インプラントが脳に刺さった…歯科医院のミスから生還した男性の受難「子どもに最期の別れを告げた」

  • 文:青葉やまと
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olgsera-Shutterstock ※画像はイメージです

虫歯治療のため歯科医院を訪れた男性が、医師の勧めを受けてインプラント治療を選択。ところが、インプラントの部材が口蓋骨を突き破り、脳に刺さるトラブルに発展した。トルコで起きたトラブルだ。

被害に遭ったのは、40歳で2児の父親であるラマザン・イルマズさんだ。担当した医師は大きな問題ではないと考えていたが、レントゲンを見て青ざめたという。イギリス各紙がこのレントゲン写真を掲載しており、脳に刺さるインプラント体(あご骨に埋め込むためのネジ状の土台)の影がはっきりと写っている。緊急手術の末、男性は一命を取り留めた。

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治療の雲行きがどんどん怪しく

経緯はこうだった。トルコ第4の都市・ブルサに住むイルマズさんは、虫歯治療のため私立の歯科医院を訪れた。そこでは、24年の経験を持つという口腔外科医が担当になったという。

英メトロ紙によると医師は、イルマズさんの骨格がデリケートなために歯が緩んできており、インプラント治療が必要だと告げた。

しかし、時間が経つにつれ雲行きは怪しくなった。治療中に医師は、使用していた器具に不具合があると歯科衛生士に話したという。その後も医師は手作業で処置を続け、本来の器具を使わずに手で「無理やり」インプラントを埋め込もうとした。

治療中、イルマズさんは「骨を砕くような音が聞こえる」と訴えたが、医師は「それが普通だ」と言って安心させた。

だが、ネジの切ってあるインプラント体を過剰な力でねじ込もうとした結果、イルマズさんの上あごの骨を貫通。頭蓋の中、脳と髄液のある部分にまで突き刺さった。イルマズさんは苦痛のあまり叫び声を上げた。

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レントゲン写真に青ざめた

英サン紙は、イルマズさんが悲鳴を上げたことで、医師はついにレントゲンを撮ったと報じている。

同紙はこの写真を掲載している。口腔から相当に離れた部分、目の奥にまで貫通したインプラント体の影が、はっきりと写っている。事態の深刻さに気づいた医師は青ざめ、イルマズさんを地元・ウルダ大学病院の救急科へと運んだ。

大学病院では専門医が集められ、緊急手術を決定。イルマズさんは手術室に入る前、「命の危険がある」との警告を受け、病院に駆けつけた子どもたちに最期の別れを告げた。幸運にもイルマズさんは手術を無事に終え、生還を果たしている。

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歯科医院は治療代の負担すら拒否

英デイリーメールは、不手際のあった口腔外科医は、イルマズさんを大学病院に担ぎ込んだあと、彼を置き去りにして現場から逃げ出したと報じている。イルマズさんによるとこの医院は、治療代金の負担すら拒否した。現在、イルマズさんは法的措置を検討している。

口腔インプラントは、重度の虫歯や歯周病などで失った歯を再建する治療法だ。あごの骨にインプラント体と呼ばれる金属の土台を埋め込み、その上に人工の歯を据える。入れ歯やブリッジと比較して大がかりな治療となるが、自分本来の歯で噛むのに近い、しっかりとした咀嚼を取り戻せるメリットがある。

一方、土台の固定が甘かったり、インプラントの周囲が自然の歯よりも細菌に感染しやすかったりと、特有のトラブルにみまわれるリスクは存在する。このイルマズさんの場合、不幸にも、比較的多く報告されているトラブルよりも大きな問題に見舞われたようだ。

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