Webtoonにおける日本独自の作劇法とは? 村松充裕×蔵石ユウが語る、縦読み漫画の魅力

  • 文:ちゃんめい
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Webtoonのコンペ×ワークショップのメンターを務める、STUDIO ZOON編集長の村松充裕さん(撮影:齋藤誠一)

Penでは、STUDIO ZOONの協力のもと、Webtoonのコンペ×ワークショップを開催します。現在参加者のエントリーを受付中で、ご応募はポートフォリオの提出だけでOK。参加費は無料です。エントリー者の中から選ばれた5人(組)はワークショップに参加、Amebaマンガに掲載する読み切り作品を提出していただきます。最優秀作品には賞金10万円を贈呈します。

本プロジェクトの開催に伴い、6月初旬、STUDIO ZOON編集長の村松充裕さんと、漫画原作者・蔵石ユウさんの対談イベントを配信しました。視聴者から寄せられたWebtoonにまつわる質問について、おふたりの回答を一部抜粋して紹介します。

Webtoon部門、エントリー受付中!

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【応募期間】
2024年6月30日(日)23:59まで

【提出物】
foriioなど、ポートフォリオサービスのURL
(新作ネームの提出でも問題ございません)

※参加費無料。優秀賞はAmebaマンガに掲載&最優秀作品は賞金10万円!

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漫画とWebtoonで、できること&できないこと

――漫画とWebtoon、心理ネームの量に違いはありますか。

蔵石:あります。Webtoonの場合、できれば心理ネームは少ないほうがいいと思いますが、やっぱり登場人物の状況を説明するのも必要。漫画とは違う、少し独特なバランスがあるように感じます。

村松:心理ネームの使い方が異なりますよね。「俺はいま、こう考えている」とか「俺は次こうするぞ!」みたいに、1コマのなかにびっしりと心のセリフを描くことができる漫画と違って、Webtoonは心理ネームを“ガイド”のように使う。たとえば、主人公が誰かに追われているシーンでは「こっちも行き止まりかよ」や「どこに逃げればいい!? 」って入れてみたり。漫画だとセリフなしのコマで繋いで読ませるところ、Webtoonだとこういったガイドみたいな心理ネームがないと目が滑ってしまうんです。

蔵石:Webtoonは漫画と違ってスクロールされる。この動作が入ると全然違ってきますよね。他にも漫画では当たり前の「見開き」が使えなかったり。

村松:Webtoonでは何が「見開き」の代わりになっていますか?

蔵石:代わりになるものはないですね。強いていうならば縦に長いコマでしょうか。でも、めくった瞬間の驚きと言いますか、「見開き」と同じくらいの衝撃はないですね。

村松:感覚的には、Webtoonとは漫画でいう超デカいコマだけで構成されているもの。だから、どのタイミングでも「見開き」のような見せ場がたくさんつくれるのではないかと思っています。

――心理ネームやコマの使い方などWebtoonならではの制約も多い。一方で、Webtoonはフルカラーなので、着彩によって情報量を足せる強みもあります。でも、このトータルバランスが非常に難しそうです。

村松:たしかに。作品の最終的な情報量は着彩でバランスを取っています。一番注目してほしいところはしっかりと塗って、それ以外の箇所はぼやかしたり影にしたり。ネームの意図を着彩でしっかり表現するようにしています。

蔵石:着彩はかなり重要ですよね。僕は着彩担当の方にお任せしているので、もう「お願いします!」という感じです(笑)

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Webtoonに活かされている、日本独自の作劇法

――Webtoonに向かないジャンルはありますか。

村松:縦読み、フルカラーというWebtoonの表現の面で考えると、向いていないジャンルはないと思っています。それよりも現状は、いまのWebtoon市場のなかで、なにがウケるのか? という売れ筋の制約のほうが大きい。表現においては工夫次第でなんでもできるけれど、いまの段階では売れているジャンルにどれだけ合わせられるのかが重要だと考えています。

――いかにプラットフォームのランキング上位に入れるのかが重要だと。国内では韓国や中国発のWebtoonが数多く配信されていますが、蔵石先生が最近読んで面白かったWebtoonはありますか。

蔵石:『桃と終末の書』です。漫画好きな人は食いつきやすいと言いますか、すごく読みやすいWebtoonだと思います。なんだかWebtoonっぽくないんですよね。

村松:すごくいい意味でWebtoonのイメージを壊してくれます。表現の面でかなり面白い発見がある作品だと思います。

――韓国や中国発のWebtoonと比較して、日本発のWebtoonならではのストーリー、描き方の面で違いはありますか。

村松:やっぱり全然違うと思います。なぜなら、日本には漫画の蓄積がある。たとえば、韓国・中国発のWebtoon作品は登場人物が少ないけれど、日本発のWebtoon作品で最近話題の『神血の救世主』ではたくさん出てくるじゃないですか。あれは、登場人物をたくさん出すという、これまで漫画で蓄積された作劇法があるからできることなんですよね。だから、日本発のWebtoon作品には、少なからず漫画で培ってきた作劇法が活かされているんじゃないかなと。

――最後に「NEXT」についてお伺いしたいのですが、意気込みはいかがですか。

村松:5〜6人くらいでやる予定なので、本当に密なワークショップになると思います。まずは、「Webtoonで何を描いたら面白いと思う?」みたいな感じで、すごくフラットな話から始めて、一緒にWebtoonや漫画について追求できたらなと。

――もしも蔵石先生がWebtoonに挑戦し始めた頃に、こういったワークショップがあったらどんなことを期待しますか。

村松:蔵石さん、ワークショップとか行かなそうですね(笑)。

蔵石:帰りますね(笑)。でも、僕もWebtoonは始めたばかりなので、知りたいことはたくさんありますよ。

村松:たしかに。先ほどの「Webtoonで見開きが存在しないなら、どの代わりに何ができる?」とかね。

――ワークショップへの応募は、新作ネームはもちろん、ポートフォリオでもOKとのことですが、Webtoon未経験者の方も歓迎ということでしょうか。

村松:もちろん。ものすごくふんわりとした興味で応募いただいても大丈夫です!

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村松充裕さん×蔵石ユウさんの対談動画【全編】

 

Webtoon部門、エントリー受付中!

Penが主催する若手クリエイターのためのプロジェクト「NEXT」では、STUDIO ZOON(運営:株式会社サイバーエージェント)の協力のもと、Webtoonのコンペ×ワークショップを開催。ご応募はポートフォリオの提出だけでOK。参加費は無料です。応募者の中から選ばれた5人(組)はワークショップにご参加いただき、読み切り作品を提出していただきます。作品はAmebaマンガに掲載するとともに、最優秀作品には賞金10万円を贈呈します。詳細は以下からチェック!

【応募期間】
2024年6月30日(日)23:59まで

【提出物】
foriioなど、ポートフォリオサービスのURL
(新作ネームの提出でも問題ございません)

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