新世代ジャズのカリスマによる、日常や身の回りを捉えた世界観

  • 文:山澤健治(エディター)
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【Penが選んだ、今月の音楽】
『フィアレス・ムーヴメント』

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カマシ・ワシントン ビート・レコーズ YO350CDJP  ¥3,520

2010年代以降の新世代ジャズ黄金期を象徴するカリスマ・サックス奏者の新作。壮大なSF的世界観を有する彼の音楽だが、娘の誕生を機に視点は日常や身の回りへ。ラッパーやシンガーを多数ゲストに迎え、スピリチュアル・ジャズからヒップホップまでを横断する多彩な音世界を創生する。ジョージ・クリントンが参加したPファンク・マナー曲やアンドレ3000がフルートを奏でるアンビエント曲が続くメロウな中盤は白眉。音の躍動感は鳥肌ものだが、親しみやすさは過去最大。現代ジャズの領域を拡張する入魂作。

※この記事はPen 2024年7月号より再編集した記事です。