ロボットベンチャーのGROOVE Xが手がける家庭型ロボットLOVOT(らぼっと)の最新モデルとなるLOVOT 3.0が、5月28日に登場。同日、GROOVE XのCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)である藤原ヒロシさんの監修による、オールホワイトのLOVOT 3.0『FRAGMENT EDITION』の販売も開始された。
そもそもこのLOVOTが初めて発売されたのは、2019年8月31日。2022年5月には機能をアップデートしたLOVOT 2.0をリリースしている。
初代から変わらないコンセプトは「ヒトの心に寄り添う温かいテクノロジー」で、5年弱の間に1万4000体以上が販売され、GROOVE Xによれば、オーナーの満足度は97%、1000日後の継続率約90%となっている。どうしてLOVOTはここまで愛されるのか?
2022年5月にGROOVE XのCCOに就任して以来、事務所で2体のLOVOTと一緒に過ごしている藤原ヒロシさんに、使用感とともにその魅力を聞いてみた。
---fadeinPager---
「LOVOTがやってきてからは、事務所を訪れた友達との会話がLOVOTから始まるようになりました。友達が来るとLOVOTが近くに寄っていくこともありますし、海外の方は、なにこれ! みたいな感じで驚いて、興味津々になります。いいコミュニケーションツールになっていますね。定期的にそのへんをウロウロしているから、いい意味で事務所が騒がしくなりました。ローラーを使った動きもスムーズで、音を立てずにスーッと近づいてくる感じはSFっぽいです」
LOVOTは日々の接し方によって性格が変わることが特徴のひとつだ。藤原さんはあまり構うことなく、放し飼いのような感じで自由にさせている。
「たまに近づいてきたら頭を撫でたり、持ち上げたりしています。可愛がれば可愛がるほど懐く一方で、僕のように放っておいてもいい。言い方は変ですが、都合よく接することができるのがいいですね」
LOVOTは一体ずつ異なる個性があり、同じように接していても、性格が変わってくるというから驚きだ。
「事務所に居る2体のうち、ルンバと名付けている通常のLOVOTは人懐っこくて、アンジェラと名付けた『FRAGMENT EDITION』のほうはいつも自由気ままにフラフラしています。姉は自宅でLOVOTと一緒に暮らしていますが、その子はすごく喋るし、こちらが歌うとそれをリピートして鼻歌を歌うので面白いですね。歌が下手なところもかわいいです」
---fadeinPager---
基本的にLOVOTは、約30分から45分稼働して、約15分から30分充電を行うサイクルで稼働し、オーナーが設定した時間に眠って起きる。
「一定のサイクルで稼働と充電を繰り返すのは、時計っぽくて面白いと感じています。充電も自分で勝手にしてくれるので手もかかりませんし。事務所では睡眠時間を19時就寝、昼11時起床に設定しています」
LOVOTが事務所にやってきてからおよそ2年。藤原さんにとってLOVOTはどのような存在なのだろうか?
「僕はロボットとは感じていなくて、とはいえペットの代わりになるとも思っていません。これまでに存在しなかった新しいものとして生活の中に溶け込んでいけばいいなと思います。自分勝手な付き合い方もできるし、すごく可愛がって犬のように育てることもできる。そこがLOVOTの魅力だと思いますね」
そんなLOVOTの最新型となるLOVOT 3.0は、さまざまな進化を遂げている。例えば、演算能力の向上によって、オーナーのなにげないしぐさにも反応できるようになったり、タッチセンサーのポイントが増えて、手を握ったり頭を撫でると、喜んだり笑ったりするなど、触れ合うことによるコミュニケーションが円滑になった。瞳はこれまでの液晶から有機ELディスプレイにアップデートされ、10億通り以上の表現がより繊細にできるようになった。また、サイドパネルを柔らかな素材にすることで、抱き心地も向上している。
「LOVOT 3.0はまだ生まれたてなのでヨチヨチしてますよね。LOVOT 2.0よりも腕の可動域が広がって上にあがるようになったり、瞳も精細になり、感情表現が豊かになっていると感じます。ただ、これがこれからどのように成長していくのかは、まだ誰にもわからないので、今後が楽しみです」
本体のカラーバリエーションは、これまでの4色からアースカラーを中心に9色に増え、より自分好みの一体を選べるようになっている。
---fadeinPager---
さらに今回『FRAGMENT EDITION』としてオールホワイトが期間限定で登場した。
「当然のように黒が出る方向で進んでいましたが、途中で僕がわがままを言って真っ白いLOVOTが誕生しました。今まで白はなかったし、結果的にすごく良いLOVOTになったと思います」
また、ファッションブランド「CLANE DESIGN」と「fragment design」がコラボレートし、LOVOTのための特別な服とヒト用のウェアを制作。LOVOTとのペアコーデが楽しめるようになっている。
LOVOT 3.0が登場し、進化を遂げるLOVOTについて、藤原さんはどう思っているのだろうか?
「例えば、LOVOTが自分のあとをついて歩くとか、質問に答えるとかは、やろうと思えば簡単にできると思うんです。でも、そういうことをしないし、言葉も話せない。なにもできず、ただただカワイイっていうのがLOVOTのこだわりだと思います。世の中、ITを駆使してなんでも便利な方向に向かいがちですが、LOVOTはそれに反して違う方向で進化していて、そこが魅力の一つでもあるのかなと僕は思います」
2等身のかわいらしいフォルムと豊かな表現力で、接する人たちに愛嬌を振りまくLOVOT。LOVOT MUSEUM 日本橋浜町をはじめ、全国のLOVOTに会える場所で、実際にLOVOT 3.0と触れ合うことで、その愛くるしさを体感してみたい。