近年、観光客のマナーの悪さが問題視される「パリピの聖地」、スペイン・マヨルカ島。観光客の迷惑行為に我慢の限界を超えた地元住民が5月下旬、観光地で反ツーリズムの抗議デモを開催。食事を楽しむ観光客にブーイングや「観光客は帰れ」と罵声を浴びせた。
2万人以上、デモ参加者が怒りをあらわに..「逃げ出すしかなかった」と観光客
「マヨルカ島を守ろう!観光客は帰れ!」
2万人以上が参加したとされる同デモで、地元住民は怒りの声をあげた。毎年夏になると、「地中海の宝石」と呼ばれる美しいビーチを持つマヨルカ島は、多くの観光客で溢れかえる。
近年、バカンスを楽しむ観光客による路上飲酒、騒音、侵入禁止区域への侵入、落書き行為などが見られ、連日報告されるこのようなマナー違反に地元住民の怒りはピークに超えていた。2万人のデモ隊は、中心部にある“パセオ・デル・ボルネ通り”の20分ほどの道のりを行進。参加者が持っていた横断幕には、自国のルールを押し通す観光客(特にイギリス人観光客)を表すスペイン語の口語表現 「Guiri 」含めた、攻撃的なメッセージが記載されていた。
デモの様子を捉えた映像には、通りを塞ぐほどの2万人もの参加者が道いっぱいに広がり、パネルを掲げ、声をあげている。中には、小さな子どもや年配の姿も。一部の過激な参加者は、食事中の旅行客に怒鳴りつけたり、バカにするような言動を起こしたという。
当時、レストランで食事を楽しんでいたというイギリス人観光客の女性は、DailyMaill誌の取材に対し、「逃げ出すしかなかった」と語っている。
「嵐が来るような感じでした......それからデモ隊の騒音はどんどん大きくなり、私たちは彼らに押し流されました」
また、デモ隊の人波に巻き込まれたと語り、「『二度とこの島を訪れたくない』と思わせるほどでした」と告白している。
地元住民にとっては“英雄”?
抗議デモの主催者は、マヨルカ島センセレス出身の団体「バンク・デル・タン」。グループは後日、一部の参加者の度を超えた暴言や行動に謝罪を余儀なくされた。
「観光客に暴力を振るうつもりはなかったし、あってはならないことだ。ですが、政府が現状の対策をとらないのであれば、私たちはデモ活動を続けるでしょう」
しかし、地元住民たちからは彼らを “英雄”と称える声も見られ、政府への「オーバーツーリズム」の対策を求める意見が集まった。
「この島は、子どもたちが安全で尊厳をもって成長できる場所であるべきだ」
ここ数ヶ月、スペイン、テネリフェ島、ギリシャではこのような反ツーリズムを訴える抗議デモが頻繁に行われている。夏が近づき、旅行者が殺到するピークシーズンに差し掛かる今。連日報告される観光客のマナー違反行為や住民たちのデモ活動に対する、スペイン政府の対応にも注目していきたい。
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