絶対的な価値のない“2020年代”に、輝きを放つ男たち

  • 編集 & 文:長畑宏明
  • イラスト:阿部伸二
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あらゆるところで細分化が進んだ2020年代。もはや絶対的な価値観が存在しないこの時代に、それでも「かっこいい」と断言できる男は誰なのか。

Pen最新号は『新時代の男たち』。ここ数年、あらゆるジャンルで多様化が進み、社会的・文化的にジェンダーフリーの概念も定着してきた。こんな時代にふさわしい男性像とは、どんなものだろうか。キーワードは、知性、柔軟性、挑戦心、軽やかさ、そして他者への優しさと行動力──。こんな時代だからこそ改めて考えてみたい、新時代の「かっこよさ」について。

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それぞれの個性を活かした、スターが躍動する時代

2020年代は、フェミニンな男性が市民権を獲得し、「草食系」「草系」と揶揄する行為も鳴りを潜めた。つまり、「男性かくあるべし」という単一の理想像が共有されなくなり、それぞれの活動やスタイルに焦点が当たるようになった、といえるだろう。

そんな時代の代表的な存在が、松村北斗。SixTONES(ストーンズ)のメンバーとしてアイドル人気を確立する一方で、三宅唱監督の『夜明けのすべて』(24年)や岩井俊二監督の『キリエのうた』(23年)など、作家性が強い映画作品で重要な役を任される。そして、インタビューや作中での立ちふるまいを見る限り、本人がそこに対して意識的ではなく、あくまで流れの中にいるような印象を与える。自らの活動範囲を限定しないフラットな姿勢は、現代らしい「かっこよさ」といえるのではないか。

彼と比較して、より土臭いクールネスを体現しているのが、横浜流星だ。なかでも、水墨画によって心の傷を克服していく主人公を演じた『線は、僕を描く』は必見。わずかな表情の変化で画面を成立させる演技は唯一無二。現在はディオールのジャパンアンバサダーも務めるなど、ファッションの世界でも認知されている。

主演作『シティーハンター』での原作に忠実すぎる演技が話題となった鈴木亮平は、オトナならではのかっこよさを放つ。人生の酸いも甘いも噛み分けるようなその目は、王道の色気を思い出させてくれる。SNSでは作品PRのために積極的に発信を行うなど、スクリーンの外側での信頼も厚い。

かつてのスターに必須の要素だった不良性を引き継ぐアイコンとして、キング・ヌーの井口理は欠かせない。ステージでボロボロの古着を着ることも、SNSでお気に入りのセクシー女優の名前を挙げることも、それでいてライブでは思いっきりかっこつけることも、彼はなにもかも厭わない。唯我独尊であり、軽快。

藤井風も現代が産み落とした天才だ。YouTubeのピアノカバーでバズを起こしたことがきっかけで広まり、いまや押しも押されもせぬ世界的なシンガーソングライターへ。10年代に星野源やヨンスが更新したJポップを、20年代に彼がネクストレベルに引き上げた。また、いまどきのミュージシャンには珍しく服に頓着しないが、スタイリストの提案を見事なまでに着こなす器量は、かっこよさの概念を脱構築する。

最後に、映画『キングダム』シリーズや『ゴールデンカムイ』など、大作の主演を連続で務めた山﨑賢人の名前を挙げたい。毎回、原作ファンを唸らせる動きをみせており、その見た目からアイドル需要も高いものの、俳優として大きなものを背負っていく運命にあるのは間違いない。

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2020年代の男たち

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鈴木亮平(すずき・りょうへい) ●俳優
1983年、兵庫県生まれ。2006年にデビュー。主演したNetflix映画『シティーハンター』が話題沸騰中。他出演作に映画『エゴイスト』(23年)など。 

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松村北斗(まつむら・ほくと) ●歌手/俳優 
1995年、静岡県生まれ。2015年、SixTONES 
(ストーンズ)の結成メンバーに。俳優としては、過去に蜷川実花、岩井俊二、三宅唱の監督作に出演。 

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横浜流星(よこはま・りゅうせい) ●俳優
1996年、神奈川県生まれ。12歳の時にスカウトされ、雑誌モデルとして活動開始。20代に入り映画出演が一気に増えた。近年の主演作に『春に散る』(2023年)など。 
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井口 理(いぐち・さとる) ●ミュージシャン 
1993年、長野県生まれ。東京藝術大学卒業。2013年に常田大希らと前身バンドを結成。17年にキング・ヌーに改名。俳優として、映画『余命10年』(22年)などに出演。 
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藤井 風(ふじい・かぜ) ●ミュージシャン 
1997年、岡山県生まれ。子どもの頃からYouTubeに演奏動画を投稿。2019年に初自作曲「何なんw」を発表。独特の語感と卓越した曲づくりで一躍トップに躍り出る。 
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山﨑賢人(やまざき・けんと) ●俳優
1994年、東京都生まれ。2010年にドラマ『熱海の捜査官』で俳優デビューし、11年に『管制塔』で映画初主演を果たす。国内のみならず中国でも絶大な人気を誇る。 

 

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