卑猥な着ぐるみも…スペインで、婚前パーティー参加の下品な観光客に罰金

  • 文:山川真智子
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bbernard-Shutterstock ※画像はイメージです

結婚前夜に独身最後の日を楽しもうと、花婿とその男友達、または花嫁とその女友達だけが集まるパーティーを、イギリスではそれぞれ「スタッグ(牡鹿)・パーティー」、「ヘン(雌鶏)・パーティー」と呼ぶ。スペインのリゾート地はパーティー会場として人気だが、参加者の下品な服装が地元民を辟易させてきた。もはや社会不安を招くとして、不適切な行為を禁止する町も増えている。

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もう、うんざり…違反者に罰金導入

ガーディアン紙によれば、スペインの海辺のリゾート・タウン、プラジャ・ダロは、ホテル、クルーズ、ストリッパーの派遣がセットになったパッケージを提供しており、婚前パーティーの人気スポットだという。人口1万2500人の小さな町にも関わらず、夏の週末には30万人もの観光客を迎えることもある。

ところが、パーティーに参加する観光客の度を越した行為に、地元の人々はうんざりしてきたという。ビーチから離れた場所で、衣類を身に着けない、または下着姿のみで歩くだけではなく、男性器を模したコスチュームを着たり、セックス人形を抱いたりして、公の場に出る観光客が後を絶たなかった。

そこで、街では新条例でこういった行為を禁止。違反者には300ユーロ(約5万1000円)から1500ユーロ(約25万6000円)の罰金を科すこととなった。

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反社会的レベル…スペイン各地に被害

今回の措置は、独身最後のパーティーにありがちな騒々しい行為を取り締まるためでもある。デイリー・メール紙によれば、最近では新郎が街灯に粘着テープで縛りつけられ、その周りを取り囲んだ人々が、朝方まで大声で歌い、音楽を流し続けるという事件があった。

婚前パーティーはスペイン各地で事件のもととなっている。マヨルカ島ではスタッグ・パーティに参加したイギリス人男性8人がレストランで喧嘩になり、ウェイターと警官2人を負傷させて地元警察に逮捕された。

みだらなパーティーを取り締まるために規制を設けた自治体は、プラジャ・ダロ以外にもあり、手に負えないパーティー参加者の反社会的行為抑制の一環として、裸の人形や性器の着ぐるみを禁止している。

プラジャ・ダロの市長は、「観光客の度を越した態度は、地域社会との共存に影響を与えるもので、我々はこれと戦う必要がある」と述べている。

罰則に実効性ない? 払わず逃げる観光客も

もっとも、観光客に対する禁止令の実効性については疑問の声もある。ガーディアン紙によれば、バルセロナでは数年前にビーチから離れた場所でシャツを脱ぐことやビキニを着ることを禁止した。しかし違反者のほとんどである観光客は、罰金を払わず飛行機で帰国してしまい、ほとんど効果がなかったということだ。

スペインでは、反ツーリズム抗議デモがさかんに行われている。行楽地での反社会的行動を規制するため、今後も各地で試行錯誤が続きそうだ。

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スペインの放送局の動画。 町で卑猥なコスチュームや人形で盛り上がる観光客。

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イギリス人婚前パーティーで人気のプラジャ・ダロ。

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パーティグッズとして売られている、空気で膨らませるタイプの着ぐるみ。

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様々なタイプの着ぐるみがオンラインで販売されている。