サウジNEOMが発表の新都市計画「Jaumur」は、水辺の高級コミュニティに6000人を収容

  • 文:青葉やまと
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NEOMのプロジェクトの一つ、The Line。choi yurim-Shutterstock

サウジアラビアが1.5兆ドル規模の資金を投じる都市開発プロジェクト「ネオム(NEOM)」が、新たな水辺のコミュニティ計画「Jaumur」を発表した。マリーナに近い500室のマンションと700の豪華なウォーターフロントヴィラに、6000人以上を収容。アートイベントやパフォーマンスなどを開催する。

新たなマリーナに定住者と観光客が集う

Jaumurは、サウジアラビアのアカバ湾沿岸に新たに設けられるコミュニティで、「大規模」「国際的」「高級」を基軸とする。アカバ湾はサウジ北西部、エジプトと国境を接する紅海の北方に突き出した、幅約25km、長さ約160kmの細長い湾入だ。

Jaumurは、未来型コミュニティとしての住みやすさと、海辺のアクティブなライフスタイルを、最高の水準で提供することを目指す。陸地と海の双方でユニークな体験を提供し、サウジアラビア北西部におけるネオム計画の一端を担うという。

その中核施設となるのが、ヨットやボートの係留施設と商業施設を擁するマリーナだ。マリーナはJaumurの活気あるコミュニティの「心臓部」になると、ネオム公式サイトは強調する。

マリーナは住民と観光客の双方に訴求するよう設計されている。マリーナへ至るプロムナードには、エンターテイメント施設やレジャー、カルチャー体験などを通じて活気を醸成するよう、年間を通じてアートイベントや各種パフォーマンスプログラムを開催するという。また、常設のストアやレストランを設ける。

海にせり出す「くさび形」の構造物

ヴィラやホテルなどが点在するマリーナ一帯でも、とくに中核的な構造物が、海へ向けて突き出した特徴的な「くさび形」の建造物だ。上部は岩礁に似せたデザインで、隣接するヴィラ側からみると自然の景観に溶け込む。全長1.5kmと巨大だが、圧迫感を抑えるよう設計されている。

この構造物はエアロフォイルと呼ばれ、ヨットバースを覆うように広がる。マリーナを象徴するランドマークとなるほか、年間を通じて解放され、悪天候時にはマリーナの住民や訪問中のゲストを収容する避難場所として機能するという。

エアロフォイルはカンチレバー(片持ち梁)の構造となっており、「世界最大のスーパーヨットを迎えるにふさわしい、(マリーナへの)見事なエントランスを形成する」とネオムは自信を示す。アラブ・ニュースは計画とエアロフォイルの設計を取り上げ、「そのデザインは非常に印象的だ」と称えている。

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海洋研究にも注力

すでにネオムは、持続可能な都市開発プロジェクトとして近年、「Leyja」など11の都市の建設計画を発表している。Jaumurはこれらに続く第12の計画だ。

Jaumurは定住および娯楽の拠点としてだけでなく、学術センターとしての側面を担う。最先端の深海研究センターをエリア内に創設し、深海探査専門の研究を推進する。当該分野の専門家や先駆者らを迎え、学術的発見や知識の蓄積、さらには海洋環境の保全を促すという。

このほか、寮付きの国際学校を整備し、世界各国から一流の留学生たちを集める計画となっている。ネオムの取締役会は声明を通じ、「最先端の深海研究センターと一流の国際寄宿学校の開発は、Jaumurの革新性と学術への取り組みを象徴するものです」と述べ、教育・研究面での意義を強調した。

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壮大なネオム・プロジェクトの行く先は

前代未聞の規模で進む一連のネオムによるプロジェクトは、良くも悪くも話題を集めている。フラッグシップ・プロジェクトであり全長170kmの鏡状のビルを建設する「ザ・ライン」計画は、一時大幅な計画縮小が報じられたあと、公式に報道を否定する声明が出された。

これとは別に、英BBCが5月に報じたところによると、ザ・ラインの土地収用に反対した部族の1人が射殺されたという。

一方でネオムには、石油資源に依存するサウジアラビアの体質を転換し、より持続可能な発展へ舵を切るねらいが込められている。

スケールの大きな発表が続く同プロジェクトが、現実的にどの程度実現してゆくのか。今後の推移が注目される。

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【動画】マリーナ計画「Jaumur」と、特徴的な建造物の完成予想図