴的な歴史と文化を有し、四方向を異なる海に囲まれて自然豊か、そして特産品も多彩な場所です。ざっくりと説明するならば、北に有明海、東に八代海、南に天草灘、西に東シナ海と面し、海水浴にイルカウォッチング、温泉に美味しい魚、これでもかと海の恩恵を受け、私にとっては憧れの地です。
1.フェリーでアプローチする、天草の牛深港
初めて訪れたのは7年ほど前ですが、何年間か天草の商品開拓に関わらせて頂いたので、その時は足繁く通っていました。まず天草で紹介したいのが、いくつかの“旅路”です。今回は鹿児島の仕事に合わせて入ったので、鹿児島の長島町から“長島海峡横断国道フェリー”で天草の牛深港への海路を利用しました。
それ以外にこれまで私が利用したのは、まず熊本空港から“天草エアライン”による空路、熊本駅から特急“A列車で行こう”を使って陸路と海路を乗り継いだり、福岡や熊本市内からレンタカーを使っての陸路、時には長崎の島原半島からフェリーでの海路と、陸海空の様々な路(みち)を使って天草を訪れています。年間の大半を旅に費やす私ですが、“旅路”をいかに楽しむかが重要なので、その点でも天草は魅力的な場所です。
2. 「紅蘭」で素朴な天草ちゃんぽんを
天草について話し出すと長くなってしまうので、ここからは今回の旅についての話です。長島(蔵之元)からの乗船があまりにも気持ち良く、牛深港に着く頃にはすっかりお腹が空いていました。午後からの仕事に万全を期すため港近くの中華店で名物の“天草ちゃんぽん”(紅蘭)を頂きます。まさに求めていた素朴で懐かしい味わいで、一気に気持ちも身体も天草モードです。
3. 名物「椿油」とラピュタの木、そして土人形
牛深から車で小一時間ほどで天草の中心地である本渡に着きますが、まずはお世話になっている天草市役所で打ち合わせ、話も手短に目当ての作り手や産地を訪ねます。ここで、とくに紹介したいのが椿油です。 産地としては東京の利島や長崎の五島列島が有名ですが、天草の椿油もオススメです。
天草の夕陽はとても美しいことで知られていますが、屈指のスポットである“西平椿公園”は名前通りに見事な椿が所狭しと自生しています。そして公園内に、最近は椿以上に話題になっている通称“ラピュタの木”があって、ご褒美のような元気を頂けます。エネルギーが溢れた場所で育った椿の油なので、しっかりパワーも宿ったものに違いないと考えているわけです。
もうひとつ紹介したいのが、あまり知られていない郷土玩具の“土(どろ)人形”です。改めて“潜伏キリシタン”の歴史を知ったのですが、一見は“山姥(やまんば)”のような人形が、実は過去に“マリア像”として拝まれていたものだとか。同じような話で、日本のほとんどの地域で正月しか飾らない“しめ飾り”を天草では年中飾る風習があり、信仰を偽るために飾っていた名残で、実際に季節外れのものを何度となく見ています。話がまた逸れましたが、下浦という地域ではこれまでの土人形とは違い、新しいものが生まれています。地域の方々が地元を盛り上げるべく、また地域の文化を再発見すべくものとして、生み出したそうです。そこで購入も出来ますし、運良ければ制作している現場を覗くことも出来ますし、もっと運良ければとても美味しい晩柑ジュースを頂きなら地元の方とのお喋りも楽しめるでしょう。
4. 季節の刺身と焼酎“天草”を味わう居酒屋「入福」
最後に忘れてはならないグルメ情報。私が敬愛する居酒屋探訪家の太田和彦さんが訪れている本渡の市街地にある名店“入福”を訪ねましたが、期待に十分に応えてくれる素晴らしいお店でした。季節物のカワハギを中心としたお刺身、そして地酒である焼酎“天草”も堪能出来、ご主人との話にも花が咲きました。
5. 三方に海を眺める、鮮魚店が営む定食屋「魚正」
もう一軒オススメは、牛深港のフェリー乗り場近くの鮮魚店が営む定食屋“魚正”です。魚屋さんの二階に上がると、三方に海を望め、刺身定食なのに煮魚や小鉢やデザートまで満足過ぎる内容、加えてお店の方がとても親切で、私にとっては天国ような場所です。フェリーに乗らずとも、牛深まで足を運んで頂きたい、そんなお店です。
BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター鈴木修司が日本の魅力を紹介!
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BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。