【Penが選んだ、今月の音楽】
『フィアレス・ムーヴメント』

2010年代以降の新世代ジャズ黄金期を象徴するカリスマ・サックス奏者の新作。壮大なSF的世界観を有する彼の音楽だが、娘の誕生を機に視点は日常や身の回りへ。ラッパーやシンガーを多数ゲストに迎え、スピリチュアル・ジャズからヒップホップまでを横断する多彩な音世界を創生する。ジョージ・クリントンが参加したPファンク・マナー曲やアンドレ3000がフルートを奏でるアンビエント曲が続くメロウな中盤は白眉。音の躍動感は鳥肌ものだが、親しみやすさは過去最大。現代ジャズの領域を拡張する入魂作。
※この記事はPen 2024年7月号より再編集した記事です。