「まるでライオンのたてがみ…」独特な髪型の少年モデル、学校に退学を迫られる

  • 文:山川真智子
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2021 Photography-Shutterstock

イギリスの少年が、腰まで伸びた長いカーリーアフロヘアを切るよう学校から迫られている。少年の通う学校では、校則で髪の長さが決まっており、従わない場合は退学になるという。少年とその母親は、文化的、医学的理由から校則の免除を求めているが、学校側は拒否している。

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伸ばし続けた髪の毛 校則違反と認定

この少年は、ロンドンの学校に通う12歳のファルーク・ジェームス君だ。インスタグラムでは25万人のフォロワーを持つ、チャイルドモデルでもある。

ガーナ出身の父親を持つファルーク君の髪の毛はカーリーアフロで、これまで毛先を揃える程度にしかハサミを入れたことがないという。そのため腰まで長く伸びており、ふわふわのライオンのたてがみのような、特徴的なスタイルとなっている。

ところが、昨年9月に現在の学校に入学して以来、学校側から髪の毛を切るように強く求められているという。校則では、髪はシャツの襟から上の長さと決まっており、ファルーク君の髪型は明らかに違反だ。世界の不思議ニュースを扱うサイト、オディティ・セントラルによれば、学校側はすでに罰として放課後の居残りをファルーク君に課している。校則を守らなければ、今後隔離、停学、そして最終的には退学になってしまうという。

病気の主張は認められず… 編み込みも禁止

実はファルーク君は、髪を切られることへの恐怖が抑えられない“散髪恐怖症”と診断されているという。母親のボニーさんは、入学前から校則を知っていたというが、医学的な理由で免除してもらえると思っていたそうだ。しかし学校側は新学期開始後、散髪恐怖症は恐怖症としては認められていないとして、ルールを守らなければ退学になると通告してきたという。

校則違反を避けるため、ファルーク君は髪の毛を編み込みにして登校しようとしたが、これも校則では禁止に当たると判断されたという。英トークラジオ局、LBCによれば、イギリスの黒人文化では、男の子でも髪を編むものだとファルーク君は主張。学校の判断には、敬意が感じられないとしている。

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社会の期待に合わない? アイデンティティとしての髪型

LBCによれば、ファルーク君の髪を伸ばした理由は、父方の家族から髪の毛は3歳まで切ってはいけないと教えられたからだとボニーさんは述べている。まさかここまで髪が伸びるとは思っていなかったそうだが、3歳になっても髪を短くすることはなかったということだ。

ボニーさんは、ファルーク君のような子供たちにとって、髪型はアイデンティティの一部だとし、学校が社会の期待に合わせるために、それを取り上げようとすることに疑問を感じているという。

もっとも、ファルーク君が今の学校を気に入っていること、また教育の質も高いことから、ボニーさんはなんとか髪を切らせようと努力してきたという。オディティ・セントラルによれば、散髪恐怖症克服のために心理療法も始めようとしているそうだが、ファルーク君は、「髪を切れば生きている価値はなくなる」とまで言っているそうだ。

ファルーク君の学校は、英メディアからコメントを求められたが、個人に関することには守秘義務があるとして、コメントを拒否しているという。

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 モデルとしても活躍中のファルーク君。

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 ヘアサロンでの様子。

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 学校用にした編み込み。

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 母親のボニーさんとファルーク君。

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小さなころからモデルとして注目されてきたファルーク君。