「これって、誰?」キャサリン妃の肖像画が「全然似てない…」と話題に

  • 文:宮田華子
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@Tatlermagazine – Xのキャプチャ画像

「王室メンバーの肖像画」公開が続いている。

5月14日に「まるで血の海!?」と言われたチャールズ国王の肖像画が公開。大きな注目を集めたのは記憶に新しい。

 


毒々しい赤が印象的な、チャールズ国王即位後初の「公式」肖像画。

その日から8日後の5月22日、ある肖像画が公開されたのだが…。

誰を描いた肖像画か、すぐに分かるだろうか?

これはキャサリン妃の肖像画である。雑誌「Tatler」は2年前から7月号の表紙に、王室メンバーの肖像画を使用している。

 


昨年はチャールズ国王、一昨年は故エリザベス女王の肖像画が表紙を飾った。

今年はザンビア&イギリス人アーティスト、ハナ・ウゾー氏に製作を依頼した。

 

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製作について語るハナ・ウゾー氏。@Tatlermagazine – Xのキャプチャ画像

通常アーティストが肖像画を描く場合、モデルとなる人物に実際に会い、目の前で描く機会を設けるのが一般的だ。しかし現在キャサリン妃はガン治療中であるため、ウゾー氏はアーカイブからできるだけ多くの写真や映像を確認した。


製作について、ウゾー氏は下記のように語っている。

「モデルに直接会えない場合、手に入るすべてのものを見て、さまざまな写真から明らかになった人間の微妙な瞬間をつなぎ合わせなければなりません」
「私が描く肖像画はすべて、私自身がモデルについて発見し、構築した人格の層を重ね合わせたものです」

作品をたった3週間で完成させたというウゾー氏。依頼主である「Tatler」は記事の中でこの肖像画を「強さ、威厳、そして勇気」を表現した作品であると賛辞を贈っている。

確かに印象的な作品だが…「似てない」の声

青い背景の前で白いドレス姿で立つキャサリン妃の姿。このドレスに見覚えがある人は多いかもしれない。2023年11月、チャールズ国王即位後初となったバッキンガム宮殿での晩餐会に出席したときの姿だ。

 

ケープ袖の白いドレス、青いサッシュ、黄色いバッジにティアラを身に着けたキャサリン妃。南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領を招いての晩餐会にて。

しかしドレスは同じでも、顔だけみて「キャサリン妃の肖像画」と分かる人がどれだけいるのかは疑問だ。

もちろん賞賛の声がないわけではない。しかしネットでは批判的なコメントが相次いでいる。

 


「全然似てない! あまりにひどいので批判を受けているってこと」

 


「率直に言って、10歳の子どもでももっと上手に描ける」

 


グレタ・トゥーンベリさんの名スピーチの声を使ったコラージュも。

写真と肖像画を並べてみると、さらに厳しい印象だ。

 


「メガネ屋さんに行った方がいい」とコメントするロイヤルファンも。

チャールズ国王の肖像画と並べてコメントする投稿も多い。

 



「一体何が起こっているの?」

しかしチャールズ国王の肖像画とは異なる点がある。それは今回のキャサリン妃の肖像画は「公式」肖像画ではないということ。あくまで雑誌「Tatler」が表紙用としてアーティストに製作依頼をしたものであり、キャサリン妃の意向も反応も配慮する必要がない作品だ。

表現の自由は守られるべきであり、この肖像画が責められるいわれは本来まったくない。しかし「見る側」の多くが「似ていない」と判断したことは事実。

異なる条件や環境で製作された2つのロイヤル肖像画だが、奇しくも共に「炎上」という同じ結果を生んだ。「人の記憶に残る肖像画」となった点は共通点と言えるだろう。

 

【次ページ:動画あり】製作期間は3週間!ハナ・ウゾー氏のコメント

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ウゾー氏のスケッチの様子も見られる。